楽しいことがあり過ぎる

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健康な体があればいい

BUMP OF CHICKEN『TOUR 2019 aurora ark』東京ドーム公演感想

BUMP OF CHICKEN auroraark 20191104


11月4日(祝)の東京ドーム公演をもってBUMPのツアー『aurora ark』がファイナルを迎えた。今回のツアーはドームとライブハウスを交互に回るような構成だった。

案の定、ライブハウス公演のチケットは当たることのなかったわたしだが(年齢制限でもあるんですかね!?)初日のメットライフドーム公演を皮切りに、ドーム公演すべてに足を運ぶことができた。

思い返せば前回のツアー『PATHFINDER』当時は、前職であり、仕事へのモチベーションが最悪の状態であった。そのため、生活のすべてをBUMPのツアーに捧げていた感もあり、結果的に11公演に参加するという家族いわく「心配になるレベル」で充実のオタクライフを送ることができた。たぶん、こんなにも参加数という意味で充実したツアーを経験することは、この先きっとないだろう。

 

しかし、状況は変わった。

 

転職をし、そう簡単に有給休暇を取れるような状況でもない。弊社はユルい環境なので、その気さえあれば休みを取得することもじゅうぶんに可能なのだが、それはあくまで仕事面でのスケジュールを考慮した上でのことであった。そのため、彼らのツアーが確定したときから、わたしの日々の願いは「どうか、ツアースケジュールが仕事にかぶってきませんように……」であった。そんな中、まさかの病気発覚である。この頃のわたしは、自らの身体と同じくらい、もしかしたらそれ以上に「BUMPのライブに行けなくなったらどうしよう」という不安に苛まれていた。病気発覚当時、すでに7月のメットライフドーム公演2日間、9月の京セラドーム公演2日間とナゴヤドーム公演2日間、さらに8月に予定されていた『ロックインジャパン2019』のチケットを確保していた。マジで休みなし状態でBUMP案件が控えていたのだ。何としてもライブにかぶらないように治療計画を立てなければいけない。めちゃくちゃ痛む腹を抱えつつも、考えることはBUMPのことだらけであった。

 

ちなみに闘病についてはこちらに詳細を記している。

『卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)』の手術を受けるために入院するまでのこと。

『卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)』の摘出手術を受けた。

 

ただでさえ仕事のスケジュールとツアースケジュールを調整しなくてはならないのに、そこに通院計画やら手術日程やらも考慮しなくてはならないのだ。ふだんは発揮することのないスケジュール調整能力を存分に発揮し、なんとかツアー初日と8月のロッキンに影響がでない日程で手術と入院の予定を組むことができた。術後約3週間ほどでの夏フェス参加は、家族、特に母親にはひどく心配されたが、根っからのオタクなので「行かない」という選択肢はわたしにはそもそもなかった。日頃から『どうせ死ぬなら、ライブの帰りに突然死するのが理想の死だ』と割りとガチで思っているのだが、こんなカタチで健康面とオタク案件を天秤にかける日が来るとは思わなかった。そんなこんなで足を運んだロッキンは最高に楽しく、幸せな1日となり「やっぱり夏は夏フェスだよな……」と強く思った。『夏フェス』という文化に出会って以降、夏が1年の中で最も心待ちになる季節となった。ありがとう夏フェス、ありがとうロッキン !!!!

 

 

話が逸れた。

そんなこんなで幕を開けたツアーもとうとうファイナルを迎えた。あんなに暑かったのに、もうこんなに寒い。今年の夏にアルバムがリリースされたばかりだし、しばらくBUMPの活動は静かになるだろう。日々の楽しみは毎週のポンツカくらいである。

 

さて例のごとく導入が長くなりすぎたが、東京ドーム公演の感想を残しておこうと思う。ブログを始めて数年が経ち、様々なライブの感想を記してきたが、どうにもわたしにはこれ以外の書き方ができないので今回も1曲1曲記憶をほじくり返しながら記していきます。

 

セットリストはこちら。

2019.11.4 @東京ドーム(※は11/3東京ドーム初日公演の演奏曲)

01. aurora arc
02. Aurora
03. 虹を待つ人
04. 天体観測
05. シリウス ※月虹
06. 車輪の唄 ※プラネタリウム
07. Butterfly(アウトロロングver.)
08. 記念撮影
09. 話がしたいよ
10. 真っ赤な空を見ただろうか ※ダイヤモンド
11. リボン
12. aurora arc
13. 望遠のマーチ
14. GO ※アリア
15. Spica
16. ray
17. 新世界
18. supernova
19. 流れ星の正体

Ec.01

20. バイバイサンキュー ※同じドアをくぐれたら
21. ガラスのブルースメーデー

Ec.02(藤原基央弾き語りからのサプライズ)

23. スノースマイル
24. 花の名

 

初日と2日目で微妙にセットリストが変わったが、どの曲にも思い出があるのですべての曲に対して何かしら記していくことにする。長くなるぞ〜!

 

 

01. aurora arc

オープニングSE。

アルバム『auroraark』1曲目に収録されているインストゥルメンタル。楽曲に合わせて、彼らが春に訪れたというイエローナイフでのオーロラ鑑賞のようすを記録した映像が場内スクリーンに映し出される。そして、その合間合間にバックステージで開演前の円陣を組む4人の映像が挟み込まれるという演出。この演出、当初は(少なくともメットライフドーム公演では)バックステージ映像は無音だったのだが途中から音声も流されるようになった。彼らはライブ前に言葉を交わし円陣を組んで藤原基央の「ニッケ」という掛け声で気合を入れる、ということをルーティーンにしている。ファンにとっては有名なことであるが、それを音声付きで目の当たりにする機会はなかなかないので、とても貴重な映像だった。あと、個人的にはイエローナイフの映像内でBUMP4人が横並びになりカメラに向かって両手を上げるシーンで、大きく手を振ってくれる藤原基央がとても良かった。もちろんわたしが、そんな藤原基央(映像)に手を振り返したのは言うまでもない。今回のツアーは初日のメットライフドーム公演から毎回、1人の友人と2人組で行動を共にしてきた。京セラもナゴヤドームも彼女と一緒に遠征し(とはいえ彼女は北海道民なので現地集合・現地解散なのだが)ライブ前後の楽しみである観光地巡りも彼女と共に行動した。しかし、残念ながらファイナルの東京ドーム2日間だけは、どうしても彼女の都合がつかず、そんなとき、他にライブに誘えるような友人もいないわたしは、初日は安定のぼっちで、2日目は母親を伴って参加した。そんな状況だったので、初日は初っ端から「あぁ、ずーっと2人で観てきたこの映像も今日は一人ぼっちだな……」と妙に感傷的になってしまいエグエグ泣いてしまった。

そういえばオープニング映像が流れているあいだ、会場内はオーロラを模した光の演出がなされていた。スモーク上にブルーやグリーンやムラサキの光が流れるように照らされていたのだが、この演出は2階席や3階席のような会場を俯瞰で見下ろせる席でないとなかなか目にすることが難しく、ツアー中盤でその素晴らしさに気づいたときには感激したものだ。アーティストに近い席のほうが価値があるとされることも多いけど、BUMPのライブは観客が腕に巻くPIX MOBを使った演出が多用されることもあり、ステージから遠い席だからこそ感じられる素晴らしさがあるのも非常にいいなぁと思う。まぁそんなこと言いつつもやっぱり演者に近づけると単純に嬉しいのですが。


02. Aurora

大好きな大好きな曲だ。今年の3月にリリースされた比較的新しい作品なのだが、すでにこの曲で何度涙を流しただろう、と数えるのも難しいくらいに泣かされている。特に〈考え過ぎじゃないよ そういう闇の中にいて 勇気の眼差しで 次の足場を探してるだけ〉という部分にはどうしたって涙が溢れてきてしまう。わたしの弱さが何のために生まれた弱さなのか、そしてそれは決してただの弱さではないことを、いつだってBUMP OF CHICKENは分かってくれるのだ。

間奏部分で藤原が「ついに最終日だ!」と満面の笑みで叫んでいた。なんだかこんなにキラキラと笑う藤原基央の姿はとても珍しい気がして、グッときた。とても長かったツアーの最終日、寂しさもあるだろうけどそれ以上にすべてを出し切ろうとする彼らの決意みたいなものが垣間見えた瞬間だった。

 
03. 虹を待つ人

最後のフレーズである〈同じ虹を待ってる〉部分を〈同じ舟を見に来た〉と藤原が歌った瞬間「ニクい!!!その歌詞変えはニクすぎるぞ藤原基央!!!!!」と鳥肌が立ったのはわたしだけじゃないはず。そもそも今回のツアータイトルである『aurora ark』は藤原の勘違いに端を発して名付けられたものである。気象現象である『auroraarc』という単語を音の響きから『aurora ark(オーロラの方舟)』と思い込み、その勘違いがあまりにも素敵すぎてツアータイトルにしてしまった、というエピソードは彼ら自身の口から何度も語られている。ツアーが始まって以降に発売された雑誌の中で、藤原はこのaurora ark(オーロラの方舟)の解釈について「誰も乗ることができない舟」と語っていた。空に浮かぶ舟の存在をみんなが見上げているけれど決して誰もその舟には乗っていない、と。だからこそ彼は最終日に「見に来た」と歌ったのだ。アルバムに込められた世界観を、こんなにも短いフレーズに詰め込んでしまえるなんて……。あまりにも完ぺき過ぎる歌詞変えだった。

 

04. 天体観測

BUMPを知らない人でも知っているだろう曲。最近はサビ終わりの〈オー イエーイ ヘイ アハーン〉部分を観客に歌わせるでお馴染みである。今回もそれはそれは立派な〈オー イエーイ ヘイ アハーン〉の大合唱が会場中に響き渡っていた。


05. 初日:月虹/2日目:シリウス 

初日は月虹、2日目はシリウスが演奏された5曲目。

『月虹』の炎を使った演出と、エフェクトを多用した映像がめちゃくちゃカッコよかった。月虹というタイトルの曲に、なぜ炎の演出を使おうと思ったのか。アイディアの発端みたいなものが非常に気になる。

シリウス』はサビ前のタメがめちゃくちゃカッコよくてCDで聴いていた頃から大好きだったのだけどライブで聴いてもめちゃくちゃカッコよくて痺れた。


06. 初日:プラネタリウム/2日目:車輪の唄

この2曲に関しては映像が素晴らしかった。スクリーンにデカデカとシルエットで地球の輪郭のようなものが描き出されて、そこから光源が上がってくるような、まるで日の出のような映像だったのだけど、それがあまりにも楽曲とマッチしていて感動した。わたしが参加したドーム公演では、6曲目(たぶん)では常に『プラネタリウム』か『車輪の唄』のどちらかが演奏されており、映像も同じものを使っていたと記憶しているのだけど、どちらの楽曲の世界観にも見事にフィットしていた。特にね『車輪の唄』なんてもう歌詞のまんまやんけ!!!!!と叫びたくなるぐらいに見事に朝焼けから日の出までの空の移り変わりが表現されていて「すげー!!!!」と馬鹿みたいに感動した。

プラネタリウム』はツアーを共にしていた友人が大好きな曲であり、そんなこともあってここ最近はかつてよりも贔屓して聴いていたので「あぁ、この曲も彼女に聴かせてあげたかった」と必要以上にセンチメンタルな気持ちになってしまいダメだった。めためたに泣いてしまった。ところで『プラネタリウム』の歌詞って一見するとロマンチックなんだけど、実はけっこう怖いんだよなー…とも思う。藤原基央が歌うからこそ許されるんだろうな。だって自作のプラネタリウムに自分で星を追加して、それに想い人を重ねるってけっこうヤバいでしょ。まぁ結局実らぬ恋なのですが……

『車輪の唄』は聴くたびに「いい歌だなぁ……」と声に出さずにはいられない。今回のツアーでも聴き終わるたびに「いい歌だなぁ……」と言ってしまった。出来事を時系列に描写していく歌詞に、こんなにもうまいこと登場人物の心象を織り込んでしまうなんてッッッ!!!!!と毎度、藤原の作詞能力の高さに感動する。ほんとに凄いですよ、この歌詞は。鞄の紐が改札に引っかかる部分の描写とかほんとに天才じゃん!!!と思ってしまう。あまりにも見事すぎて楽曲そのものへの感動よりも、その能力のほうにアンテナが向いてしまってライブ中もイマイチどっぷり入り込めなくなってしまうぐらいだった。罪な歌詞だ。


07. Butterfly(アウトロロングver.)

『BFLY』ツアーで初披露されたアウトロがEDMアレンジされたロングヴァージョンでの演奏。わたしはBFLYツアー最終日でもある日産公演での同曲があまりにも大好きすぎて『Butterfly』=「楽しかった日産スタジアムの思い出」という図式が刷り込まれてしまっているので、イントロの瞬間からブチ上がってしまった。今回のツアーではイントロ部分で爆発的な特効を使った演出がされていた。あれは何回経験しても慣れないもので、毎公演全力でビビってしまった。心臓に悪い。

アウトロではメンバーが好き勝手にステージやら花道やらを動き回ってて、その光景含めあまりにも楽しすぎた。いつまででも続いてくれ…!と心から思ってしまった。跳ねるように楽しそうにアコギを弾く藤原基央の姿はいつまでも忘れないだろう。


08. 記念撮影

つい先日公開された日清とのコラボ映像を映しつつの演奏。秒針を思わせるイントロのカウントが何だかすごく良かった。と思って改めてコラボ映像を見返していて気づいた。こんなにも秒針の音って使われていたのか……。今さら気づいた。このコラボ映像には賛否両論あるようだが、わたしは窪之内英策の絵が好きなのでBUMPと窪之内英策がコラボしてくれたという事実にただただ嬉しくなった。何度でも言おう、『ツルモク独身寮』はいいぞ。


09. 話がしたいよ

たしかこの曲の前にMCがあった気がする……。「笑い多めのMCからのギャップ!!!」と、その温度差に感情の処理速度が追いつかずバグりそうになった思い出。

サビで〈あぁ 君がここにいたら 君もここにいたら〉との歌詞変えを繰り出され、嗚咽するほど泣いてしまった(本来は〈あぁ 君がここにいたら 君がここにいたら〉である)。「が」を「も」に変えるだけで、こんなにも曲に込められる想いの幅が変わってしまうのか……。もちろん、わたしが嗚咽するほど泣いてしまったのは、隣にいない例の友人を想ってしまってのことなのだが。あの日はもう脳の感情を司る部分が馬鹿になってしまっていたので、何を歌われても彼女を想ってしまいダメだった。

余談ですが、最後のひとフレーズを歌う前に、藤原がギターピックを投げ捨てるのだけど、あれは何度見ても「くぅ〜ッ」と思わずにはいられない。暗転の中、ピンスポに照らされた藤原の美しさよ……。

 

ここでメインステージから会場後方に設けられた特設ステージ(通称:恥ずかし島)へと移動。


10. 初日:ダイヤモンド/2日目:真っ赤な空を見ただろうか

初日『ダイヤモンド』。ワンフレーズ歌ったところで突然「ちょっと待った!言いたいことがあったんだ」と演奏を止めた藤原。どうやら込み上げる想いを伝えずにはいられなかったようで、『ダイヤモンド』作曲当時を振り返りながらのMC。このちょっとしたサプライズ(?)がいかにもライブっぽくて良かった。

2日目に演奏された『真っ赤な空を見ただろうか』は大好きな曲である。今ツアーでセットリストに加わってきた京セラドームでは、あまりの嬉しさに鳥肌が立った思い出。藤原が両手を広げながら歌った〈僕らがひとつだったなら こんな日など来なかっただろう〉という歌詞変えも秀逸だった。今回のツアーで藤原は「たとえリスナーが気づかなくても僕らの音楽は常に君の隣りにいる」といった趣旨の発言を繰り返していた。『真っ赤な空〜』で歌われている〈大切な人に唄いたい 聴こえているのかも解らない だからせめて続けたい 続ける意味さえ解らない〉という部分が、あまりにもそれとリンクしすぎて「なんだかんだ言われているけど昔から伝えたいことは何も変わっていないんだな」とハッとした。観客が突き上げた右手で真っ赤に光るPIX MOBが会場を埋め尽くす光景は、とても強く美しかった。


11. リボン

わたしはバンドがいかにもバンドらしく演奏する姿が大好きなので、ハンドマイクで歌う藤原と、チャマ・増川の3人が、楽しそうに向き合って笑顔で演奏する姿にグッときた。ナゴヤドーム初日公演で〈赤い星並べてどこまでも行くんだ〉部分を〈赤い星並べてどこまでも行こうぜ〉と歌われたときには「そういうとこ〜〜〜〜〜」と号泣してしまった。ちなみにこの歌詞変えは東京ドームでも披露されていた。

『リボン』という曲は、他のBUMP作品とは少し異なった立ち位置の作品である。彼らが20周年の最後に発表したとてもメモリアルな作品であり、そこに歌われているモチーフも今までのBUMPを伺わせるものが多い、比較的パーソナルな意味合いの強い作品だ。曲の中にでてくる〈赤い星〉とは言うまでもなく彼ら自身のことであり、そんな詞に続くかたちで〈どこまでも行こうぜ〉なんて歌われたら、それはもう嬉しさの極みなのだ。念を押すように〈行こうぜ〉と続けた藤原も、演奏後に応えるように「行こうぜー!」と叫んだチャマも、本当に本当に最高だった。いつまでも健康で楽しく音楽を続けてくれ!!!と願わずにはいられなかった。

 

ここで再び恥ずかし島からメインステージへと移動。


12. aurora arc

オープニングと同じようにオーロラ状の光で照らされる場内。デジャブ感がすごかった。


13. 望遠のマーチ

ライブで聴くことで今まで普通だった曲が大好きな1曲になるということは、ままあることだ。そして『aurora ark』ツアーでいうところのソレは間違いなく『望遠のマーチ』だった。この曲は本当にすごい。こんなにもライブで演奏されることでパワーを持つ楽曲があるのか、と聴くたびに圧倒される。わたしは、この曲は大勢の観客の前で歌われるからこそ光る曲だと思っている。だからドームという会場は、この曲にとてもマッチしていた。大勢の声で歌われる〈いこうよ〉の大合唱はまるでアンセムのようだ。

特に中盤の転調部分に、わたしは弱い。以下がその部分の歌詞だ。

 

与えられた居場所が苦しかったら

そんなの疑ったって かまわないんだ

体は信じてるよ君の全部を

叫びたい言葉が輝いている

 

藤原はしばしば歌詞の中で「人間」を表現するとき肉体(体)と魂(心)を別物として描いている。肉体は魂の入れ物としての役割を持った物体であり、魂が肉体をコントロールしている、その2つが揃うことで「人間」を作り出している、ということを意識して作詞をしているのではなかろうか。そういった表現は、『ギルド』だったり『ファイター』だったり『GO』だったりと、様々な作品で見受けられるが『望遠のマーチ』でも強く感じた。

間奏部分では毎回のごとく藤原が観客に向けて思いの丈を叫ぶのがお決まりとなっており、それが普段のMCより3割増くらいオラつくので非常に高まった。最近は紳士的に振る舞うことの多い彼の尖った部分が露呈すると、ブチ上がる系のオタクなのだ。


14. 初日:アリア/2日目:GO

『アリア』で使われたステンドグラスの演出をぜひとも映像として残してくれ!!と強く思っているのはわたしだけではないだろう。イントロのベースラインに差し掛かったところで場内スクリーンに映し出されたステンドグラスのあまりの美しさに、多くの観客が息を飲むようすが伝わってきた。本当に美しかったなぁ……。

『GO』は今までにも散々書いてきたが、わたしにとって特別な1曲なので、イントロを聴いた瞬間から軽率に泣いてしまう。他でもない藤原基央に〈とても素晴らしい日になるよ〉って言ってもらえるなんて最高以外の何者でもない。今回のツアーで『GO』が演奏される際には、イントロ部分で藤原が想い入れのある曲の一節をサプライズ的に歌うのが定番の演出になっていたが、最終日では彼らの楽曲である『メロディーフラッグ』の一節を歌ったのもニクい演出だった。ナゴヤドーム公演では藤原が演奏後にポツリと「一生今日が続けばいいのに……」と呟いていて「ほんとにそうだよ」と心から思った。

▼たぶん今までで100回は見ているだろう最高の『GO』

 

15. Spica

この曲でも映像による演出が素晴らしかった。森の中の大木を映した映像は「命」というものを強く感じさせるものがあって、楽曲の世界観にぴったりハマっていた。


16. ray

定番のブチ上がりソングである。もう会場中の熱気も最高潮だった。『ray』では、花道で演奏しているチャマと増川がリズムに合わせて片手を振りながら観客を煽るのがお決まりとなっている。ここで、毎回のように増川がチャマのほうを向いて左右どちらから手を振り出すべきか確認しているさまが、増川弘明という人間の人柄をとてもよく表しているなぁとほっこりする。


17. 新世界

もう本当に最高だった。最初から最後まで最高以外の言葉が見つからないほどに、最高に楽しくてハッピーに溢れた時間だった。CDで聴いていたときから大好きな1曲だったけど、ライブで聴いてもやっぱり最高に大好きな1曲だ。『新世界』が始まったときの会場のテンションの上がり方は、ちょっともう異様だったのではないだろうか。あっちもこっちも楽しくて仕方ない!もう身体全体がウズウズして勝手に動き出してしまうんだーーーー!!!という空気がドーム中に溢れていた。だってもう歌い出しから完ぺきなのだ。〈君と会った時 僕の今日までが意味を貰ったよ〉なんて今まで何度もBUMPの歌で救われてきたわたし自身の想いであるし、きっと音楽を通じて何度もリスナーによって救われてきただろうBUMP OF CHICKEN自身の想いでもあるだろう。『新世界』をあと5回演ってくれても同じようにテンションブチ上げで盛り上がれるぜ!!!!というくらい最高に楽しかった。これからのライブでも毎回演奏してほしいなぁ……。

最終日は演奏後にテンションが上りまくった藤原がアカペラで〈ベイビーアイラブユーだぜ〉と観客にコールアンドレスポンスを促して、そこからバンドが演奏に加わってくるというサプライズもあり、改めてこの曲の持つパワーを感じた。あれだけの会場を〈ベイビーアイラブユーだぜ〉というたった一節でひとつにまとめ上げてしまうパワーがあの楽曲にはあるのだ。間違いなく音楽を通してBUMPと観客が繋がった瞬間だった。


18. supernova

『新世界』で異様な熱気に満たされた会場を優しく包み込むようなイントロから始まった『supernova』。たぶんこの曲はBUMPの楽曲の中でも、多くのリスナーの感情面に作用することが多いのではないだろうか。かくいうわたしも、数年前に亡くなった祖母のことを思い出してしまい泣かずにはいられない。


19. 流れ星の正体

どの会場でも演奏前に藤原が一言何かを話して(たぶん「最後の曲です」とかそんなニュアンスの言葉が多かったと思う)、それにザワつく会場の余韻を振り払うように歌い出していた印象。静かな歌い出しから、徐々に楽器隊が加わって、最後は力強く歌い上げる藤原は、ほんとうに魂を削って最後の力を振り絞っているようだった。

〈お互いにあの頃と違っていても 必ず探し出せる 僕らには関係ない事 飛んでいけ 君の空まで 生まれた全ての力で輝け〉という最後の部分は、そのままBUMP OF CHICKENというバンドの活動スタンスを明文化したような歌詞だ。この曲をライブの最後に演奏することの意味を、どうしたって思わずにはいられなかった。20年以上活動しているバンドだからこそより説得力をもったのかもしれない。

 

Ec.01

20. 初日:同じドアをくぐれたら/2日目:バイバイサンキュー

『同じドアをくぐれたら』がアンコール曲として久しぶりに演奏されたのはナゴヤドーム公演2日目のことだった。あまりにも予想外すぎる選曲に、しばらく呆然としてしまったのを今でも覚えている。切々と訴えるように静かだけど激しく歌う藤原の姿をずっと忘れないだろう。

そして同じく京セラドーム2日目からセットリスト入りした『バイバイサンキュー』も意外過ぎる選曲だった。〈僕の場所はここなんだ〉という歌詞が、藤原の歌唱スタンスを代弁するようであまりにも彼の状況にハマりすぎていた。終盤、何度も繰り返される〈ひとりぼっちは怖くない〉という歌詞も強く優しかった。ナゴヤドーム2日目の終演後最後のMCでは感極まった藤原が弾き語りで同曲を歌いはじめ、すでにステージから降りていた升・チャマ・増川の3人が戻ってきて演奏に加わり、フルコーラスを披露するというサプライズもあった。ライブの高揚感に満たされつつも、明日からはそれぞれの日常に戻らなくてはならないことをあの会場にいた誰もが分かっている状況で〈明日はとうとう出発の日だ〉なんて歌い出しの曲を選ぶセンスよ……。それはもう膝から崩れ落ちるほど泣いてしまった。


21. 初日:メーデー/2日目:ガラスのブルース

メーデー』も大好きな曲だ。ドラムソロで感情を顕にする升を見られるのも楽しみのひとつだ。普段クールに演奏している升が吠えるようにドラムを演奏する姿にテンションがブチ上がった。

そして2日目の『ガラスのブルース』では「この曲でこんなに泣いてしまう日がくるとは……」と自分でも驚くほど泣きに泣いてしまった。だってこの曲が終わったらツアーも終わってしまうんだもの。

余談だが、ナゴヤドーム公演2日目では〈だから僕は歌を唄うよ 僕の歌は忘れていいよ でもひとつだけ忘れないで 君が挙げたその手を〉との歌詞変えが披露された。この曲でその歌詞変えはズルいぞ藤原基央ッッ!!!

 

こうして『aurora ark』最終日は幕を下ろすはずだった。

 

ここからが凄かったのだ!!!!!それぞれのメンバーがステージから降り、1人残った藤原が思いの丈を話しつつ「こんなに喋ってる時間があるならもう1曲歌えばいいんだよね」と言ってからの、まさかの2回目のアンコールに突入である。すでにツアーが終わりを迎えたことで涙腺ガバガバ状態だったわたしは嬉しさのあまり発狂した。

 

Ec.02

23. スノースマイル

「なに歌おうかな……」と少し考えた藤原が「俺のバンドがどれだけカッコいいかってことを見せてやる」と宣言してからのあの有名なギラーフレーズからのイントロである。次々にステージに戻ってくるメンバー。チャマに至っては上半身裸である。間奏部分で「俺のバンドカッコいいだろ」と叫んだ藤原の嬉しそうな笑顔は今でも脳裏に焼き付いている。ぶっつけ本番でこんなにハモリも演奏も完ぺきにできるものなんだな……とプロの本気に感心した。当たり前だけどBUMP OF CHICKENってやっぱりバンドなんだな、と強く思った。

 

24. 花の名

突然の『スノースマイル』演奏に会場中がザワつく中、「もう1曲ぐらいできるかな」という藤原の一言からまさかのサプライズのサプライズ。もう訳が分からなかった。藤原がワンコーラスを歌いきったところでチャマと升も演奏に加わってくる。増川の演奏がかなり危なげでハラハラしつつも、途中からは完ぺきな演奏を披露してくれた。ぶっちゃけサプライズでもう1曲歌ってくれるところまでは想像していなかったと言えば嘘になる。でも流石に!サプライズで2曲目突入は誰も想像していなかっただろう。わたしは度肝を抜かれたよ!?

演奏後に藤原が「ヒロ、2番から思い出したんだって」と笑いながら暴露していた。増川の覚束ない演奏にはそんな裏話があったのか。そんなトラブル含め、いかにもライブっぽくて良かった。

 

 

こうして『aurora ark』は本当に終演を迎えた。

増川が最後に「じゃあね」と明るく言ったあとにボソッと「さびしい」と呟いていた。彼の言葉にはいつでも彼の想いが素直に表れていると信じているわたしは「ほんとにさびしいよ」と心の底から同意し、嗚咽した。ツアーが終わったあとの「さびしい」という気持ちは何なのだろうか。大好きな音楽からたくさんのパワーを貰ったのに、やっぱり最後はさびしさを感じずにはいられない。

7月から始まった『aurora ark』というツアーはBUMP OF CHICKENというバンドの音楽に対するスタンスを改めてリスナーに訴えかけるようなツアーだったように思う。彼らが事あるごとに伝えてきた「音楽は聴かれることで意味を持つ」というスタンスを楽曲はもちろんMCからも演出からも、それこそライブ中の節々で感じられた。

そしてやっぱりわたしはBUMP OF CHICKENというバンドが大好きなのだ。

いつまでも健康で楽しく音楽を続けておくれ。

 

BUMP、アイラブユーだぜ!!!!!!

 

 

おわり。

ご覧いただき、ありがとうございました。

 

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