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健康な体があればいい

BUMP OF CHICKEN TOUR『ホームシック衛星2024』at Kアリーナ横浜(2024.2.12)感想

BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024 Kアリーナ横浜公演

 

ついこのあいだツアー開催のアナウンスを聞いたばかりのような気がするのに、あっという間に当日になってしまった。

時の流れは本当に早いものです。

という訳で約1年ぶりの更新である。前回は『 be there』ツアーの初日の感想を記していた。

久しぶりに読み返してみたら〈自分でも驚くほどに全国各地を回ることになったので、せっかくならできる限りブログに残してみたい。〉などと記してある。なんということだ、全く果たされることなく今日を迎えている。

失敗からはしっかり学びを得るタイプなので、今回はそのような大口は叩きません。

恐らく次回更新は来年以降になることでしょう。

もしくはBUMPに何か大きな動きがあったとき。

本命はニューアルバムリリースですが果たして!?

 

という訳で今回もセットリストを追いつつ詳細に感想を書き連ねていきます。

もっとコンパクトにネットメディア風にいい感じにまとめ上げたいけど、自分にはそれは無理なので諦めました。

長くなるけど読んでください。もちろん自分の記録的な意味も大きいけれど、何よりの目的は読んでもらうことにあります。

 

本エントリーはセットリストやMC等のネタバレを含む内容になりますのでご注意ください。

 

***

 

BUMP OF CHICKENの結成記念日である2月11日、の翌日である2月12日Kアリーナ横浜公演がわたしにとっての『ホームシック衛星2024』初日となった。

グッズは前日に希望アイテムを購入済みだったので(朝イチの物販から夕方のライブ時間まで空き時間を持て余すのがダル過ぎたのでチケットもないのに初日である11日に会場へ足を運び希望アイテムを購入するという暴挙に出た。暇人にしかできない芸当)、昼過ぎに自宅を出発して16時前に横浜駅着。まずは昨日その存在すら忘れていたツアトラを探しに行った。前日の物販があまりにも過酷であり、完全に寒さで体力を奪われ切ったわたしはグッズを無事に購入できた安心感も手伝いツアトラの存在を完全にド忘れして帰宅していた。あまりにもうっかり八兵衛過ぎる。次はガチャガチャコーナーへ。初日の混雑の影響かスタッフさんに代金を渡してガチャ本体に手を突っ込んで希望回数分のカプセルを取り出す方式に変更されていた。正しい改善だ。我々はガチャを回したいのではなく、藤原基央がイラストを手掛けたキーホルダーを欲しているのだから。1度だけチャレンジしたら既に所持していたものと見事に被る。仕方ないのでXこと旧Twitter上で交換postを流して無事に交換成立。オタクのコミュ力が発揮できて良かったです。

 

16半時過ぎに会場入り。エントランス的なホールでしばらく時間を潰して17時を過ぎ、ようやくアリーナ内へ。

座席はA席指定という区分けだったが、その実ほぼアリーナと同レベルという良席。ステージ正面でモニターも見やすく最高だった。何より最高だったのは周りの人が誰一人カラオケ野郎でなかったことです。素晴らしい!

 

今回のツアー、アリーナ内に入った途端から凄まじい感動と大きなサプライズが待ち受けていた。

ステージ下手には電波塔のような大きなセットが組まれ、モニターには満天の星空。宇宙との交信を思わせるような環境音が流れるそこには、まるで宇宙船の中にいるような空間が見事に作り上げられていた。 開演前の影ナレもまるで宇宙的な生命体と交信しているような、文字に起こすなら全てカタカナ表記されるような調子のナレーションで場内の宇宙感をさらに高める素晴らしい演出だった。

 

開演予定時間を10分ほど過ぎた頃、場内の照明がすべて落とされた。

いよいよわたしにとっての『ホームシック衛星2024』が開幕する。

 

という訳で当日のセットリストです。

 

BUMP OF CHICKEN TOUR

ホームシック衛星2024 Kアリーナ横浜 2024.02.12

OP. 星の鳥

01. メーデー

02. 才悩人応援歌

03. ラフメイカ

04. アルエ

05. ハンマーソングと痛みの塔

06. ひとりごと

07. 花の名

08. 飴玉の唄

09. 東京賛歌

10. 真っ赤な空を見ただろうか

11. かさぶたぶたぶ

12. 望遠のマーチ

13. ray

14. プレゼント

15. fire sign

16. 星の鳥 reprise

17. カルマ

18. voyager → flyby アレンジver.

En.01 Spica

En.02 ガラスのブルース

 

 

***

OP. 星の鳥

冒頭の『星の鳥』が聴こえた瞬間から完全に2008年のホームシック衛星だった。
わたしは完全なる後追い勢なので2008年当時のライブを体験していない。しかしBUMPを追いかけるようになってネットで彼らの関連動画を見漁っていた頃に海外の動画サイトにNHKで放送された『スーパーライブ BUMP OF CHICKEN~プレゼント~』の動画が違法アップ(すみません)されているのを見つけ、以降、繰り返し繰り返し見ていた時期がある。その映像内で行われていたライブが今まさに自分の目の前で始まったような驚き。長澤まさみよ、今すぐナレーションを入れてくれ。

 

01. メーデー

アルバム『orbital period(以下op)』同様に『星の鳥』から続くように始まった『メーデー』。終演後にどなたかが「今回はここ最近のライブで恒例になってる煽りがなかった」という旨のpostをされてて、確かに……と今さらながら思う。

わたしがもう少し若ければ喜んで縦ノリしたことでしょう。

〈一度手を繋いだら 離さないまま外まで 連れて行くよ 準備はいいかい〉という歌詞変えがなされていたことをうろ覚えながら記憶しているので書き留めておきます。

 

02. 才悩人応援歌

ツアー開催が決まって以降、opを聴き返していてその度に好きだなぁ……となる一曲。もう何回同じことをブログに書いただろうかと自分でも思うが、やはり喉(声帯)が千切れそうな必死さで絞り出されるような藤原基央の歌い方が好きなので『才悩人応援歌』のあのギリギリな感じすごく好きだな、と思う。いや、そんな穏やかな感情じゃないな。どちらかというと「フォーーッッッ」的なテンションで好きだな、と思う。ブチ上がると表現した方がぴったりくる。燃えたぎった血液が全身を駆け巡るような興奮と凄まじい喜びに満たされる感覚。今回もやはりニヤニヤを抑えられなかった。

あと超絶早いリフを弾く増川弘明も最高にイカしていた。『才悩人応援歌』のあのリフはめちゃくちゃカッケー!!!ですね。

そういえば間奏部分のギターギャンギャン弾く部分で藤原さんが「ハッ!!!」て気合い入れみたいな声を上げていたことを唐突に思い出した。あんな彼もけっこう好きです。

 

03. ラフ・メイカ

04. アルエ

この流れはもう完全に「ブチ上がれ!!!!!」という指示がBUMP側からなされたと理解しても異論はあるまい。もちろんブチ上がった。ギターギャンギャン鳴らされると血湧き肉躍るタイプのオタクなので『才悩人応援歌』に続き『ラフ・メイカー』から『アルエ』の流れはギターロックらしいアツさを感じられてとても嬉しかった。

ここ最近のキラキラしたサウンドの曲ももちろん好きだが、ひたすらエレキを弾くぜ!!!!という曲からでしか得られない喜びも確かにある。だってやっぱりわたし、バンド音楽が好きだし。藤原基央増川弘明が向き合ってギター掻き鳴らしている光景、最高にアガるぜ。

 

05. ハンマーソングと痛みの塔

多分ライブで聴くのは初めて、なはず。

『Hello,world!』リリース時に行われたSpecial Liveのライブビューイングで見たのが、わたしが見た唯一のライブパフォーマンスだと思う。

セットの電波塔(仮)がここぞとばかりにビカビカ光を放っていてちょっと笑ってしまった。確かに君は塔だけれども。わたしの前にいた男性が藤原基央の歌に合わせて拳をガンガン突き上げてて良かった。ライブには、それまで一度も会ったことのない赤の他人が抱く楽曲への迸るような熱い想いに不意に触れてしまうような瞬間がある。そんなとき、あぁこの人にもこの人だけの想いがあってBUMPの音楽と向き合っているんだなぁ……と感じられてグッときてしまう。

間奏に差し掛かったとき、花道でギターソロを弾く増川に向けて藤原が「ヘヘヘイ!」とご機嫌な様子で合いの手を入れていたのがとても良かった。

 

06. ひとりごと

ここまでの流れとは打って変わって優しく響く藤原の歌声が心地良かった。当たり前なんだろうけど曲によってこんなにも歌い方を変えられるものなのだなぁ。

 

07. 花の名

アコギのイントロが美しい。わたしはこの曲の冒頭〜1番Aメロあたりで増川が体ごと藤原のほうを向いてアコギを演奏する様がすごく好きだ。藤原の呼吸を読むように一音一音丁寧にアコギを演奏する増川と、ピンスポに照らされながら歌う藤原の姿、この光景には何度見ても「いいなぁ」と思える尊さのようなものがある。

そして相変わらず『花の名』は多くの歌詞変えが行われる楽曲でもある。以下、記憶の限り書き記す。

〈一緒に見た空は忘れても 一緒にいた今は忘れない〉

〈生きる力を借りたから 声がでるうちに歌にしなきゃ〉※もしかしたら〈歌わなきゃ〉だったかもしれない

ラスサビ最後〈あなたとだけ開けたドアがある〉

 

08. 飴玉の唄

今回のツアーの大本命的な一曲。ついに歌われたか。いつかライブで聴きたいと思っていた楽曲だったのですごく嬉しかった。この曲は凄まじいことを歌っている。「信じる」という行為が極限まで達すると「裏切られる」という行為が成立しない、そんなことわたし1人だったら絶対に気付けなかった。

この楽曲は詞の素晴らしさはもちろん、藤原の歌いかたも無垢さと寂しさが共存するような優しいAメロから伸びやかなBメロ、徐々に熱を帯びていくサビ、さらに感情が溢れ出し、遂に決壊したかのように一心不乱に訴えかけるような大サビまで、ボーカリストとしての彼の表現力を存分に味わえる楽曲だと思う。

あぁ本当に素晴らしかった。最高だった。

あとやっぱりメロディがすごぉく美しいですよねぇ……

 

09. 東京賛歌

藤原のハーモニカを聴けて嬉しかった。

わたしは埼玉生まれ埼玉育ちでいわゆる上京のような経験をしたことがない。それなのになぜか『東京讃歌』の歌詞が刺さりまくってしまいエグエグ泣いてしまった。ふだん、イヤホンから聴いているときにはそんな心境になったことはなかったので自分でも驚いた。これぞライブマジック!若かりし頃のBUMPの面々に思いを馳せ勝手に高まってしまった末の涙、だったのかもしれない。

 

10. 真っ赤な空を見ただろうか

いやぁ〜、参った参った。この曲は本当に聴けば聴くほど好きになる。「うわぁ!めっちゃ好きな曲だぁ……」と感激しながら聴いてたら凄まじい歌詞変えをブッ込まれ「ふわッッ!!?!?!」となって必死に覚えようと頑張ったのにあまりの衝撃に全忘れした。ポンコツ過ぎる。

ライブ終わりにその旨をXにpostしたら、素晴らしい記憶力を持つ方が引用の形で教えてくださった。ありがとうございます!!!!以下がその凄まじい歌詞変えです。

〈そんな心馬鹿正直に話してる君が大好きだ〉

〈だからせめて続けたい 続ける意味は君がいる〉

 

11. かさぶたぶたぶ

これもいつか聴きたいと願っていた曲。

演奏前に藤原が「君たちは手拍子も上手だろ?」みたいなことを言いながらリズムをレクチャーしてくれた。序盤はリズムに合わせた手拍子も難なくこなしていたけれど、楽曲に集中すればするほどその両立が難しく、途中から完全にリズムキープに意識が持っていかれた。もし次に同じような状況に陥ったらサッサと手拍子を諦めて聴くことに全集中したい。それにしてもやっぱりかさぶたを主人公にした歌を作ろうと思えるその発想、恐れ入る。わたしが子を持つ親なら是非とも我が子に聴かせたい!と強く思っているのだけど、わたしには我が子がいないので、我が子を持つ親の皆さんどうでしょうか?

 

12. 望遠のマーチ

冒頭から続く一種のノルタルジーな雰囲気を良い意味で吹き飛ばした一曲だったと思う。観客の多くがop期の楽曲に照らし合わせてかつての自分を見つめているような時間が続いた後で、比較的新しい楽曲である『望遠のマーチ』。これまでとは種類の違う、例えていうなら個々の中で育っていた熱気が会場全体でひとつの熱気に移り変わる、みたいな盛り上がりの変化を感じた。この楽曲が持つ特有の推進力は凄い。特にサビの〈希望 絶望〉部分のように観客のコーラスが加わる部分は完全に『オレたちのアンセム』として成立していた。あの頃のBUMP OF CHICKENから今のBUMP OF CHICKENへ一気に引き戻されたように感じた。それにしてもなんて疾走感あふれるメロディなんだ。こんなに瑞々しく逞しい曲だったんだねえ。ライブで聴くたびに好きになる。

ライブで聴いたのは久しぶりだったけど最後の「ヘイ!」をしっかり一緒に叫べて嬉しかったです。

 

13. ray

ありがとう!今回はさすがにセットリストに入らないか!?と思っていたのに演ってくれたんだね!!!何を隠そう『ray』大好き芸人なのでイントロが聴こえた瞬間、秒で歓喜の奇声上げそうになりました(でも我慢した、えらい)。

イントロに合わせて直井がリップシンクしながらベースを弾いてる姿を見ただけで幸せで泣けてきた。コロナ禍を経たわたしたちはその景色が当たり前じゃないことを痛いくらいに知っている。だからこそ『ray』が演奏されるとき、その空間に満ちた幸せなオーラにわたしは涙が止まらなくなってしまう。それなりに歳を重ねてきた。人生の辛さややり場のない怒り、どうすることもできない悲しみも経験した。それでも〈生きるのは最高だ〉と歌い続けていくことに意味がある。だからこそ、これからもライブのたびに藤原基央は〈生きるのは最高だ〉と歌い続けるだろうし、わたしたちにも一緒にそう歌おうと促してくれるのだと思う。

 

14. プレゼント

『ray』の余韻が残ったままの会場で静かに始まった『プレゼント』。藤原が〈お尋ねします〉と歌い始めたときぶっちゃけ「あぁ、これが最後の曲なのかも知れない。早いなぁ…」と思ったのはわたしだけじゃないはず。

この曲も静かな序盤をひっくり返すように感情を爆発させて歌う終盤の藤原基央が堪らん曲である。文字通り声を震わせて魂を込めて歌うその姿、そして最後はやっぱり優しく〈ほら またどこかで涙の落ちる音〉と歌ってくれる。わたしたちを探してくれる。

 

15. fire sign

いやぁ、完全に『プレゼント』が本編最後だと思っていたので『fire sign』の演奏が始まったときには「マジで!!?」と歓喜した。会場中が赤いPIXMOBで照らされててすごくきれいだった。あの一つ一つが命の火なんだよなぁなんて思いながらその光景を眺めた。

ライブでの『fire sign』といえばここ最近は最後のシンガロング部分で増川弘明大先生によるトンチキ歌唱指導が入るのがお約束になりつつあったが、今回はそういった演出は特になし。とはいえメンバーがそれぞれバッチバチにアレンジしたベースやギターを披露するなか会場中が一体となってシンガロングするのは、すごくライブっぽい楽しさだよなぁと思う。

 

16. 星の鳥 reprise

17. カルマ

『プレゼント』でも最後の曲か?と思って、『fire sign』でも今度こそ最後の曲だな!?と思っていたので流石に『カルマ』のイントロ弾き出したときには「マジかよwww」状態になった。この流れでこんなにブチ上げソングを放り込んでくるだなんて、さすがに誰も予想できなかったでしょう。やはり人気曲なんだろうなぁ、会場の熱気がまた一番上がった気がした。まぁ例に漏れずわたしもブチ上がった訳ですが。ライブで聴くテンポ早い曲、とてもいい。もうあのイントロの速弾き(と呼ぶのか?)を聴いただけで「フォーー!!!!」となった。

 

18. voyager → flyby アレンジver.

本編最後でこの日いちばんのサプライズ。

最初「あぁなるほど……」と思いながら聴いていたら、なんかいろいろ追加されてて呆然とした。知ってるけど知らない曲状態。今日、このツアーで歌うからこそ意味を持つような素敵なフレーズがたくさんあったのに驚きと嬉しさでいっぱいいっぱいになってしまい何も覚えていない。ライブ後にインターネッツの叡智を大集合させて

あの幻の歌詞を書き起こしている方がいましたね。ありがとうございました。いつか音源としてリリースされるのでしょうか。

余談。起床時のアラームをBUMPの楽曲に設定している。しばらくは『Aurora』にしていたが、ちょっと前に夢うつつで「いい曲だなぁ……」と思いながら1番が終わるまで寝続けるという失態を冒して以来、『宇宙飛行士への手紙』にしていた。しかし、この日以降は『Voyager』に変更した。よく考えてみたら『Voyager』のやさしいアルペジオは起床のBGMにピッタリだったのだ。

 

ここで本編は終了。

まだまだ興奮が冷めぬまま、会場にはアンコールを期待する拍手が起こり始めていた。

 

En.01 Spica

何だか久しぶりに聴いた気がする『Spica』。

『望遠のマーチ』同様にセットリスト入りした曲の中では比較的最近の曲であるが、〈声に出せば鳥になって 君へと向かう名前ひとつ〉というフレーズは今回のツアーのコンセプトと相性が良さそうだ。

というか、藤原基央は本人も常々語っているように昔から同じことを歌い続けている。

だから、例えば今回のツアーが日頃BUMP OF CHICKENの音楽を聴いているリスナーのことを彼ら自身が探しに行く、そして実際に音楽を届ける、というコンセプトだとして、そこでどんな楽曲を演奏されたとしても、まるで今日のために作られたかのようにぴったりとハマってしまうものなのかもしれない。

最後が〈いってきます〉で終わるだなんて、ツアーの始まりに相応しい一曲だ。

 

En.02 ガラスのブルース

この日、BUMP OF CHICKENが最後に演奏したのはやっぱり『ガラスのブルース』だった。

こういった節目のライブには『ガラスのブルース』が外せないよなぁ。

いちリスナーであるわたしがそんな風に思うぐらいなのだから、彼ら自身はもっと自覚的に選曲しているだろう。

観客に向かって届けようと演奏してくれる彼らの姿は大好きだけど、ドラムの升を中心に、4人で向き合って楽しそうに演奏している姿が何よりも美しくて大好きだ。ただただBUMP OF CHICKENというバンドが28年間も活動を続けてくれたことに改めて感謝の想いが溢れた。

最後の最後に藤原基央は〈唄を歌う〉と歌うべきフレーズを〈君を探す〉と変えていた。

なんて粋な歌詞変え。

そういえば、この日最初に披露された『メーデー』の途中、藤原は定番の挨拶「こんばんは、BUMP OF CHICKENです」と叫んだあとに続けて「僕らの音楽を聴いてくれている君を探しに来ました」といった旨の発言をしていた(すみません、細かな言い回しは違うかも。でも〈探しに来た〉という表現は確実にしていました)。

だからこそ、わたしにはツアースタートの2daysが〈君を探す〉というフレーズで締めくくられることに大きな意味があるように感じられた。

 

ここからは完全に蛇足になる。

藤原は先述のような発言の際には「音楽を届けに来た」といった言い回しを多用している。

だから今回のライブで「探しに来た」「探す」という言い回しを使っているのは恐らく意図的なことだろう、と思う。

言葉の機微に人一倍気を配る人だ。『ホームシック衛星2024』というツアーは、『探す』ツアーなのだろう。

16年前に行ったツアーのタイトルを再び冠して、彼らと同じ周回軌道上にいる、あの頃にBUMP OF CHICKENの音楽を聴いていたリスナー、あの頃から今までBUMP OF CHICKENの音楽を聴き続けたリスナー、そして今のBUMP OF CHICKENの音楽を聴いているリスナー、あらゆるリスナーを探し、そして音楽を届ける。そういった強い決意のようなものが〈君を探す〉というフレーズに込められているように感じた。

 

こうして『ホームシック衛星2024』の最初の地であるKアリーナ横浜公演は幕を閉じた。

藤原は最後に「ベタだけと言わせてほしい。ホームシック衛星ツアー行ってきます!」と嬉しそうに叫びながら大きく両手を挙げていた。すごくすごく素敵な光景だった。

 

まだ一公演しか足を運んでいないので、まだまだこの先ライブを重ねることで感じることも変わってくるかもしれない。

それでも、今回のツアーはいつもよりストイックに『ホームシック衛星2024』というツアーの概念を伝えようとしてくれているのかもしれないなぁ、なんて感じた。

それはもちろん、大掛かりな舞台セットや、最初から最後まで一貫して宇宙にこだわって作られたような映像演出、さらに言えばここ数年のBUMPのライブでは恒例となっている愉快なMCの時間ですら意図的に減らされているように感じたからだ。

比較的懐かしい楽曲が多く散りばめられたセットリスト、もしかしたらあの頃の自分たちでは届けきれなかった楽曲の『言いたいこと』を今現在の彼らが再構築して届けようとしている姿勢の表れなのかもしれない。

とはいえ増川弘明の『にぎわい華やか御膳』発言やケーブルに足を取られて危うく転びかける藤原基央など、いつも通り微笑ましい一面もじゅうぶんに見せてもらったのだけど……。

 

何はともあれまだツアーは始まったばかり。

何事もなく、無事にファイナルの地 有明アリーナ公演を迎えられるように、今は祈るばかりである。

 

改めて28回目の結成記念日おめでとう!

そして、BUMP OF CHICKENを続けてきてくれてありがとう!

やっぱり大好きなバンドです。

おわり。

 

▼今までのBUMPOFCHICKEN関連の記事はこちら

・BUMP OF CHICKEN『TOUR 2023 be there』at 有明アリーナ(2023.2.11)感想

・BUMP OF CHICKEN『LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe』感想

 

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BUMP OF CHICKEN『TOUR 2023 be there』at 有明アリーナ(2023.2.11)感想

BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there at 有明アリーナ

 

コロナ禍以降初めてとなるBUMP OF CHICKENのアリーナツアー『be there』が始まった。
CD購入者先行抽選から落選すること多数……。今年の結成記念日ライブはもう行けないのだろうな(涙)と諦めつつもエントリーしていた公式トレードから当選メールが届いたのはライブ4日前のこと。なんてラッキーなんだ!!!


ということで記念すべき『be there』ツアー初日、そして結成記念日でもある2/11のライブに行ってきた。
すでに記憶が薄れつつあるがせっかくの幸運な体験を残しておきたいのでブログにしてみる。

本エントリーはセットリストやMC等のネタバレを含む内容になりますのでご注意ください。

 

実は今回のツアー、土日開催が多いこともあり調子に乗っていろいろな会場の先行抽選に応募していたら自分でも驚くほどに全国各地を回ることになったので、せっかくならできる限りブログに残してみたい。これはもう完全にPATHFINDERツアーの再来であります!(主に参加回数的な意味で)


ツアー最初の地となる有明アリーナは2020年に開業したばかりのとっても新しい施設だ。四角い屋根がそれぞれの角に向かって反るように設計されていてちょっとだけケーキのティラミスっぽい(何となく伝わる人にだけ伝わっていれば良いです)。
アリーナは思った以上にコンパクトな造りで、第一印象は「演者への距離が近い!!!」だった。
というのもわたしが当選したチケットはスタンドA席であった。端からアリーナ席でないことは承知していたのだが、いざチケットに表示された座席を見つけて驚いた。何ということでしょう。2階席の最前列、しかも通路際ではないか。足元に設置してあった注意書きを見るに、どうやら普段は車椅子席として利用されることが多いエリアらしい。あまりにも視界良好な良席だったので(果たしてこの席で間違いないのだろうか……)と不安な気持ちが募る。思わず同じ並びに座っていた方に「この席番ってここで合ってますよね?」とお声掛けしてしまった。どうやらその方も良席具合に多少は不安を感じていたらしく、お互いにチケット画面を見せ合い間違いないことを確信。あの時のあの方、その節はお世話になりました。着席早々のほっこりエピソードと思っていただきたい。

 

ラップ多めの客入れBGM(洋楽オンリー)が流れる中、開演前最後のアナウンスがありいよいよメンバーの登場となる。
まず初めにステージに姿を現したのは升秀夫だった。ここまではいつもどおりのBUMPのライブだ。しかし、ここからがちょっとしたサプライズだった。たくさんの歓声に応えるようにドラムスティックを天に突き上げながらステージを進んできた升は、そのまま花道を歩き、その先にあるサブステージまでやってきたのだ。続くように姿を現した増川弘明、チャマこと直井由文もそれぞれ花道を歩いてくる。まさか1曲目からサブステージで演奏するのか。驚きがすごい。3人の登場から少しして藤原基央が現れた。花道をゆっくり歩き、サブステージまでやってくると背を反らせて大きく伸びをする。傍らに控えていたギターを持つと、そのまま高々と掲げた。
いよいよ『be there』ツアーのスタートだ。

 

BUMP OF CHICKEN TOUR 2023
be there at 有明アリーナ 2023.02.11

01.アカシア
02.グングニル
03.天体観測
04.なないろ
05.才悩人応援歌
06.クロノスタシス
07.Flare
08.66号線
09.ベル
10.新世界
11.SOUVENIR
12.Gravity
13.スノースマイル
14.サザンクロス
15.GO
16.ray
17.fire sigh

En.
18.ホリデイ
19.ガラスのブルース

En.2
20.BUMP OF CHICKENのテーマ

 

01.アカシア
ここ最近のライブでは1曲目に演奏されることが多い『アカシア』。
キラキラしたイントロで一気に感情が昂ぶってしまう。まるでこれから始まるツアーがリスナーそれぞれにとって宝石のような特別な時間になることを予感させるようだ。ポケモンのコラボ楽曲として制作されたこの曲は、あまりにもBUMP OF CHICKENの音楽とリスナーの関係性に当てはまる。そんなことを考えながら心を落ち着かせようとステージに視線を向けるとチャマの姿が目に入った。彼があまりにも楽しそうに花道を歩きながらベースを演奏している、その姿でわたしの涙は一気に決壊した。今、BUMP OF CHICKENのライブにいるのだ、という実感が体中を駆け巡り、ただただ喜びの感情が爆発する。次から次へとうれし涙が溢れ出し、自分でも驚くほどに泣いてしまった。最近は、いわゆる泣かせ曲よりも明るい曲調の楽曲に涙することが多い。楽曲の持つ空気感がハッピーであればあるほど、会場のムードがポジティブであればあるほど、幸せな気持ちが胸に響いてしまい涙が止まらなくなる。うれションのような現象かもしれない(?)。

 

02.グングニル
『アカシア』の興奮が冷めないままの会場。升のドラムを合図に勢いに乗ったギターが鳴り響く。BUMP初期の楽曲『グングニル』だ。随所に散りばめられた若さの象徴のようなギャンギャンに鳴るギターが観客の熱を一気に引き上げる。さっきまで喜びの涙を流していたわたしもあっという間にブチ上げ状態だ。BUMPの楽曲にはその時その時の彼ららしさが詰まっているが、初期の楽曲は特にギターがギャンギャン系のものが多い印象だ。ギターギャンギャン系楽曲が大好きなわたしは、やはり全身で彼らの鳴らす音の渦に巻き込まれるのであった。

 

03.天体観測
早くも彼ら最大のヒットナンバーの登場である。『天体観測』といえば「泣く子も黙るオーイエーヘイアハーン(C)藤原基央」だ。とはいえコロナ禍以降はそれらのお約束の展開は一切行われることがなかった。しかし今日からは違う。そう、BUMP OF CHICKENは今回のツアーからマスク着用のうえで声出し解禁を正式決定していた。藤原は、かつてのように会場に『あの大合唱』を促すように歌った。会場中の観客が待ってました!と言わんばかりに拳を突き上げながら「オーイエ〜」と大合唱する様子には(ようやくここまで日常が戻ってきたんだな……)と感慨深い気持ちになった。実を言えば、個人的にはコロナ禍の無発声をルールとしたライブ自体にはポジティブな感情を抱いている。まるでカラオケのように大声で歌う客や、会場のムードをぶち壊すようなタイミングで放り込まれる歓声に嫌悪感を持つことも多かったので、それらとは無縁のコロナ禍のライブがひどく快適に感じられていたからだ。しかし、いざ久しぶりに観客の大合唱を耳にすると、少なからず感動のようなものを覚えた。とはいえ、この時点でのわたしは声出しという行為自体にまだ不安を持っていたため、藤原の掛け声にもなかなか応じられず心の中で叫んでいるような状態であった。

 

『天体観測』を演奏後にちょっとしたMCタイム。
藤原から声出し解禁となった喜びが語られた。曰く「普段の生活でオーイエアハーンなんて言うことないでしょ?お茶碗洗いながらアハーンなんて言わないでしょ?だから今日は思う存分オーイエアハーンって言ってってよ」とのこと。「お茶碗洗いながら」と言いながらちゃんとお茶碗洗う仕草してて(お茶碗洗ってるのか……?)と妙に生活感を感じられるMCがとても良かったです。こういったどうでも良い部分に藤原基央藤原基央っぽさを強く強く感じてしまい、我々のような強火オタクはまんまと沼へとハマっていくのである。

 

04.なないろ
場所をメインステージに移しての4曲目は朝ドラ主題歌を務め、一昨年(もう一昨年なの!?)の紅白歌合戦でも披露された『なないろ』だ。カラフルな照明が会場中を映し出し、本当に素晴らしい光景だった。それらの演出に合わせるように歌われる〈キラキラ キラキラ〉という藤原の歌声が本当に美しくて、どこまでも響いていくようだった。

 

05.才悩人応援歌
またしてもギターギャンギャン系楽曲である。ステージを照らすライトも、観客一人ひとりの腕に巻かれたPIXMOBのライトも真っ赤で、そんな真っ赤に染まるステージでギターを激しく掻き鳴らす藤原と増川の姿がとてもカッコ良かったことが強烈に記憶に残っている。あの真っ赤な演出は本当に素晴らしかった。
わたしは藤原のまるで喉が千切れるのではなかろうか、と心配になるような切羽詰まった歌声が大好きだ。『才悩人応援歌』の〈隣人は立派 将来有望 才悩人〉から続くフレーズが特にそういった藤原を強く感じられて非常にブチ上がるポイントである。世間的に言えば売れきった側であるBUMP OF CHICKENがこういった強いメッセージを歌っているという事実にも何だかゾクゾクしてしまいとても良かった。
キラキラしたBUMPもいいけど、こういった《陰》のBUMPも最高なんだ。

 

06.クロノスタシス
ゴリゴリのギターロック『才悩人応援歌』に続いて披露されたのは去年リリースされたばかりの『クロノスタシス』。美しくてドラマティックな展開が魅力のメロディアスな楽曲だ。AメロBメロではじぶんの身の回りで起こる小さな範囲での出来事を歌い、サビに差し掛かった途端にその世界は街へと広がっていく。その歌詞に合わせるように広がっていくメロディがとても美しい。そんなメロディの広がりに応じるように、サビになった瞬間に真っ白な光の線が場内を照らしていて本当に美しかった。この日は2階席ということもあり、照明を使った演出に心を動かされる瞬間が何度もあった。まるで演者や観客の心の動きを分かったような色や照らし方に(こんなにも楽曲とマッチした照明はなかなかないのではないかしら……)と感心したほどだ。

 

07.Flare
ぐっと抑えられた照明の中、印象的なギターリフで始まる『Flare』。2021年の結成記念日にリリースされた楽曲だ。『Flare』を聴くと外出自粛が叫ばれていた当時の生活を思い出す。まさかこんなにも長い期間に渡って未知のウイルスに恐怖を感じながら暮らす日々が続くとは思っていなかったけれど、それでも、ようやくこうやって声を出しながらライブに足を運べる日が来たのだなと改めてしみじみ感じた。

 

08.66号線
誰にでも【一度はライブで聴きたい曲】というものがあるだろう。わたしにとってのそれが『66号線』である。
藤原がイントロのギターを鳴らした瞬間、あまりの出来事に呆然としてしまった。まさか聴けると思っていなかった。念願の『66号線』を、あの藤原基央が歌っている?????夢が叶う瞬間というのは意外と実感が伴わないものだ。目の前の現実を理解するまでに時間を要し、サビに差し掛かったあたりでようやく(今、わたし、BUMPのライブで『66号線』を聴いているんだ)とじわじわと喜びを感じ始める。ぶっちゃけて言えば、ライブ終演後にBUMP仲間の友人から「66号線演ったの?」とLINEが届いてようやく(わたし『66号線』を聴けたんだぁ……)と真の意味で理解できたのかもしれない。それぐらい大きなサプライズだった。欲をいえば、その友人と聴きたかったのだが。
『66号線』には藤原基央の非常にパーソナルな想いが込められているようで、だからこそ『66号線』を聴くたびにとても尊い気持ちになる。なんというか、彼がアーティストという人生を歩むに至った経験だったり経緯だったり、藤原基央の原点にぶち当たるような回帰感があるのだ。今回のツアー、できればLINEをくれた彼女と『66号線』を聴きたいというささやかな夢ができた。

 

09.ベル
再びサブステージへ場所を移しての演奏。わたし自身ライブで聴くのは初めてとなる『ベル』。メンバーそれぞれがとても丁寧に演奏している姿が非常に印象的だった。

 

10.新世界
「声出せるようになったんだってよ。声出せる曲演るよ!」という藤原のMCとともにあの爆発力凄まじい歌い出し〈君と会った時 僕の今日までが意味を貰ったよ〉が鳴り響いた瞬間、喜びのあまり「ギャーーーー!!!!」と奇声を発してしまった。何となく(お、声出せる曲って『ray』かな?)とか考えていたので完全に虚を突かれた格好です。そうです、『新世界』がありましたね、完全にその存在を忘れていました、こんなに大好きな楽曲なのに!!!!!!!!!
そうなのだ、大好きなのだ『新世界』という楽曲が。でも何となくライブに於ける立ち位置的に『ray』と同じような役割を担っている気がしていたので、すっかり頭から抜け落ちておりました。申し訳ない。藤原が『新世界』を歌い出した瞬間が、間違いなくこの日最高のブチ上がりポイントだった。この『新世界』をきっかけにギアが1段上がった。わたし自身はもちろんだけど、会場全体も確実に。この時までは声出し解禁とはいえ多少の戸惑いみたいなものが客同士にも漂っていた……気がする。でも『新世界』の最初のワンフレーズをきっかけに霧が晴れたように会場内がただただ「楽しい!うれしい!ライブ最高!BUMP最高!」といったムードに満たされたように感じた。何と言ったって〈ベイビーアイラブユーだぜ〉である。他でもないBUMP OF CHICKENに自分たちの想いをこんなにも目一杯伝えられるチャンスだ。それはもう体中で音楽を楽しんだ。幸いにもわたしは通路際の席だ。スペースにはじゅうぶんにゆとりがあった。楽しいの許容量を超えると人間は体の動きを抑えることができなくなる。彼らの音楽に合わせて好きに踊ったり跳ねたりした。あまりにも楽しすぎた。もう一回演ってくれても構わなかった。
『新世界』を演奏し終えると、升、増川、チャマは再びメインステージへと移動を始めた。それに続くように藤原もハンドマイクを握ったままでメインステージへと歩を進める。途中、照明も当たっていない花道を歩きながら藤原が不意に〈ベイビーアイラブユーだぜ〉と歌い始めた。呼応するように場内からハンドクラップと合唱が巻き起こった。嬉しそうに再び〈ベイビーアイラブユーだぜ〉と続ける藤原、ベースを担ぎながら移動していたチャマがそれを弾き始めた。こういった藤原のアドリブ的なお遊びへの瞬発力はチャマがピカイチだと思う。チャマが加われば話は早い。増川も加わり、ドラムという楽器の特性上、一番反応が遅くなったのは升だった。升は、藤原が〈ベイビーアイラブユーだぜ〉と歌い始めた時も、まさかそのままチャマや増川が加わっていくとは思っていなかったのかもしれない。だって藤原が歌い出してもしばらくはゆったりとしたペースを崩さずに花道を歩き続けていたのだから。
藤原のお遊びによって巻き起こった大合唱の〈ベイビーアイラブユーだぜ〉というフレーズが、声出しOKのライブの喜びを雄弁に語っているようだった。

 

11.SOUVENIR
『SOUVENIR』をライブで聴いたのは初めてだった。衝撃だった。こんなにも楽しいのか、ライブで聴く『SOUVENIR』は。『新世界』に負けず劣らずめちゃくちゃ楽しかった。嘘だろ!?ってくらいただただ楽しかった。歌詞に合わせておどけたように走ったり歩いたりしている藤原も本当に楽しそうだった。まさかここまでのパワーを持った楽曲だったとは……。ライブのたびに演奏してほしい。それくらい楽しかった。色んな人に『SOUVENIR』の楽しさを味わってほしい。
あんなにもステージ上を縦横無尽に移動する藤原の姿を見られたのもなかなかのレア体験だったかもしれない。歌うことに楽しくなり過ぎた彼がハンドマイクを持ったまま間奏のギターソロに差し掛かってしまい、手にしていたマイクをパンツのポケットに突っ込んで難を逃れたシーンも含めてライブの楽しさを象徴するような楽曲だった。

 

12.Gravity
満を持して初披露された『Gravity』。聴く人々をノスタルジーの渦へと引きずり込むような楽曲。柔らかい声で優しく歌う藤原の姿が印象的だった。とはいえ『新世界』『SOUVENIR』と立て続けにブチ上げ楽曲を摂取したためにテンションが完全にハイに振り切ってしまい、実はあんまり記憶にない。申し訳ない。

 

13.スノースマイル
ライブ開催日の前日、つまり2023年2月10日は首都圏を含む広範囲に渡って雪が降った、という事実をここに記しておく。つまり、そんな日の翌日のライブだったからこそ輝く選曲であった訳なのだ。ライブ前日、白い雪で覆われていく街の景色を眺めつつ(明日のライブで『スノースマイル』演ってくれないかなぁ)などと欲望を膨らませていたのだが、一夜明けたら前日の雪景色が嘘のように晴れ渡る空!溶けて跡形もなく消え去った雪!!といった感じだったので(こりゃないかもな……)と1人ガッカリしていた。有明アリーナにはわたしと同じような思考を巡らせていた客もいたであろう。そんな我々の期待を知ってかどうかは分からないが、アコースティックギターを担いだ藤原があの有名すぎるイントロのフレーズを弾いた瞬間、この日だけの特別感を感じて幸せ度1UPがアップした。『スノースマイル』という楽曲は、その季節性から演奏される期間が非常に限られる曲だ。だからこそシーズン的にいえばギリギリのタイミングだったのかもしれない。おそらく今回のツアーに於いて4月以降に演奏されることはないであろう。

 

14.サザンクロス
『サザンクロス』を聴くと彼らの映像作品『BUMP OF CHICKEN WILLPOLIS 2014』の演奏シーンを思い出してしまうのはわたしだけでしょうか。リリース当時に何度も何度も繰り返し観たもんだから『サザンクロス』といえば、互いに向き合った藤原と増川が間奏のギターフレーズに合わせてひざでリズムを取りながら演奏するシーンなのです。わたしがBUMPのライブに足を運ぶようになったのは2015年以降なのでライブで聴くのは初めての経験である。映像で何度も観てきた楽曲を目の前で演奏されるというのは何とも不思議な感覚であった。

 

15.GO
おいおいまさか『GO』まで演ってくれるのかい。さすがに「わたしのためのセットリストじゃん!!」となりました。今までも『GO』への想いを事あるごとに書き綴ってきた。これとか、これとか。人生で初めての転職活動時、右も左も分からないお先真っ暗状態の頃に一番聴いていた楽曲が『GO』だった。とにかく〈とても素晴らしい日になるよ〉というフレーズには何度も救われた。わたしにとってのおまじないみたいなものだ。大好きなバンドが〈とても素晴らしい日になるよ〉と歌ってくれるのである。そんな最高なことあるかい?今回のツアーで歌ってくれたらうれしいけど、PATHFINDERツアーのときに散々歌われた曲だからしばらくお預けかもな……なんて思っていたけど、そんなことなかった。あまりにも感激してタオルを抱えながらオイオイ泣いてしまった。
ありがとうBUMP OF CHICKEN!!!とても素晴らしい日になったよ!紛れもなくあなた達のおかげだ!!!
皆さんも憂鬱な毎日に疲れたら小さな声で〈とても素晴らしい日になるよ〉と口ずさんでみてはいかがでしょうか。

 

16.ray
『GO』からの『ray』である。そんなの盛り上がるなって言う方が無理なのだ。それはもう踊りまくり飛び跳ねまくり。会場中が「楽しくて仕方ない!!!!」って感じ。そりゃそうであろう。あのビカビカのレーザービームみたいな照明で照らされる会場の中、みんなが手を大きく左右に振っている、これぞBUMPのライブだ。もはやBUMPのライブの恒例行事といっても過言ではない。それくらい『ray』という楽曲はここ数年の彼らのライブで大きな役割を果たしてきた。だからこそ、久しぶりにBUMPのライブに足を運んだリスナーにとっては懐かしく、初めて足を運んだリスナーにとっては憧れの瞬間だったかもしれない。
間奏のギターソロ、サブステージへの移動が間に合わなくなりちょっと駆け足でやってくる増川も、リズムに合わせて全身を左右に揺らして飛び跳ねながら演奏するチャマも、相変わらず無表情でドラムを叩き続ける升も、そしてアウトロのソロを演奏し終わった後に観客に拍手を催促する藤原も、全てがBUMP OF CHICKENのライブお馴染みの光景だ。〈生きるのは最高だ〉という強すぎるメッセージを帯びた歌詞も、未知のウイルスによる大混乱の世界を経験したからこそ余計に胸に響く。あの場にいた誰もがみんな〈生きるのは最高だ〉という歌詞に強く強く共感していたことだろう。

 

17.fire sign
「最後の曲です」という藤原のひと言から始まった楽曲は観客のシンガロングが恒例となる『fire sign』だった。声出し解禁となったライブの最後にシンガロングを選ぶあたりが粋だ。観客それぞれの腕にはオレンジ色の光を放つPIXMOB。その一つ一つがまさしく〈命の火〉のようだった。アウトロのシンガロングに嬉しそうに耳を傾けるメンバーの姿が印象的だった。藤原は花道まで出てきて会場中に響く歌声を全身に浴びているようだった。とても温かく穏やかなムードに包まれたエンディングだったように思う。

 

 

En.1
18.ホリデイ
まさかの選曲で度肝を抜かれた。とても大好きな楽曲だけどライブで耳にする機会なんてないと思っていたからだ。ダメダメな人間のなんてことない日常を見事に楽曲へと昇華させる藤原基央の才能が光りまくってる名曲である。この日は世間的にも建国記念の日、紛れもなくホリデイなのである。思わず(今日はホリデイ)と心の中で呟いた。

 

19.ガラスのブルース
声出し解禁のアナウンスを目にして一番最初に頭に浮かんだ楽曲は『ガラスのブルース』だった。
去年7月の幕張メッセ、発声が制限された状態で行われた『LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe』。いつもだったら観客の歌声で埋められるはずの部分を「愛しい空白」と表現した藤原は丸ごと空白のままで歌い上げた。音が存在しない音楽を聴いて涙を流す経験は、後にも先にもないだろうと思う。だからこそ〈ガラスの眼を持つ猫は星になったよ〉から続く大きなシンガロングには喜びの涙が溢れ、思わず拳を突き上げていた。途中、藤原は〈だから僕は唄を歌うよ 僕はいつも唄を歌うよ きっといつも歌を歌うよ そして君に会えたよ〉と歌い、最後には〈君を探し 君に向けて 歌を歌う〉と歌っていた。何度も〈君〉という言葉を繰り返していることに、彼の、彼らの『一人ひとりに届いて欲しい』という祈りにも近い想いが込められているようで、とても嬉しかった。こんなにも届けようとしてくれているという事実がただただ嬉しかった。

 

En.2
20.BUMP OF CHICKENのテーマ
ガラスのブルース』演奏後、藤原1人を残して升、増川、チャマの3人はステージを去った。藤原はいつもの通りリスナーへの感謝の言葉を述べた後に続けた。「いつも俺って話長いでしょ?話長いの反省したんだよ。だからここ1か月くらい毎晩イメトレしてたの。短く喋ってさっさとステージ降りようって。でも帰りたくなくなっちゃった」そうして照れくさそうに笑うと、再びギターを担いだ。
「何歌おっかな……〈冬が寒くって〜〉はもう演ったし」。これは完全にWアンコールの流れ。即座に理解した会場中からリクエストの声が上がる。わたしは結成記念日はバンドにとってのお誕生日みたいなものだし『HAPPY』を演ってくれたら嬉しいなぁと思っていた。同じように考えた方も多数いたらしく「HAPPY演って〜」という声も数箇所から上がっていた。しばし思案した後に「結成記念日なんだよねぇ…」と呟いて弾き始めたのが『BUMP OF CHICKENのテーマ』だった。これ以上ないくらいにピッタリの選曲だ。さすがBUMP OF CHICKENの楽曲を作詞作曲してる張本人である。
急いでステージに戻ってきて演奏に加わる直井と升。同じく増川も演奏に加わろうとするが、どうやらあまりの突然さに身体がパニックを起こしたらしく印象的な間奏のギターリフを盛大に間違えていた。それはもう盛大に。そんなハプニングも含めてライブ感満載のサプライズだった。aurora arkツアーの最終日にはサプライズで演奏された『花の名』を盛大にミスした増川弘明、きっとあの時と同じように楽屋に戻って悔しがっているに違いない。


こうしてBUMP OF CHICKENの27回目の結成記念日を祝うライブは幕を閉じた。
とはいえ彼らのツアー『be there』は始まったばかりである。
藤原がMCで「ベッタベタだけど言います。行ってきます!」と嬉しそうに叫んでいた。
わたし達が彼らに会える喜びを感じているように、彼ら4人も我々リスナーに会えることを楽しみにしていてくれるのだろう。
どうか今回のツアーが何事もなく無事にファイナルを迎えられますように。

そして、大好きなBUMP OF CHICKEN
改めて27年目の結成記念日おめでとう!
おわり。

 

 

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BUMP OF CHICKEN『LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe』感想
BUMP OF CHICKEN『TOUR 2019 aurora ark』東京ドーム公演感想
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BUMP OF CHICKEN『LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe』感想

BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe

 

楽しかった時間は本当にあっという間に終わるものだ。
藤原基央がしきりに「あと数曲で終わっちゃう」と繰り返していて(まだ始まったばかりじゃんwww)とか思っていたらマジでそこから数曲で終わったので思わず隣りにいた友人に「早くない?????」と言ってしまいました。

 

ということで待ちに待った、ほんっとうに待ちに待ったBUMP OF CHICKENの結成25周年記念ライブ『Silver Jubilee』に行ってきた。
当日は本当にあっという間に終わったという感想が第一で、もちろん久しぶりにBUMPのライブに来たんだという喜びもあったといえばあったのだが、どちらかというとその実感に包まれる前にライブ自体が終わってしまった……という感覚のほうが大きい。ライブ前には「終わったら久しぶりにブログ書くぞヤッホーーーーーイ!!!!」とヤル気満々だったのだが、何しろ実感が伴い切る前に終わったライブといった感じだったためにどうにも自分の中であの時の感情がふわふわと漂い続けているままなのだ。
とはいえわたしにとってもBUMPにとっても、そしてコロナ禍である現状も踏まえても、こんなにも特別な意味を持つライブは少ないと思うので、まとまらない感情はそのままにブログに残すことにした。これ以上期間が空くと記憶が抜け落ちてしまう部分も増えてしまうので。ライブに行かない期間が増えると《ある出来事やそれに伴う大量の感情を覚えておく》みたいな能力がみるみる減退していく気がする。昔はもう少しいろいろと覚えていられた気がする、主にオタク的な視点での感情なども含め。もちろん加齢の影響もあるのでしょう。

 

さてまずは2日分のセットリストを貼ります。
そうなのです、2日間参加できたのです。一緒に行った友人が一般発売でS席を取るというミラクルを起こしました。一般販売って名目だけだと思ってたけどそうではないらしい。

 

BUMP OF CHICKEN LIVE 2022
Silver Jubilee at Makuhari Messe 2022/07/02-03
【 】内は7/3の演奏曲

SE.A Quick One,While He's Away(The Who
01.アカシア
02.Hello,world!
03.天体観測
04.なないろ
05.宇宙飛行士への手紙【ギルド】
06.arrows【イノセント】
07.Small world【Flare】
08.銀河鉄道
09.リトルブレイバー
10.乗車権【才能人応援歌】
11.Aurora
12.ray
13.オンリー ロンリー グローリー【ファイター】
14.メーデー

 

En.
15.クロノスタシス
16.木漏れ日と一緒に(新曲※2日目に曲名が明かされた)
17.BUMPOFCHICKENのテーマ【ガラスのブルース

 

En.2…7/3のみ
18.くだらない唄

 

今回のライブは全席指定席だった。幕張メッセ国際展示場公演での指定席は初めての経験だ。あのだだっ広い空間にひたすら会議用の椅子が並べてある。わたしは2日間ともに開場時間すぐに現場入りしたので、あのだだっ広い空間にわずかな人しかいない光景はなかなか不思議だった。客入れのSEと少しの雑踏音が静かに流れる空間はちょっと異様な雰囲気だったが、あの場所に足を踏み入れた多くの人達からは大きな声こそ上がらなくとも十分に興奮している様子が伺えた。
思わず駆け出す人や、抑えきれないテンションの高まりを全身で表した結果として奇妙な動きをしている人も多くいた。
ステージにはBUMPOFCHICKENを象徴するエンブレムのみがデカデカと掲げられていた。20周年記念のライブの時と同様だ。
なんだかんだ言ってこういう大事なライブのときには、シンプルにあのエンブレムのみを掲げてくれる彼らがすごく好きだな、と思った。

 

初日はおそらく10分か15分ほど押しての開演だったように記憶している。2日目は定時開演だった。やっぱり初日の反省を生かした結果だったのだろうか。

 

オープニングSEはThe Whoの『クイック・ワン』だ。
一番最初にドラムの升秀夫、次に増川弘明、チャマこと直井由文と続き、最後にボーカルの藤原基央が現れた。
ちょっとした驚きは藤原基央がバンドTシャツを着て登場したことだった。ライブでの彼は圧倒的に無地のものを着用してる場合が多く、その理由について彼自身もレギュラーラジオの中で「あとあと見返した時に何か意味を持ってしまうような服は着ないようにしている。どうとでもない服が一番いい」みたいなことを述べていた。そんな彼がバンドTシャツを着ていたことはすごく意外だったし、そのラフな雰囲気がすごく良いなぁと思えた。これは完全にオタクの想像だけど、それくらいリラックスした素の彼らに近い心情で今回のライブに臨んでいるのだとしたら、それはとても喜ばしいことなのではないかと思えたのだ。
スモークで少しだけボヤけた視界にステージ中央で背を反らして気合を入れる藤原のシルエットが見えた。そうして反らした姿勢をゆっくり戻すと、お決まりのギターを掲げるポーズでスタートだ。「ようやくこの日がきたんだな」とじんわり思った。

 

01.アカシア
1曲目はポケモンとコラボしたことで話題を呼んだ『アカシア』だった。
それまでは観客も息を詰めるようにステージを見つめていて、それなりの緊張感に包まれていたように思えた場内の空気が、あのキラキラとしたイントロが流れ出した途端に一気に華やいだ気がした。この曲にはポケモンポケモントレーナーを想起させるような表現が多く見られる。それが、この日に限ってはBUMPとリスナーの関係性に置き換わっていたと思ったのはわたしだけではないはずだ。25周年を記念したメモリアルライブの1曲目に演奏してくれるだなんて「そんなの完全にリスナーへの愛じゃん!!!!」と感激してしまいただただうれしかった。間奏で藤原基央が「やっと会えた」と呟いた。わたしの気持ちを一言一句違わず代弁してくれた。本当にやっと会えたのだ。長かった、本当にこの日まで長かった。延期が発表されてからの様々な感情が胸の中を一気に駆け巡るようだった。ちなみに2日目では「やっと会えた」という小さな呟きが「会いたかったよ」という一言に変わっていた。この変化がすごく良いですよね、えぇとても良いです……..。

 

02.Hello,world!
『アカシア』とは打って変わってバチバチのロックナンバーである。この曲を聴くと、以前チャマが「速くて大変だから弾くことに集中して他の動きが止まる」と笑いながら話していたことを思い出す。ライブで聴くのはBFLYツアー以来(確か)なのでどうしてもBFLYツアーを思い出す。日産スタジアム公演とても楽しかったよね、また日産スタジアムでライブ演ってください、お願いします。
最後の最後に〈ハロー どうも 僕はここ〉を〈ハロー どうも 君とここ〉と歌詞変えしていて最高でした。ほんと《藤原基央のそういうとこやぞ》ポイントでした。

 

03.天体観測
泣く子も黙る〈オーイエーアハーン〉で有名な『天体観測』もコロナ禍だといつものように一緒に叫べないのである。いつもだったらイントロが始まると同時にチャマが拳を振り上げながら「オイッ!オイッ!」とリズムに合わせて観客を煽るのが通例だが今回ばかりはそうもいかない。こういうちょっとした変化に「コロナ禍じゃなければ……」と過去と比べてしまう瞬間が何度もあった。

 

3曲目が終わってメンバーそれぞれから挨拶があった。何となくそんな気はしていたけれど、やはりチャマは例の騒動に関する謝罪を述べ、全身全霊想いを込めて演奏すると話してくれた。慎重に言葉を選んでいるようだったし、だいぶ緊張していたようにも感じられた。増川弘明はいつものように所謂『増川節』を炸裂させて会場の爆笑を掻っ攫っていた。特に2日目に関しては藤原基央に茶々を入れられまくって彼自身も何が何だか分からない状態に陥っていて非常に微笑ましかった。増川に茶々を入れる藤原が本当に楽しそうで、やっぱり藤原も久しぶりのライブが嬉しくて楽しくて堪らないのだろうなと思った。ドラムの升秀夫は相変わらずマイクを通しては何も語らなかったけれどオフマイクで感謝の気持ちを叫んでくれた。弾けるような笑顔と供に。MCパートになった途端にゆるゆるトークになるところも彼らの魅力だ。そして藤原基央はコロナ禍のライブに慣れない我々の胸中を察するように、優しく語りかけてくれた。いつもならわたし達リスナーが歌っている部分は空白のままにする、と。だから安心して楽しんでいってほしい、と。今日という日のライブをどういうスタンスで楽しめば良いのかを演者自ら示してくれるのはとても有り難いことだと思った。いつもならわたし達が歌っていた部分をどうするべきなのか、それをこんな風に愛しい空白に生まれ変わらせてしまえるなんてやっぱり藤原基央は最高だ。
余談だが、2日目のMCではこの初日の空白MCが素晴らしかったと友人に褒められたと照れくさそうに語っていた。そしてそんな風に褒められたことが嬉しかったとも語っていた。本当に嬉しそうに照れくさそうに話してくれて何だかすごく幸せな気持ちになった。藤原基央の身近な人はもっともっと藤原基央を褒めてあげてほしい。わたしの代わりにもっともっと藤原を褒めて、彼を喜ばせてあげてほしいものだ。

 

04.なないろ
イントロが流れた瞬間、場内にうっすらと歓声が上がったように感じた。やっぱり朝ドラ効果って凄いな。
サビの爽やかな疾走感がすごく心地よかった。ライブで演奏される『なないろ』を聴きながら、これを毎朝聴くことができていたってやっぱり凄いことだったんだな……と改めて思うなどした。朝ドラの主題歌を務めるってやっぱりすごく贅沢だ。ところでわたしはサビ前の〈キラキラ キラキラ〉という部分がすごく好きで、その瞬間に幸せ度が20%くらいUPします。会場内を照らすレーザーのような照明が七色ですごく美しかった。

 

05.【7/2】宇宙飛行士への手紙 【7/3】ギルド
『宇宙飛行士への手紙』は大好きな曲である。イントロが響き出した瞬間に「これは!!!!」と隣りの友人と顔を見合わせた。どの曲を演奏されても最高だけど、やっぱり想い入れのある曲を演られると喜びもひとしおである。この曲の〈どうやったって無理なんだ 知らない記憶を知る事は 言葉で伝えても 伝わったのは言葉だけ〉という歌詞は本当に悲しくて切なくて大好きな部分だ。常日頃から思いを言葉に直すことの難しさを雑誌インタビュー等で述べてきた藤原基央が歌うからこそ余計に胸に響くものがある。この一節を聴くたびに、BUMPの音楽の素晴らしさに出会う前の自分を思って少し寂しい気持ちになる。サウンド的な話をすればサビ部分のバックで鳴り響く宇宙的な信号っぽい音が大好きだ。あの音を聴くだけで胸がキュッとする。そういえば今回も恒例の藤ケラトプスが見られて大変良かったです。
2日目に演奏された『ギルド』は、この日、行動を共にしていた友人にとって特別過ぎる楽曲だったので、ぶっちゃけて言えば自分がどうこうというよりも、とにかく感激して泣きじゃくる友人の姿が強烈に脳裏に焼き付いている。イントロが流れた瞬間、思わず笑顔で隣りの友人に目を向けると、彼女は瞬く間に大粒の涙をこぼして泣き出してしまった。きっと彼女にとっては物凄く大きな意味を持つ選曲だっただろう。彼女とは今まで何度もBUMPのライブに足を運んできて、事あるごとに「ギルド歌ってくれないかなー」と話してきた。それがこれ以上ないベストタイミングで実現した。藤原は最後のサビで〈どんな風に生きればいい 体だけぶら下げて 構わないから その姿で 生きるべきなんだよ それも全て 気が狂う程 まともな日常〉と歌った。あまりにも彼女の現状にリンクするような歌詞変えに、本当に魔法のようだと思った。あの『ギルド』は間違いなく彼女へのプレゼントだった。BUMPの音楽は本当にたくさんの人の人生を救っている、その瞬間を目の当たりにしたようだった。

 

06.【7/2】arrows 【7/3】イノセント
初日も2日目も、この6曲目の選曲には驚かされた。まさかこの曲が聴けるだなんて!!!×2である。
まずは『arrows』だ。ギターに乗せて静かに優しく歌い出される楽曲だ。わたしはこの曲を聴くと途轍もない孤独を感じてしまう。なんでこんなにも寂しくなってしまうのか。サビに響くバスドラと思われる音にすら「寂しい〜〜〜〜〜」となってしまう。あれだけ大きな会場で歌われているのに、物凄く孤独を感じる数分間だった。ラスサビの喉が千切れそうな声で歌う藤原基央の歌声が非常に素晴らしかったです。ギリギリな感じが最高に良い。
そして2日目の『イノセント』。聴くたびに「すごいことを歌っているな……」とハッとさせられる曲である。こういった記念ライブで演奏されるような楽曲ではないと勝手に思っていたので、最初なかなか信じられずサビに差し掛かったくらいでようやく「え……やっぱり『イノセント』じゃん」となりました(遅い)。なんていうか、この曲を聴くとわたしはどうにも藤原基央というアーティストに想いを巡らせてしまいます。こんな風に楽曲を解釈するのはもしかしたらとても迷惑な話かもしれないが、サビの部分に関しては特に彼にとっての楽曲制作に対する核となる部分が歌われているようで何だかとてもズシンときてしまう。こんなにも重要なことを教えてもらっていいんですか?みたいな気持ちになる。心して聴かなければ……と一言一句取りこぼさないように姿勢を正したくなる。それぐらい存在の大きい曲です。

 

07.【7/2】Small world 【7/3】Flare
イントロがとても美しい『Small world』は『映画すみっコぐらし』とタイアップした比較的新しい曲だ。とても優しい歌声で、すごく美しい楽曲だと思う。そして間奏のギターがめちゃくちゃカッコいい。ライブで聴きながらどうしてもタイトルが思い出せなくて、それどころかタイアップしたすみっコぐらしすら思い出せなくて「あれ…なんだっけ。タイトルなんだっけ。何とタイアップしたんだっけ」とか余計なことを考えてしまっていた自分に物凄く後悔している。もっと集中しろ。アウトロのリズミカルなギターもすごく好きです。ちなみに『映画すみっコぐらし』は映画館で鑑賞した。作品の雰囲気にもすごくマッチした楽曲だと思う。そう感じたなら忘れるな自分。
『Flare』はコロナ禍以降最初にリリースされた楽曲だ。なので、どうしたってここ数年の目まぐるしい変化に想いを巡らせてしまった。ライブでも指パッチンしていました(音は同期だろうけど)。

 

08.銀河鉄道
ウッッッ……大好きな曲だ。物語をそのまま歌詞にしたような世界観がとても好きだ。『銀河鉄道』を歌う藤原基央の姿を見るたびに「新幹線に乗ると不思議な気持ちになる。自分は座っているだけなのに超高速で移動しているなんてすごく不思議。」と語っていたことを思い出す。『銀河鉄道』という楽曲が間違いなく藤原基央という人から生まれたことを感じられるエピソードですごく好きだ。
この曲をライブで聴くことの醍醐味は〈相手を想うならやめてやれよ ちょっと恥ずかし過ぎるだろう〉と少しハニカミながら歌う藤原基央だと考えますが如何でしょうか。

 

09.リトルブレイバー
『リトルブレイバー』には若いからこその無敵感を強く感じる。そんな曲をキャリアを重ねたバンドが演奏しているというのもすごく良かった。20代の頃に制作された瑞々しさ溢れる楽曲を、25周年記念ライブでデカデカと掲げられたエンブレムを背負って演奏する姿を観られるだなんて……なんて贅沢なんだろう。リリース当時の荒削りな感じも良いが、キャリアを重ねたからこそより丁寧に仕上げられたこの日の演奏も素晴らしかった。やっぱり経験って音に反映されるんだなーとしみじみ感じた。会場の熱気が楽曲の持つ若さみたいなものに引っ張られて一気に「オラオラオラー!!!!」みたいな方向にシフトチェンジした感じもすごく良かった。

 

10.【7/2】乗車権 【7/3】才能人応援歌
9曲目10曲目の流れは両日ともに会場の熱気が一気にブチ上がるみたいな勢いがあったように思う。
『乗車権』の持つ異様な迫力は凄いですね。なんだあの鬼気迫る感じ。わたしが子どもなら泣いちゃうかもしれない。わたしは藤原基央の喉が千切れそうな歌声がとても好きなので、そういった面でも『乗車権』は聴きどころ満載だ。最後の方なんてもう歌ってるというより訴えてるって感じだった。一人芝居を観ているような気分だった。
そして『才能人応援歌』である。この曲が演奏されていた時の会場のボルテージの上がりようはちょっと異様だった。なんかもう凄かった。場内が強烈なエネルギーに支配されてるようだった。なんだどうしたみんな急に10代の鬱々とした時代に戻ったか!?みたいなムードに包まれてたように思う。そうそうそうだよ、BUMP OF CHICKENの音楽ってこうだよね!!!みたいな。バッチバチにキレッキレでした。なんかもう全体的にバッチバチにキレてて最高でした。やっぱりこういうバッチバチにキレッキレなBUMPも最高だよな、と思った。こういった方向にブチ上がる感じ、最近のBUMPライブではなかなか新鮮な感覚だ。

 

11.Aurora
ライブで聴けば聴くほどに現在進行系で大好きになっていっている楽曲。何度聴いても毎回泣きそうになってしまう。〈考え過ぎじゃないよ そういう闇の中にいて 勇気の眼差しで 次の足場を探しているだけ〉って部分、人生に於けるどんなタイミングでも刺さってしまう超キラーフレーズだと思う。リリース当時も電車のホームで泣いたし、今だってちょっと油断したら泣いてしまう。思い浮かべる事象は全く異なるのに不思議だ。バックで流れるギターリフが心地良いですよねぇ……。大サビ前のリズムに合わせて2回手拍子するノリを完全に忘れていたので、前の列の皆さんが一斉に手拍子していて「おぉ!!!」と虚を衝かれました。久しぶりのライブあるある。

 

ここでしばしのMCタイム。
藤原基央が「あと3曲で終わっちゃう」と話し出して驚愕した。思わず「えぇ!?」と声に出してしまうくらいにはあっという間に過ぎたように感じた。いつもこんなに短かったっけ?もうそんなに演奏してくれたの?とただただ驚いた。まだまだ中盤くらいだと思っていたのに。楽しい時間は本当にあっという間なのだと、こんなにも痛感することがあろうとは……。

 

12.ray
BUMP OF CHICKENのライブに行くということは即ち『ray』を聴きに行くことである(超主観)。
演ってくれるだろうとは信じていたが本当に演ってくれて良かった。もうほんとに大好き。こんなにも会場を一気にハッピーオーラに包んでしまう楽曲はなかなかない。みんな本当に楽しそうなんだよな。BUMPの4人も、それを見つめる観客のみんなも。本当に楽しくて幸せで堪らん!!!!!という想いを全身で表した結果があのみんなで左右に手を振るアクションなのだろう。イントロの印象的なベースを以前のように楽しそうにチャマが弾いていることにも何だかすごくホッとした。途中、あまりにも幸せ空間過ぎてめちゃくちゃ涙が溢れた。BFLYツアーでの『Butterfly』でも起きた現象だ。幸せすぎると涙が出てしまう。「こんなにも幸せな時間ってあんまりないよな……」とかしみじみ思ってしまうとどうしようもなく泣けてくる。今回は+αでコロナ禍ということもあり、コロナ禍以前と様変わりしてしまったライブの景色に対しても想いを馳せてしまい余計に涙が止まらなくなってしまった。まさか『ray』で横隔膜が痙攣するほど泣いてしまうとは。ちなみにマスクをつけたままで横隔膜が痙攣するほど泣いてしまうとマジで息ができなくて苦しいのでお気をつけください。
そういえば〈○×△どれかなんて〉の部分でちゃんと照明で○×△が照らし出される演出もご顕在で最高でした。会場の後ろ側の壁に照射されていたあの演出、何人くらいの人が気づいていたかな。せっかくの演出なのでたくさんの人が気づいていたら良いなと思う。アウトロの藤原基央によるアルペジオ、最近は彼が演奏後に観客からの拍手をクレクレする仕草まで含めて『ray』という楽曲のライブ版パッケージとされてる流れ、バンドとリスナーの関係性の上に成り立つノリな気がしてすごくうれしい。

 

13.【7/2】オンリー ロンリー グローリー 【7/3】ファイター
イントロでブチ上げ確定ランキング上位の『オンリー ロンリー グローリー』。『ray』からの流れでもう会場内の熱気は最高潮にブチ上がっていた。めっちゃくちゃ盛り上がっていた。もうここら辺はとにかくブチ上がっていたという記憶しかない。そういえば演奏を聴きながら「こんなにテンポが速い曲だったのか」と衝撃を受けた気がする。
久しぶりにライブで聴いた『ファイター』。やっぱり良いなぁ……としみじみ思った。静かに奮い立たせてくれる応援歌だ。魂が乗り移ったように叫ぶような歌声に感情がグワーッと揺さぶられた。それにしても〈君がいるそれだけで ああ まだ 生きられる〉という歌詞変えは本日2度目の《藤原基央のそういうとこやぞ》ポイントでした。

 

14.メーデー
ちょっとほんとにもうこれ以上盛り上げてどうすんねんってくらいのセットリストである。ここで『メーデー』をぶっ込んでくるのはさすがに優勝だ。この選曲はもう完全にリスナーへの愛である。セットリストでめちゃくちゃ雄弁に語ってくれている。『メーデー』恒例の升秀夫のドラムソロも相変わらずバッチバチにキマっておりました。とはいえこれで最後の曲なんだよな……という終わりを迎える悲しみもあるので感情は大忙しである。それはそうとコーラスの〈メーデー メーデー〉の繰り返し、とても好き。ずーっと聴いていたかったです。


こうして本編があっという間に終了。あまりにもあっという間過ぎた。
メンバーがステージを降りて会場の熱気も冷めやらぬ内に場内にはアンコールの拍手が鳴り響いていた。メンバーにも聞こえていただろうか。聞いてくれていたら嬉しい。あれだけ大きな会場にしては結構揃っていたと思うんだよな、拍手。

 

Encore
15.クロノスタシス
最新曲である。ライブで聴いて改めて思ったけどめちゃくちゃ難しい曲だな。サビの〈並んだままで待つ答えで〉や〈何回も聞いた君の声が〉等の高音部分があまりにも美しくて幸せでした。

 

そしてMCを挟んでまさかの新曲披露へ。

 

16.木漏れ日と一緒に【未発表曲】
バスに乗るところから始まる日常の風景をそのまま楽曲に起こしたような作品。すごく穏やかで優しい曲だった。歌詞に関してはうろ覚え過ぎて大間違えしてる可能性もあるのだが街路樹の葉の隙間から射す光りを〈選ばれた光が肩で踊る〉みたいに表現していて「相変わらずおもしろい表現するな〜」と軽く衝撃だったことは記憶している。初日はタイトルが明かされなくて「なんて曲なんだ!!?」と疑問が残っていたのだが2日目のMCで藤原の言い忘れだったと明かされた。『木漏れ日と一緒に』というタイトルをゆっくり2回繰り返しながら教えてくれる藤原基央の優しさが沁みた。

 

17.【7/2】BUMP OF CHICKENのテーマ 【7/3】ガラスのブルース
当初の予定通りに開催されたらこの曲を演らない訳にはいかないだろっていうあんまり知られてない曲です、みたいなMCのあとに演奏された『BUMP OF CHICKENのテーマ』。4人がすごく楽しそうに演奏している姿が印象的だった。
2日目は『ガラスのブルース』。確か「僕らのもっとも初期に作られた曲です」みたいなMCに続く形で演奏されたように記憶している。恒例の観客が歌う部分は冒頭の藤原のMCどおり丸ごと空白のままだった。それが何だかすごく寂しくて涙が止まらなかった。こんなにも泣きながら『ガラスのブルース』を聴いたのは初めてかもしれない。早くあの空白を埋められる日が来ると良い。「そういえばあんな日もあったね」と笑いながら話せる日が来ると良いなと心底思った。

 

そしてここからは2日目だけのちょっとしたサプライズのお話を。

 

Encore.2
18.くだらない唄
MCでリスナーへの感謝を述べた藤原が「だったら曲やればいいじゃんね」と言い出して『くだらない唄』を演奏しだしたのだ。すでにステージを降りていた他の3人も加わって。ここで『くだらない唄』を選ぶあたりがどうしようもなくBUMP OF CHICKENなのである。もう本当に大好きだ!!!!!と思った。

 

***

 

こうして幸せ過ぎる2日間はあっという間に終わった。本当にあっという間だった。ここには書ききれないけれど他にもたくさんの素敵なことがあった。MCにもたくさん感動したし、相変わらずのグダグダっぷりに笑った部分もたくさんある。
とにかく感じたことは彼らからの多大なる感謝の想いだった。そしてその想いをストレートに伝えるために、限りなくシンプルに、彼らの活動理念に沿って、終始『音楽を届ける』ことに徹したライブだった。
2日目のMCの最後に、藤原基央が意を決したように述べてくれた言葉には、ここ数年の彼らを取り巻く環境を見続けた我々リスナーへの感謝が込められていて、何だか胸が一杯になってしまった。ありきたりだけど、こちらこそありがとうなのだ。とにかく4人でBUMP OF CHICKENを続けてくれてありがとう。ここ数年はあらゆる意味で色々な出来事がありすぎた。でも25周年記念ライブの最後に4人で大笑いしている彼らを見られて本当に本当に嬉しかった。これからもBUMP OF CHICKENの音楽を聴き続けられることが本当に嬉しかった。ようやくBUMP OF CHICKENをお祝いできた。

 

改めて本当に25周年おめでとうございました。
そしてこれからも、どうぞよろしく。

 

あ、最後の最後、ステージ降り際に客席に向けて投げキッスを放った藤原基央がこの2日間最大のほんと《藤原基央のそういうとこやぞ》ポイントでした。

 

おわり。

 

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Mr.Children『永遠』感想

永遠

 

Mr.Childrenの新曲『永遠』がリリースされた。
この曲はNetflix映画『桜のような僕の恋人』の主題歌として、7年ぶりに小林武史プロデュースのもとで制作されたらしい。

タイアップの報せを耳にしてYouTubeで映画の予告を見たときは「また悲恋系映画のタイアップ、そしてバラードなのか……」とややテンションが下がってしまった自分もいた。こう言っちゃなんだがミスチルは悲恋系作品とのタイアップが多い、気がする。数えたわけでもないのであくまでわたしの肌感覚だが。ゴリゴリのロックを歌うミスチルを愛する身としてはやや物足りなさを感じてしまうのも正直な気持ちなのだ。ところが実際に楽曲を耳にして、歌詞に目を通した瞬間に「なんこれ凄い!!!!」とテンションぶち上がってしまったので、こうしてめちゃくちゃ久しぶりにブログを書いています。もう桜が咲く季節になるというのに2022年最初のエントリーだよ!

 

この曲、何が最高って歌詞ですよ、歌詞。
最初から最後まで記憶の中にだけ残り続ける〈君〉への想いを吐露する歌詞が最高。
『ネチっこい恋愛ソングを書かせたら桜井和寿の右に出る者はいない』と常々思っているが、この曲はそんな桜井和寿が堪能できる素晴らしい表現が満載だ。あまりにも自分の思う作詞家 桜井和寿像にピッタリすぎて「桜井和寿じゃん!!!!」と喜びのあまりニヤニヤしてしまった。それくらいに桜井和寿が最高に桜井和寿です。

中でもピカイチの部分がこちら

 

時は行き過ぎる
そこになんらかの意味を人は見出そうとするけど冗談が過ぎる
たとえ神様であっても死ぬまで許さない

 

おいおい、すごいな。神様に呪いの言葉贈っちゃったよ。
こう言っちゃなんだが50歳過ぎた男性がこんな歌詞書いてくれるんだ!ありがとう!と感動し何故か感謝の思いが溢れました。めっちゃ良い。神様を死ぬまで許さないって書ける桜井和寿めっちゃ良い、好き。こんな呪いの歌詞を美しいメロディに乗せて歌っちゃうんだもん、ニクいね!!
とにかくこの部分の歌詞があるだけで、この楽曲全体の暗部に磨きがかかり一気に輝きを持った。悲しい、さびしい、辛い、忘れられない……だけで終わらずに他者への呪いを転調部分に封じ込めるのがめちゃくちゃ桜井さんっぽい。一見すると泣かせる系悲恋ソングに、こういう人間の感情のエグみみたいなものをしっかり練り込ませるのが本当にうまい、桜井和寿って人は。
この部分でわたしは一気に「サイコーーーーー!!!!!」とブチ上がりました。
バラード聴いてこんな感情の揺さぶられ方をするのは珍しい。『永遠』を聴いたオタクの皆様が「泣ける」「泣いた」と感想を述べるなかでひとりニヤニヤしながら「桜井和寿サイコーーー!!!!」と歓喜していた。泣くどころかうれしさで笑顔を浮かべていたよ。同じようにニヤニヤしてしまったオタクの皆さん、仲間がここにいます。

さらに言えば『永遠』ってタイトルの楽曲の最後が〈君は僕の中の永遠〉で終わるのも妙に感心した。こんなにド直球な歌詞で〆るのか君は。さすが桜井和寿、正攻法で攻める強さを持っている。もうお手上げだ……。そりゃ『誰よりも音楽を愛する天才』って自称するだけある。こんなに他者を黙らせる自称をオレは知らないぜ。


あとやっぱりわたしは小林武史プロデュースのMr.Childrenにめっぽう弱いんだと改めて実感しました。

 

 

Mr.Childrenの新譜を聴くたびに毎回思っているがやっぱりMr.Childrenは良い。
いつまで経ってもこちらの感情を揺さぶる作品を提供してくれる。願わくばこれからも健康に楽しく制作活動を続けてほしい。

 

来月からは久しぶりにツアーが始まる。
コロナ禍となって以降ドームクラスのライブに足を運ぶのは初めてなのでどんな感じなのだろうか、と少々気がかりだ。でも今まで何百回と聴いてきた彼らの楽曲を久しぶりに全身で感じることができるのだ!と思うと、とても楽しみである。今はまだ実感が湧かないけれど。
願わくば『エソラ』を歌ってくれ。わたしにとってMr.Childrenのライブに行くということは『エソラ』を聴きに行くこととほぼ同義なので。頼みますよミスチル

 

あとは日産スタジアム公演のチケットの抽選受付はこれからなので無事に当選できるように徳を積みます。大好きな日産で大好きなミスチルを聴くのだ!

 

おわり。

 

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The Birthday『SUNBURST TOUR 2021』川崎 CLUB CITTA'公演感想

The Birthday SUNBURST TOUR 2021

 

The Birthdayの『SUNBURST TOUR 2021』が無事に初日を迎えた。
前日にグッズの告知が出るまでは「本当に開催されるよね……?」と不安しかなかったけれど、とにかく初日は無事に開催され終演した。こういった状況なので複雑な想いを抱えてはいたけれど、それでもやっぱり終わってみれば「最高」の一言に尽きるので感想を残しておこうと思う。

 

ちなみに当日は床に貼られたシールを目安に会場前方から埋めていく、といったスタイルが取られていた。わたしの整理番号はA200番台後半だったが、運良く前方に切り込めて最終的には10列目より前にはポジションを取れていたのではないかと思う。隣りの方との間隔は想像よりも若干狭かった。とはいえ、どちらかというと左右の間隔よりは前後の間隔のほうが気になった。後ろにいたのが二人連れで、開演前に終始会話をしていたのが少しだけ気になった。こういった状況なので長時間の会話が聞こえてくるというのはなかなかストレスを感じるものだ。基本的にライブ時は単独行動なので余計に過敏になってしまったのかもしれない。
それでは、コロナ禍に於けるライブハウス情報はこのくらいにして早速いきます。

 


今回もセットリストは拾い物です。ありがとうインターネット!!!!

The Birthday『SUNBURST TOUR 2021』
2021.09.01@川崎 CLUB CITTA'

 

01.12月2日
02.月光
03.KISS ME MAGGIE
04.ラドロックのキャデラックさ
05.アンチェイン
06.JOIN
07.ヒマワリ
08.スイセン
09.ハレルヤ
10.晴れた午後
11.バタフライ
12.レボルバー
13.ショートカットのあの娘
14.息もできない
15.オルゴール
16.ギムレット
en01.なぜか今日は
en02.OH BABY!


オープニング
いつも通り『Sixteen Candleに合わせて登場するThe Birthdayの面々。最後に登場したチバユウスケはまるで指揮者のように片手を大きく動かしリズムを取りながらステージギリギリをゆったりマイクに向けて歩いていく。いつもより指揮者感が強く感じられて、まさに会場全体の熱気を誘導しているようだった。

 

01.12月2日
まずは『サンバースト』でも1曲目に収録されている楽曲からスタート。
重く歪んだギターのイントロが爆音で流れ出して一気に体中の血液が全身をものすごいスピードで巡るような感覚を覚えた。当日、会場下手側の前方に位置取りをしていたためスピーカーが近く「これは……耳栓が必要かも」と焦る。サウンドチェックではそこまで危機を感じなかったけれど、やはり本番の爆音具合は段違い。早々に左耳のみ耳栓を装着した。
皆さん新譜をしっかり聴き込んでいるだけあってアウトロのアレンジにもしっかり対応。ブレイクがあっても曲が終わったなどと勘違いして拍手が起きてしまうなんてこともなく「おぉ、さすがに全員ちゃんと待ててる!すごい!!」と謎の感動を覚えました。アウトロにブレイクがある曲で拍手しちゃうとめちゃくちゃ恥ずかしくなっちゃうよね。今回のライブは割りとその手の曲が多く新規泣かせやな……と思うなどした。ちなみにわたしは某曲で一回間違えて拍手した、やはり恥ずかしかった。

 

02.月光
イントロ、チバがギターを弾きながら苦笑いして仰け反るシーンがあり、それまでバチバチに決まってたのに瞬間的に彼の纏う雰囲気が一気に親しみやすいものに変化したようでとても良かった。何かミスをしたのか、音響的な不和が起こっていたのか……。聴いているぶんには原因まではまったく分からなかったのだが、貴重なものを見たなぁとひとりテンションが上ってしまった。案の定、チバの〈お前の想像力が現実をひっくり返すんだ〉の一言で沸きまくる会場。やっぱりあのフレーズって『サンバースト』というアルバムを象徴するものになっているんだなぁ、と強く感じた。わたし自身もあのチバを見た瞬間に「わたしサンバーストツアーに参加してる……!」と心から実感したのでした。

 

03.KISS ME MAGGIE
前作『VIVIAN KILLERS』からの一曲。この曲、リリース当時はそこまでハマらなかったのだけど、ライブで演奏される率が割りと高く、その度にめちゃくちゃ楽しそうにユラユラしながら歌うチバを見続けてきたら結果的に何だかんだ自分も好きになってきている。そういう曲が生まれるのがライブの醍醐味だよな、と強く感じさせてくれる一曲です。相変わらずイントロからギターがカッコ良くてブチ上がる。会場もノリノリなムードに包まれていた。チバはこの曲を歌う前に首元のスカーフの結びを解いていたのだけど、歌いながらその両端を持ってヒラヒラさせていて、その姿が強烈だった。ああいったものを『妖艶』と評するのかも知れない。色気ダダ漏れしておりました。
あと毎度お楽しみになっている〈四時五時の違いと〜〉部分のハンドサイン(わたしだけかもしれませんが)、今回は特にはっきりとしたものはやっていなかったように記憶しているけど果たしてどうだったのか。いまいち思い出せず……。

 

04.ラドロックのキャデラックさ
コロナ禍じゃなければ間違いなく会場全体で大合唱なんだろうなぁとやや寂しい気持ちを抱えつつ、冒頭からチバが繰り返す〈ラドロックのキャデラックさ〉を聴いていた。それでもあちこちでリズムに合わせて拳を突き上げてる人がいて、一体感は凄まじかった。想いはひとつ、が可視化されている光景だったなぁ。

 

05.アンチェイン
懐かしさを感じるような曲調とても良かった。会場の熱が確実に高まってきてて「ここからギアが一段上がってくるぞ〜」みたいな感覚がすごくあった。〈音が踊る〉という部分、ライブ会場で聴くとめちゃくちゃ良かったです。まさしく音が踊っていた。あとアウトロのドラム連打とても好きだ。

 

06.JOIN
ちょっとイントロからハチャメチャにカッコ良すぎてどうかしそうだった。声にこそ出さなかったけど内心ではずーっと「なにこれめちゃくちゃカッコ良い!あーーーカッコ良い!!!!」と喚き散らしていた。ここだけの話あんまり聴いてきていない楽曲だったのでほぼ新規みたいなテンションで体温上がりまくりでした。めちゃくちゃカッコ良いな。何だこれ何でこの曲を今までスルーしていたんだ、わたしは。節穴すぎるだろ!?「とにかくイントロだけでもいいから聴いてくれない!?」と誰かに猛烈に勧めたくなるくらいめちゃくちゃカッコ良かった。またライブで聴きたい。
声帯が千切れるのではないか!?と心配になるくらいのチバユウスケの高音ボイスが大好きなので〈JOIN〉のシャウトが乱発されているのも最高ポイントです。しゃがれまくった声でシャウトするチバユウスケめちゃくちゃ良いよね。この日一番のテンション爆上げポイントでした。またライブで聴きたい(大事なことなので2回言う)。

 

暗転、チバの「夏は終わったのかねぇ?」から次の曲へ。

 

07.ヒマワリ
相変わらずヘヴィーなイントロで痺れる。青い照明に浮かび上がるようなチバの姿が印象的だった。『ヒマワリ』が演奏されるときは毎回青い照明で、その光景を目にする度に「美しいなぁ……」と思う。まるで深海に射し込む一筋の光を浴びて歌っているようなのですよ。あの横顔には神々しさすらある。わたしの視界に映っているチバの横顔をそのまま額縁に入れて飾りたいなぁと何度も思った。それぐらいに美しい。

 

08.スイセン
優しいイントロがとても美しかった。なぜ歌詞にコカ・コーラという単語が登場するとちょっぴりセンチメンタルな気分になってしまうのか……わたしだけか?スローなテンポも相まって、歌詞をじっくり味わいながら聴いてしまった。この曲に歌われている世界観ってなんだかいちいちロマンチックなんだよなぁ。バックに鳴ってるタンバリンの音色も可愛くて好きです。聴きながら「そうだ、あのタンバリンの音もクハラさんが鳴らしていたんだよな」とハッとした。音源で聴いていた音が目の前でそのまま演奏されている、当たり前だけどそのことの凄さに改めて気付かされた。

 

09.ハレルヤ
冒頭の〈無重力の中 フットボールしてみたいね〉の歌詞が頭にこびり付いてしまい、それ以降の記憶があまりない。「ほんと可愛らしい発想だよな」とか思ってそこから思考がどっかに飛んでいってしまった。サビでチバが〈ハレルヤ〉と力強く歌っていたのが印象的だった。ライブで聴いたチバの〈ハレルヤ ハレルヤ〉はそれはもうめちゃくちゃ力強かった。この曲もコロナ禍でなければ大合唱だっただろう。
そうだ、わたしがアウトロを勘違いして間違ったタイミングで拍手しかけたのはこの曲だったかも知れない。

 

10.晴れた午後
音源で聴いたときもテンポアップ部分で「うわぁぁぁぁぁ」となったけど、ライブで聴いたらより一層「うわぁぁぁぁぁ!!!!」となった曲(語彙力とは)。あのスピード感すごい。ドラムがめちゃくちゃ早くて、よくあんなスピードで叩けるなぁって感心しきりでした。マジで『晴れた午後』を叩くクハラさんは千手観音みたいにあっちこっちからスティック持った腕が伸びてた。そんな姿を見ながら「肩甲骨まわり柔らかいんだろうなー」とか関係ないこと考えてしまうくらい両腕をブン回していた。

 

11.バタフライ
チバが〈バナナジュース〉って歌う度にちょっとだけ「ふふっ」と気持ちが和んでしまう不思議。ここ最近、巷ではバナナジュースがブームだけどチバもバナナジュース飲んだりしたのかなぁ……とか思ったけど、たぶんこの曲に出てくるバナナジュースはもっと適当に作られた古典的なバナナジュースだろうな。


曲間、静まり返る会場に拍手を要求するチバと精一杯の拍手で応える会場。大勢の拍手を背に、アンプに向かってチューニングをするチバ。万雷の拍手が徐々にトーンダウンして再び静まり返る会場。その様子を感じ取ったチバは、チューニングをしつつも小さく笑みを浮かべいた。この一連の光景がとても印象的だった。わずか数秒の出来事だったけどとても穏やかな空気があってすごくすごく良かった。チバもこの瞬間を楽しんでるんだろうなぁ、嬉しいんだろうなぁって感じられる瞬間だった。

チューニングを終えてマイクの前に立つチバ、右手で会場を指差しながら「行くよ」とひと言。次の曲へ。

 

12.レボルバー
ライブで聴くと疾走感が凄まじかった。あっという間に終わってしまった。〈なんだか自由ってやつを履き違えてるよな〉が胸に刺さるなぁ……。レボルバーは歌詞がすごく不思議で、中でも個人的には〈ベテルギウスと9匹の犬〉が強烈すぎる。ライブで聴いてもやっぱり「ベテルギウスと9匹の犬????」と頭の中にハテナマーク浮かびまくりだった。

 

13.ショートカットのあの娘
わたし、ショートカットなんですよ。なので勝手に嬉しくなっちゃう一曲でした。
ベースがビシバシでカッコ良かった。ライブ中、視点は終始チバユウスケにロックオン状態が基本スタイルなのだが、時折りハルキさんに視線を向けるとめっちゃ口ずさみながらベース弾き狂ってて圧倒された。今回、ハルキさんのシャツの裾がいつもより気持ち長めに感じられたのだけど実際のところどうだったのだろう。ヒライ班の皆さまのご意見を伺いたいところである。

 

14.息もできない
いやぁ泣いた!!!!!!!めっちゃくちゃ泣いた!!!!!
ライブで聴くのを楽しみにしていた一曲だったのでハルキさんがイントロ弾き始めた瞬間「キタキタキタ!!!」と嬉しくなったのだけど、チバが台詞調に〈何してる?どうしてる?楽しくやってる?〉と歌った瞬間に今まで何となく押し込めていたあらゆるものが一気に溢れ出すような感覚に襲われて涙がドバドバ溢れてしまった。あのチバユウスケに〈楽しくやってる?〉なんて聞かれてみろよ、そんなもん泣くだろ。何となく感じているモヤモヤだったり言葉にできない閉塞感だったり、ここ数年、withコロナの生活で確実に蝕まれている何かを見透かされた、みたいな感覚。なんだか不思議な表現だけど、赦しを得た、みたいな。ツラいしんどいって言ってもいいよって肩を叩かれた気がして勝手に「チバユウスケありがとう、わたしを救ってくれてありがとう」の気持ちに包まれました。
そんなメンタルぼろぼろ状態で聴いていたら最後の最後にアウトロでひとりだけ手持ち無沙汰になったチバユウスケがほか三人の楽器に合わせてギターのボディを手のひらでパタパタしていて、それも込みで素晴らしい演奏だった。
イントロもアウトロも、とにかくとても美しい曲です。

 

15.オルゴール
これも聴くたびに美しいなぁと思う一曲。途中、コーラスに合わせて会場も両手を挙げてる方が多くてとても良かった。コロナじゃなかったらきっとお客さんが一緒にコーラスしてたであろう部分。それを一身に引き受けてくれているメンバーに、せめてものエールを送っているようにも感じられた。ライブって会場全体で作るものだよなってことを考えたりした。

 

16.ギムレット
大好きな曲。ライブで聴けるのを最も楽しみにしていた曲といっても過言ではない。きっとライブで聴いたら泣いてしまうだろうなぁと思っていて、想像通りまんまと泣いた。世の中の真理をポップな曲調で歌われると物凄い勢いで感情を揺さぶられてしまうのはわたしだけだろうか。決して泣かせるような曲調ではないのに、だからこそビシバシ刺さるものがあってダメになってしまった。
冒頭からまるで本当に目の前の観客に話しかけるように、時々、頷きながら歌い続けるチバの姿から目を離せなかった。今この瞬間に思っていることが口から出ているように、少しもつまずくことなく滑らかに放たれる言葉の数々はどれもチバユウスケらしさに溢れていた。続くサビの〈小さな愛だ!〉の連呼があんなにも凄まじい威力を放つとは……。おそらく、あの日あの場にいた全員が小さな愛の正体を感じながら聴いていただろうと思う。そう、あの曲に歌われていた愛はまさしくわたし達一人ひとりのことだった。あの曲で鼓舞されている『でくのぼう』はわたし達のことだった。あんなに愛のある〈おいそこのでくのぼう〉という呼び掛けがこの世にあるだろうか。いろいろな感情を抱えながらあの日あの場にいたわたし達に向かって〈小さな愛だ!〉と何度も歌ってくれるチバを見て「あぁぜんぶ伝わっているんだなぁ……。わたし達がどれだけThe Birthdayというバンドを支えにして生きているか、チバはちゃんと分かってくれてるんだなぁ」と勝手に報われた気がした。だってやっぱりここ最近、ライブに通うのが日常だったわたしにとってはすごく肩身が狭いムードが漂っている。自分が価値を見出して大切にしているものを他人に無価値だと切り捨てられるような悲しさを何度も味わっている。でも分かってほしい人には伝わってるんだなぁと思えて、それだけでだいぶ気持ちが浮上できた。
チバが楽しそうに〈おいそこのでくのぼう!小さな愛だ!〉って会場にいた客に向かって言うもんだから、そんな風に言われたらこちらだって喜んで『でくのぼう』にだってなりますよってモンだ。やっぱり愛を歌うチバユウスケは最高にカッコ良かったです。
そういえばイントロでチバがマラカスを持ち出してテンションがブチ上がったのに、その後泣きに泣いたせいで終演後しばらく経つまでその事実をすっかり忘れていた。チバ・マラカス・ユウスケ、久しぶりでとても嬉しかったです。イントロ終わったら早々にマラカスポイ!してしまったので少ししか見られなかったけれど。鬼に金棒、チバにマラカスはこの世の真理であります。


チバお決まりの「ありがとぉ!」という言葉とともに本編は終了。
ステージから去り際、何かに引っかかりコケ掛けるチバに一瞬ヒヤッとした。気を付けてね。


アンコールの拍手に応える形でメンバー再登場。
かつてのCITTA'で観たライブの数々を楽しそうに話すチバ。ギターを担ぐ際、笑顔を浮かべていたチバとクハラさんの姿に温かい気持ちになった。同じ時代を生きた仲間と途切れることなく関係が続くってとても尊いことだと思う。歳を重ねるごとに、その希少性を痛感する。

 

en01.なぜか今日は
何度聴いてもイントロからブチ上がりますね。何度聴いてもその度に「好きだ!!!!!」と実感する大好きな曲。
もう本当に『なぜか今日は』をライブで歌われると頭の中が空っぽになってとにかく「楽しい」という感情だけになって踊り狂いたくなるので、そういった意味では今回のように一人ひとりのスペースが確保されているというのはとても有り難い。みんなノリノリで踊り狂っていた。楽しかったなぁ!!!!!!

 

en02.OH BABY!
『なぜか今日は』の熱気を引きずりながらさらに盛り上がる会場内。やっぱり声には出せないけれど、きっとみんな心の中で〈OH!BABY〉と大合唱していたことでしょう。早くみんなで大合唱できる日が戻ってくると良いなぁ……と、心底思った。


こうして『SUNBURST TOUR 2021』初日は幕を閉じた。
チバが「よく来たね」って何度も言ってた。こんな状況だからこそ余計に胸に響いた。「ありがとう」「ほんとにありがとう」って言ってた。こちらこそだよ、と言いたくなった。
最後の最後に「またここで会おう」とも言ってくれた。あの言葉は、もちろんCITTA'そのものを意味していたのだろうけど、だけどわたしには「ここ」がライブハウスという空間そのものを指しているようにも感じられた。

 

まずはツアーが無事に完走できることを願っている。そして、またライブハウスでチバに〈おいそこのでくのぼう!〉と呼んでもらうのだ。
その時まで生きるぞ!!!!!!乗り越えるぞ!!!!!!!!

 

おわり。

 

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The Birthday『サンバースト』全11曲感想

The Birthday サンバースト

 

去る2021年7月28日、The Birthdayの11枚目となるアルバム『サンバースト』がリリースされた。
そして明後日9月1日には彼らの約1年ぶりとなるツアー『SUNBURST TOUR 2021』が初日を迎える。迎える予定だ、このエントリーを書いている現時点(8月29日深夜)では。アルバムがリリースされて、通勤電車の中で聴きながらある曲では衝撃を受け、ある曲ではちょっぴりセンチメンタルな気分になったりした。そして、アルバムを聴き終えて思ったことは「なんだ、The Birthdayは変わってないじゃん」という安心感でもあった。チバユウスケは相変わらす愛を歌っていた。良かったです、安心しました。

 

さて、気付けば2021年の夏も終わろうとしている。
相変わらずコロナコロナで殺伐とした日々を送り、なんだかあらゆることに無気力な日々を過ごすわたしは、このブログの更新をサボりまくっていた。なんと前回のエントリーは2020年末にリリースされたミスチルのアルバム全曲感想でした。こんなことじゃいけないと思う反面、そんな無理して書くものでもないだろうという気持ちもある。だからこそ、ある時期から自分の中での恒例としていた“全収録曲の感想エントリー”も発売から1ヶ月経ってようやく重い腰を上げてPCに向かって書いている、といった感じだ。それでも後々なにかのきっかけでブログを読み返したときに『サンバースト』の全曲感想エントリーが抜けていたら激しく後悔しそうなので、こんなド深夜にPCに向かうことにしました。
アルバムリリースに向けてプロモーションを兼ねた様々な雑誌が発売され、それらの多くを購入し手元に置いてはいるのだが、ほとんどがいわゆる積ん読状態である。『DONUT』の表紙最高ですね(開封していない)。そんな状態で、感想エントリーを書くのはオタクの風上にも置けない行為かもしれないが「なんとしてもツアーの初日までには音源から受けた感情を吐き出しておきたい」という気持ちのほうが勝ったので、ひとまず書くことにした。後々、彼らのインタビューを読んだら「あちゃーわたしの解釈まったくズレとるじゃない!!!」と赤っ恥をかくかもしれないので予防線を張っておきます。

 

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01.12月2日
1曲目から目が覚めるような激重ギターの爆音イントロ。
第一音を聴いた瞬間に「うわぁぁぁThe Birthdayの音楽だ!!!!」と実感した。そうなのだ、このギャンギャンしたギターこそわたしにとってのThe Birthday。出だしから嬉しくなってしまう。
こんなに物々しい雰囲気漂うサウンドに〈街はどうやら平和だ〉なんて歌われても平和感皆無だ。でもその能天気さがなんだかとっても良いなぁと思う。楽曲の終盤、終わったと思いきやブレイクを挟んでの〈ラララララ〉と歌うチバユウスケ。良いなぁ、すごくチバユウスケっぽいなぁ。初っ端から見事にガツンとやられた。生活から遠のいていたロックンロールをいつでも思い出させてくれるバンドである。

 

02.息もできない
1曲目とはガラッと雰囲気を変えた優しいギターのイントロ、そこから続くAメロのベースラインがとても好きでした。ベースに合わせて歌詞がセリフ調に乗ってくるところもとても好き。「きれいな曲だなぁ」なんて油断していたらサビの歌詞で心臓止まるかと思った。

お前の唇 何かを言おうとしてた 黙って塞いだ 息もできないくらい  

あまりにもダイレクトな歌詞に、いい大人が通勤電車の中でドギマギしてしまった。ロマンチストver.のチバユウスケが炸裂していて事前情報がない無防備な心臓には衝撃が大きすぎる。これ、ライブで聴いたらどうなってしまうのだろう。めちゃくちゃドキドキしてしまう自信がある。キモいオタクっぷりが発揮されてしまいそう。考えただけで変な汗が出ちゃうよ……。
静かなアウトロがまるで映画のエンドロールのよう。楽曲の世界に流れるタイム感みたいなものがあるとしたら、『息もできない』という作品世界に流れる時間はあっという間に過ぎていくのだろうと思う。楽曲全体に漂う切なさや焦燥感みたいなものを強く感じた。

 

03.月光

お前の想像力が現実をひっくり返すんだ

『サンバース』の核がここにありました。
『月光』に関してはMVが先行配信されてたりラジオで音源が先行公開されてたりしていたらしい。「らしい」としたのは、わたしがそれらの波に全く乗れないままアルバムリリース当日を迎えてしまったからだ。
そのため、アルバムを通して聴くまでリード曲的なポジションである本作を耳にすることもなかった。だけど、初めてこの曲を聴き、先述の一節を耳にして「うわぁ、このタイミングでこんなセリフを入れてくるチバユウスケかっけぇ」と一発でヤられてしまった。もちろん印象的なセリフ以外にも、歌詞に関して興味深い部分はたくさんある。同じフレーズを2回続けていたり、〈月を抱いて 月夜抱いて〉と同じような響きでちょっとだけ意味合いの異なるフレーズを続けていたり……。
あと、ギャンギャン鳴る系のギターが大好きな身としては〈お前の想像力が現実をひっくり返すんだ〉後の高音ギターが最高に心地よいです。

 

04.ラドロックのキャデラックさ
歌い出しからタイトルでもある〈ラドロックのキャデラックさ〉の大合唱。楽しいムードがビンビンに伝わってくる。
「ライブでも会場みんなで歌うんだろうなぁ……」と考えた数秒後に、それが叶わない世界に生きているのだと気付いて悲しくなった。アルバムを聴きながら無意識にライブで演る時を想像してしまうのがクセのようになっている。きっとこの部分はみんなでシンガロングだろうなぁ……とか、きっとチバが会場を煽ってくるのだろうな……なんて思っても、しばらくそういった光景を目にすることはできない。でも、だからこそ、音源で合唱パートを入れてくれたのかもしれない。たくさんの声が重なる音を忘れないように。
ところでイントロのドラムを聴くと、一瞬だけエアロスミスの『jaded』が脳裏にチラつくのはわたしだけでしょうか……。(この文章を書きながら改めて『jajed』を聴いて確認してみたらそんなに似てなかったです)

 

05.レボルバー
疾走感のある一曲。Bメロにある〈言葉と音に縛られて生きるのはもうやめようって思った さっきちょっとさ〉という部分に小さな衝撃を受けた。音楽を生業としている人間からこんな歌詞が生まれるのか。いや、四六時中音楽のことを考えているからこその発想なのかもしれないけれど。ところでチバユウスケって動物やら植物の名前を頻繁に歌詞に紛れ込ませていて、そんなパーソナリティが「なんだかすごくチャーミングだわ」と思っている。こんなに動物やら植物やらの固有名詞が登場する作品を連発する作詞家も珍しいのではなかろうか……。

 

06.アンチェイン
楽曲全体から凄まじい昭和っぽさを感じる作品。なんでだろう、ドラムのリズムなのかなぁ……。昔懐かしの歌謡曲っぽさみたいな。コミカルでキャッチーですごく耳馴染みがいいなぁと思った。いかにもイントロですよ!といった雰囲気の始まりもとても良い。とはいえ歌詞は凄まじい内容を歌っているのだが。最後のドラムがカッコいい。

 

07.晴れた午後
もう本当になんで『晴れた午後』ってタイトルの楽曲がこんな悲壮感漂う歌い出しになるんだよ、と油断していたら度肝抜かれた。あっという間にテンポアップしてからのスピード感がエグい。中でも〈弾丸ナイト その先にあった 真実だけが 俺にとっては〉という部分の超絶高音ギターがめちゃくちゃにカッコいい。これ、ライブで聴いたらテンション爆上がり間違いないですね。あと〈空っぽの愛が 俺にとっては 全てだったんだ それでも俺は〉が悲しすぎてダメです。

 

08.スイセン
スローなテンポが心地よく優しいメロディなのに、どこか全体的に退廃的なムードに溢れている、そんな寂しさも感じる作品。そのまま丸ごと映画(わたしの中ではロードムービーのイメージ)のワンシーンになりそうな歌詞が印象的。その映画の結末は、たぶん絶対にハッピーエンドじゃないだろう。
今回のエントリーを書くにあたり改めて歌詞を眺めてて気付いたことがある。『サンバースト』というアルバムは、それぞれの楽曲に出てくるワードが過剰なくらいにカタカナ表記になっていた。敢えて意味が明白になる漢字表記を避けているような、読み手の解釈に幅を持たせるような、そんな思惑を感じた。もしかしたらいちいち漢字を確認せず、最初に書き出した詞をそのままfixとしたのかなぁとも思ったけれど、わざわざ歌詞を本というパッケージで発表するほどのチバユウスケがそんな安易な着地をしているとも思えないので、おそらく意図的なのだろう。〈マフユ〉とか〈ハカイ〉とか、カタカナ表記にすることで言葉がもともと持ってる温度感が限りなく無になる気がする。不思議だ。

 

09.ショートカットのあの娘
チバユウスケが歌う〈あの娘〉はなんでこんなにも魅力的なのか。わずか2分半の非常に短い楽曲。ベースがめちゃくちゃカッコいいです。あと歌い出し直前のドラムがエグいリズム叩いてる。カッケー!!!

 

10.ギムレット
ポップなメロディなのに何故か泣ける曲というのが世の中にはありまして。この『ギムレット』がまさしくそれにあたる。わたしはストレートに愛を歌うチバユウスケにめっぽう弱いのである。コロナ禍の無味乾燥な日々でも、宇宙規模で愛を歌ってくれるんだもんなぁ……。常々、わたしはチバユウスケの未来を諦めない姿勢みたいなものに強い感銘を受けていて、それは決して楽天的なものでなく、絶望とか苦しみとか悲しみとかそういった大きなマイナスを内包した上でのポジティブだと思っている。だからこそ彼が歌う愛とか希望には説得力があるよなぁとも思っている。この『ギムレット』という楽曲には、そういったチバの姿勢みたいなものが色濃く反映されている。だから彼はこんなにも〈小さな愛〉について繰り返し繰り返し歌っているのだと思う。この作品で歌われている〈でくのぼう〉や〈お前〉は間違いなくわたしだ。宇宙規模で見たらせせこましいわたしだ。そんなわたしのまわりにもたくさんの小さな愛があると、チバは歌ってくれるのだ。

人間は結局この星の的になっちゃったけどさ
人間を創ったのは やっぱりこの星なんだって思いたいよね 

この〈思いたいよね〉に、わたしはチバユウスケが抱く未来への希望を見た気がした。
ライブで聴いたらぜったい泣いちゃうよなぁ……。

 

11.バタフライ
夏らしいワードが散りばめられた『サンバースト』結びの1曲。

すごく幸せな二人を歌っているような気もするし、これはもしや破滅に向かっているのでは、と思わなくもない。でも聴いてるとすごく穏やかな気持ちになる不思議な安心感があるメロディ。生ぬるい風に吹かれているような気分になる。歌詞の中に出てくるバナナジュースもたぶん甘ったるくてぬるいと思う。終始平和な歌詞が並んでいるのに、最後の最後で〈ナイフ〉なんて穏やかではないワードが飛びててきて、それはそれで愛の恐ろしさみたいなものを感じる。

 

---


ということで全11曲の感想である。個人的には『息もできない』と『ギムレット』が特にお気に入りです。


久しぶりにThe Birthdayの楽曲を立て続けに聴いたら「これぞバンドじゃん!!!!」とシンプルに感動した。こんなにも個々の楽器の音が耳に飛び込んでくるような音楽を聴いたのは久しぶりな気がする。いじくり回してない音、といった素直さを感じるとともに「やっぱりわたし“バンドです”って感じの音楽好きだなぁ」と思うなどしました。
ロックバンドの音楽をお求めの方、ぜひに。

 

 

▼前作『VIVIAN KILLERS』の感想はこちら
The Birthday『VIVIAN KILLERS』全12曲感想

 

▼今までのThe Birthday関連の記事はこちら
The Birthday『GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020』東京公演感想

The Birthday『VIVIAN KILLERS TOUR2019』横浜ベイホール公演感想

The Birthday TOUR 19 NIGHTS 2018 AUTUMN 中野サンプラザ公演感想

 

おわり。
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Mr.Children『SOUNDTRACKS』全10曲感想

Mr.Children SOUNDOTRACKS

 

Mr.Children、20枚目のオリジナルアルバム『SOUNDTRACKS』がリリースされた。そうか、20枚目なのか。記念すべきアルバムだったんだな……。

今回のアルバム収録曲全10曲のうち、6曲が何かしらのタイアップ曲で既に耳にしていた。中にはリリース当時あまりハマらなかった曲もある。しかし、アルバムとして聴くとリリース時とは違った感想を抱くことも多く、やはり前作『重力と呼吸』同様に「アルバムで聴く良さってあるよね」と再確認した。

ということで例のごとく全10曲の感想を書き留めておきます。

 

01.DANCING SHOES

1曲めから最高すぎた。『SOUNDTRACKS』に於けるマイベストは間違いなくこの曲。アルバムリリースの件が発表されて以降、ぼんやりと抱いていた『SOUNDTRACKS』というアルバムへの全体イメージを初っ端からひっくり返されたようで「ミスチル最高やんけーーーーーー!!!!!!」という想いが爆発しました。冒頭にこんなにもバッチバチのロックナンバー持ってくるなんて誰が予想できただろうか……。湿度高めなイントロも最高に好きです。『Monster』とか『Pink 〜奇妙な夢』とかに共通するような重さとか暗さとか気味の悪さ漂う始まりがもう本当に堪らない。そこに重なるギターの音も最高にカッコいい。真っ暗な照明の中、めちゃくちゃ猫背で両手でマイク握りしめて花道進みながらこの曲を歌いはじめる桜井和寿の姿がわたしには見えます。〈後退りしたり〉で後退りする桜井和寿も、サビになった途端にリズムに合わせてステップ踏んでクルクル回りながら歌う桜井和寿も、しっかりと見えます。イントロからAメロはジメッとしてるのに、Bメロで一気にギターでリズム刻み出してサビになった途端に音がブワッと広がる感じがあまりにも最高すぎる。この曲を聴けた瞬間「勝った!!!!」と思いました。圧倒的優勝ソング。

 

02.Brand new planet

イントロからとてもミスチルらしさ溢れる楽曲という印象。確か最初に耳にしたのは主題歌となっているドラマの予告編だったと思うのだけど、伸びやかなサビを聴いた瞬間「わたしの好きなミスチルだ!!!」と歓喜した。壮大なメロディと桜井和寿の伸びやかな歌声の組み合わせが死ぬほど大好物なので、それだけで大満足なのです。ここ何曲か新曲を聴いてもいまいちピンとこなかったけど、久しぶりに「キタキタキターーーーー!!!!」って高まった。うれしい。あと歌詞の中での言葉遊びが炸裂していて最高。歌詞をまじまじと読んだとき、その作詞力の高さに桜井和寿の天才性を見た気がして改めて打ちのめされました。〈可能星〉なんて表現はぶっちゃけちょっと恥ずかしくなるような気がしないでもないけど、サビ終わりの〈新しい「欲しい」までもうすぐ〉で「欲しい」と「星」を掛けてるところとか気づいたときには「マジかよ桜井和寿!!!?」って脳みそ溶けるほど興奮した。相変わらずミクロからマクロまで楽曲の世界観を自由自在に拡大縮小する桜井和寿お家芸がこれでもかと堪能できます。あと個人的には〈絡みつく憂鬱にキスをしよう〉って部分がめちゃくちゃ桜井さんっぽくて好きです。かの名曲『I'll be』では〈笑いたがる人にはキスを〉と歌っていた彼ですが、ネガティブな要素にすぐキスしちゃう桜井和寿の捻くれたところすごく好き。

 

03.turn over?

『SOUNDTRACKS』の中で最もフレッシュ感ある楽曲だと思う。バックで鳴るクラップ音とか、サビ部分のメロディ展開の仕方とか、間奏の爽やかなギターフレーズとか……とにかくデビュー間もない頃のミスチル楽曲っぽいフレッシュ感が全編に渡って漂っている。そうか、この曲って超どストレートな恋愛ソングなのか、今さら気づいた。確かにめちゃくちゃ恋愛ソングっぽい瑞々しさがある。あとこれは完全なる余談だが、歌い出しが前作『重力と呼吸』収録の『day by day(愛犬クルの物語)』と激似でビビった。

 

04.君と重ねたモノローグ

今回のアルバムで「おまえ、こんなにいい曲だったんだな」的楽曲第1弾である。曲名も確認せずにアルバムを頭から聴いてきて「わぁいい曲だなぁ……でも何となく聴いたことある気もするぞ」って思って曲名確認して腰抜かすほどビビった。おまえ、『Birthday』と両A面でリリースされた『君と重ねたモノローグ』じゃないか。なぜシングルリリース当時のわたしはこんなにも素晴らしい楽曲にハマらなかったのか。それぐらい衝撃だった。そして歌詞で描かれる世界があまりにも悲しくて、それも衝撃だった。〈誰かにとっての完璧は 誰かにとっての不完全〉という歌詞だ最高に好き。こんなにも悲しさ溢れる曲なのに最後がめちゃくちゃポップに終わる感じが、いかにも演劇っぽい展開で『君と重ねたモノローグ』ってタイトルにぴったりな最高のアレンジだと思う。

 

05.losstime

今の年齢だからこそ作れた作品なのだろうなってことを強く感じた楽曲。ここ最近、ライブのMCでも雑誌のインタビューでも「終わり」について言及している場を多く目にしてきたので、もうとにかく元気でいてね!と願うしかない。

 

06.Documentary film

『losstime』に引き続き「終わり」を感じさせる曲の登場に心のざわつきが半端なくなってしまったオタクである。っていうか歌詞にダイレクトに〈「終わり」〉って出てきちゃうし。桜井和寿、大丈夫?(主に健康面で)と少し心配になってしまった。とはいえ、この曲もミスチルっぽさが炸裂していて大好きです。バンド感ゴリッゴリのロックナンバーを歌う桜井和寿も最高だけど、ストリングスの壮大なメロディを引き連れて歌う桜井和寿も最高に大好きなんだよ!!!!!大切な人の笑顔を目にしたときに愛しさのあまり泣きそうになってしまうというのは、年齢を重ねたからこそ分かる感情の動きだと思う。そんな些細なことを拾い上げてしまうのが最高ですね。この楽曲が誕生したのはコロナ禍前だろうけど、あらゆる日常がコロナにめちゃくちゃにされてしまって個人的にも自分の人生について考えることが多かったので、そのタイミングで「なんでもない日常」に想いを馳せるような楽曲に出会えるだなんて、巡り合わせってすごいなぁって思ったりした。

 

07.Birthday

「おまえ、こんなにいい曲だったんだな」的楽曲第2弾である。リリース当時、あんまりだな……とか思って本当にごめんなさい。サビの高音とかめちゃくちゃ最高だった。冒頭の〈しばらくして気付いたんだ 本物だって〉という歌詞がまさかこんな形で胸に刺さるだなんて。特に大サビのドラム、疾走感アリアリでめちゃくちゃカッコいいっす。

 

08.others

レモンサワーのタイアップ曲、フルで聴いたらめちゃくちゃ不倫ソングだった。しかも歌の主人公は「彼」がいる女性宅にお邪魔している側。凄まじい世界観である。そんな楽曲に『others』なんてタイトル、あまりにも残酷ではないか。

 

09.The song of praise

もうこの曲を聴いても『ZIP!』としか思えないんだよなぁ……。とはいえ、番組で流れている部分は曲の一部にしか過ぎなかったので、フルで聴いて、驚いた。何でもない社会人の一人であるわたしが朝に聴くのにぴったりな作品なのだ。『今の自分』と『理想の自分』とのギャップに悩むことなんて、それなりの年数を生きてきた人なら誰だって大なり小なりあると思うんだけど、そんなモヤモヤを優しく肯定して昇華してくれるような曲だ。〈積み上げて また叩き壊して 今僕が立っている居場所を 嫌いながら 愛していくここにある場所を讃えたい〉って締める歌詞もすごく正直で好きだなぁ。『彩り』に通ずるものがある。

 

10.memories

ウッ、また「終わり」を歌っているじゃないか……。

これはあくまで個人的な感想なのですが、すごく美しい曲なのにサビのハモリだけがどうしても許せなかった。あくまで個人的な感想ですよ!!!(オタクの反撃が怖いので2回書く)サビのハモリがなかったら楽曲に対しての印象がガラッと変わっただろうなぁ……。それくらいにサビのアレンジが許せない。聴いた瞬間「なんでハモった!!!?」と500回くらい思いました。

 

 

ということで『DANCING SHOES』が個人的には圧倒的優勝となったニューアルバムでした。早くライブで聴きたいけど、しばらくはそんな機会にも恵まれそうにないので、ひとまず珍しく精力的にプロモーション活動しまくっている年末の音楽特番で我慢しようと思う。

アルバム売れてほしいから、みんな買ってね!!!!(直球)

 

 

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▼前作『重力と呼吸』の感想はこちら

Mr.Children 『重力と呼吸』全10曲感想 - 楽しいことがあり過ぎる

 

おわり。

ご覧いただき、ありがとうございました。

 

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The Birthday『GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020』東京公演感想

GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020

何をするにも「コロナ」に囚われ続けた2020年もあと一ヶ月少し。
ようやく、とうとう、今年最初のライブに行くことができたので今日はその日のことを書こうと思う。
おそらく後々、日本の(もしかしたら世界の)歴史を振り返ったときに『失われた2020年』とか呼ばれることもあるかもしれない今年、最後の最後に滑り込みでライブに行けたことは、ため息ばかりの毎日を救ってくれた。と、同時に「あぁ、わたし、こんなにもコロナコロナの毎日に疲弊していたのか」と実感する出来事でもあった。とにかく久しぶりに全身で感じた興奮や感動、喜び、楽しさ。やっぱりライブっていいものですねぇ、とバカみたいにシンプルな感想を抱いたのでした。

 

本題に入る前に少しだけ近況を。実は9月に職を失っておりました。

勤めていた会社は旅行業界大手をメインクライアントにしていたため、コロナの影響をモロに受けていた。世間が『新型コロナウイルス』というワードに恐れを感じつつあった春先から徐々に仕事が減っていき、夏には開店休業状態。そりゃ無理だよな、と薄々感じてはいたものの、やっぱり自分の思い描いていた人生設計に突如放り込まれた『整理解雇』の4文字には参った。いやぁ、ほんと、人生何が起こるか分からないとはよく言ったものだ。
こんなタイミングでの失職なんてマジでバッドタイミング過ぎる。そのうえ、会社の事務所を引き払わなくてはならず、酷暑のなかでの引っ越し作業(厳密にいえば引っ越しではないけれど)。そんな中途半端な状態なので、いまいち転職活動にも身が入らず。年齢も年齢なので気持ちの上では焦って転職活動をするものの、なかなか結果が振るわず……。何だかもう全てが悪循環。あぁ、わたしって世界から必要とされていない人間なのかも知れない、などと人生に絶望したりもしたけれど何とか無事に『採用』の報せを受けることができた。そんなこんなで10月末から新天地にて頑張っております。勤務地は都内、そして18時定時なので今まで通り仕事終わりにライブにだって行けちゃうことが何よりの安心材料。オタク、生きる!!!!!

 

さて、そんな人生ハードモードど真ん中の2020年中盤だったので、音楽からは少し距離を置いていた。これまで通勤等の移動時間を利用して音楽を聴くライフスタイルを送ってきたので、人生に於ける最大の移動時間である『通勤』を失うと音楽に触れる機会が圧倒的に減る。そのうえ、不本意な失職というアクシデントによりメンタルがダークサイドに流されていたのでとにかく笑いを求めてしまい、家にいる時間はバラエティ番組を狂ったように見漁っていた。
なので、The Birthdayの音楽もしばらく聴いていなかった。新譜がリリースされると知ったときも以前よりテンションが上がらなかったし、ツアー決定のニュースを知ったときも「ライブ行きたいけど、仕事ねぇしな……」とか思っていた。それでも、そんな自分の中に鬱々と溜まりつつあった何かを、どうにかしたいとも思っていた。だから、The Birthdayのライブの日までには次の仕事を見つけていられるようにしよう、と敢えて自分にプレッシャーを掛けることにした。あんなにしょっちゅうライブに行っていたのだ。ライブに行けば、きっと人生に張りが出る。とにかく少しずつ下がっていく生活の幸福度を少しでも上昇気流に乗せたかった。そんな願いも込めて、今回のツアー先行にエントリーした次第です。無事にチケットがご用意されたときは「これでこれからの人生に『予定』ができた、よかった」と思った。人生に『予定』があることの素晴らしさよ……。
それからしばらくして無事に転職先も決まり、ライブ当日はソワソワしながら慣れない新天地での仕事をこなし、定時ダッシュをキメて約束の地であるNHKホールに向かった。やっぱり都内の主要なライブ会場に30分ちょっとで到着できる勤務地マジサイコーーーー!である。面接で志望動機を聞かれても、さすがに「仕事終わりにライブ行くのに丁度よい立地なので」なんて答えられなかったけど、ほんとは志望動機の3番目くらいには立地が食い込んでくる。

 

夜の代々木公園では若者がダブルダッチの練習に励んでいて、コロナに対する危機感の世代間ギャップに「おやおや」なんて思ったりもしたけれど、こちらもこちらで今からライブに行く身なので、そこはお互い様であろう。こんな世の中なので些細な考え方の相違にはおおらかでありたい。何でもかんでも分断の火種になりつつある今どきなので、尚更強くそう思います。

 


さて、超久々の『現場』である。

例のごとくThe Birthdayのリスナーは黒い洋服の着用率が異様に高い。そんな当たり前の光景も久しぶりすぎて「おぉ!このガラ悪い客層(超個人的意見です、しかも偏見もある)も久しぶりだな!」とちょっぴり感慨深かった。平熱がやや高めなわたしなので、入場口の検温では変に緊張したけれど、無事に会場にインすることができました。平熱で36.8度を叩き出す人間なので新しい生活様式に組み込まれつつある検温にも毎回ビクついてしまうのです……。

デカデカと光るシャンデリアと赤い絨毯の大階段にNHKの格調の高さが伺えるようなロビー(というのだろうか)を抜けて早々に着席。今回は2階席とはいえ前から2列目の通路側という引きの強さを発揮した。個人的には当たり席である。ライブ中、常に音に合わせて体を揺らしていたいマンなので通路側というのは大変喜ばしい。そのうえ、今回はコロナ禍でのライブということもあり隣席は空席。一人ひとりに与えられたスペースがとにかく広い。最高である。
久しぶりのライブという方が多かったであろう開演前の会場は、静かながらも興奮が満ちているようで、同時に少しの緊張感も漂っているようにも感じた。

 

18時50分頃に開演前最後の影ナレが流れた。アナウンスが終わるとともにどこからともなく拍手が生まれ、その音はあっという間に会場を包んだ。わたしが記憶している限り、The Birthdayのライブでこういった拍手が発生するのは珍しいような気がするけれど、果たしてどうだっただろうか。そもそもThe Birthdayは着席形式でのライブ事態が稀なので、もしかしたらわたしの思い違いかもしれない。とにかく、そんな些細なことにも、会場の興奮度合いを勝手に感じてしまうくらいには、わたしの気持ちも高まっていたのだろう。
そうして、これまた恒例の『Sixteen Candles』が流れる中、4人がステージに登場した。視界にクハラカズユキの姿を捉えた瞬間、ジワリと涙が浮かび、チバユウスケのシルエットが見えた途端に、それはボロボロと溢れ出した。まさかこんなタイミングで涙が出るなんて自分でも予想していなかったので驚いた。やっと、やっと、失われていたものが少しだけ戻った気がした。それはもちろん、喜びやら感動が大多数を占めていたけれど、もしかしたらある種の「安堵」も含まれていたように思う。こうやって少しずつ以前の生活を取り戻していけるかも知れない、という安堵だ。
そういえば今回のライブは『SixteenCandles』のサビが終わるタイミングきっちりで音が止まり、非常に気持ちが良かった。あの音が止まるタイミングが微妙だと、ちょっぴり残念に思うのはわたしだけでしょうか。サビの〈シックスティーーンキャンドールズ〉って歌い終わった瞬間に音が止まって、会場内が一気に沸くあの感じが堪らなく好きなのです。


ということで当日のセットリストです。

久しぶりの現場であり、しかもここ数ヶ月彼らの音楽自体に触れていなかったのでマジでライブ中は曲とタイトルが一致せず苦しんだ。「あーーーーー!!!!この曲!!!なんだっけこの曲!!!聴いたことあるのに!!」と何度も頭を抱えた。今回もインターネットに助けられました。

 

The Birthday『GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020』
2020.11.18 @NHKホール公演


01. ヒマワリ
02. 青空
03. KISS ME MAGGIE
04. SOMBREROSE
05. DOOR
06. ROCK YOUR ANIMAL
07. 木枯らし6号
08. 春雷
09. プレスファクトリー
10. 24時
11. Red Eye
12. BITCH LOVELY
13. 1977
14. OH BABY!
15. COME TOGETHER
16. オルゴール
en01. くそったれの世界
en02. 声
en03. なぜか今日は


01. ヒマワリ
先日リリースされたばかりの新曲。骨太なベースから始まるのが超絶カッコいい。わたしはどちらかというと夏とかヒマワリというものに対してはポジティヴなイメージを持っているので、この曲を初めて聴いたとき「そうか、チバはヒマワリという曲をこんな風に表現するのか」と少し衝撃を受けた。CDのアートワークもどちらかというとダークな仕上がりだったので、重ねて衝撃を受けた。何というか、わたしとチバとでは同じワードに対して抱くメロディのイメージが正反対だなぁ、と感じることがよくある。それは『青空』を初めて聴いたときにも感じたことだ。だからこそ、惹き付けられるのかもしれない。
The Birthdayのライブでは照明の素晴らしさに唸ることが多いのだが、今回も見事でした。青いステージに赤く照らされるメンバー(もしかしたら逆だったかもしれない)が最高にカッコよかった。やっぱり青と赤の組み合わせって最高ですね。推しをカッコよく見せたいなら青と赤の照明で照らせというのは、決して忘れたくないライフハックである。

 

02. 青空
続いてもベースイントロで始まる曲。いやぁ、イントロきた瞬間「大好きだ!!!!」の気持ちが見事に爆発した。この曲のイントロは特に大好き。ベースに合わせるようにソリッドに鳴るドラムの音も痺れるし、そこに加わってくるギターのリフも最高にカッコいい。そんでもって何と言っても歌詞がなぁ……。こんな世の中だからこそ、さらに胸に響くものがある。チバが〈絶望に 絶望している ヒマなんて 俺にはねえよ〉って歌うことの説得力よ!!!!この自粛期間にも彼のインタビューを読んだりしたが、やっぱりそこでも彼はあるがままを受け入れるスタンスを貫いていて、改めてブレのないその姿勢に感銘を受けた。チバの素晴らしいところは、というか、わたしが彼の書く歌詞に心を動かされる大きな要素は「あるがままを受け入れつつも決して未来を諦めない」という希望を歌ってくれるところにある。そしてこの『青空』は、それが強く押し出されているように思う。きっと、あの日、ステージの上で〈明日はきっと青空だって お前の未来はきっと青空だって〉と歌うチバは心からそう思って歌ってくれていたに違いない。彼にはそう信じさせる説得力があるのだ。あと、間奏から大サビまでのギターとドラムの煽り感もテンション爆上げポイント過ぎて「キタキタキターーーーー!!!!」って脳みそ溶けた。めーーっちゃカッコいい。

 

03. KISS ME MAGGIE
リズミカルなギターリフが印象的な三曲目。会場内が一気にダンスフロア化していた。やっぱりThe Birthdayのライブはこうでなくっちゃ感を凄まじく感じた。わたしの斜め前にいらした女性がめちゃくちゃ踊ってて、見てるこちらもテンション上がりました。みんなが楽しみにしていたんだろうなぁ、この日を。あとやっぱりチバの詞に登場する外国の女性って毎度名前のチョイスが秀逸だよなー。この『KISS ME MAGGIE』という曲は、終わり方がいかにも物語染みた音のまとめ方になっていてそんなところも好き。

 

04. SOMBREROSE
クソオタクなので「初めて聴く曲だ!!!!」と現場で驚き倒していたのだけど、終演後に確認したらめちゃくちゃ自分のiPhoneにも入っていた。たぶんあんまり聴き込んでなかったのだろう。完全に初聴き勢のつもりでした。〈楽団が来る〉って歌い出しが強烈過ぎて一気に引き込まれた。あの瞬間、「え、バスデのことじゃん」と思ったのはわたしだけじゃないはず。サビこそ激しいけれど、何となく全編を通して漂う穏やかな空気感が心地よかったです。ありきたりな表現だけど、とてもいい曲だなーと思った。これから何回も聴きます。あと、例えばThe Birthdayだったらドヴォルザークの『新世界』をどんな風に演奏するのかな、と思ったりもした。

 

05. DOOR
ゴリッゴリのロックナンバー。サビ部分の〈ナーナナナナ ナーナナナナナァナー〉を本来であれば客も一緒に歌うのが恒例だけど、こんなご時世なのでそこはグッと我慢。とはいえ、リズムに合わせて突き上げられたたくさんの拳に「コロナに負けねぇぜ」という気合いを感じた。そろそろドアが開く頃さ。〈代々木上空〉部分で天を指差すチバユウスケの姿がこの曲のハイライトだったと勝手に思っている。
ところで、今回のライブではフラッシュ的な照明が断続的に焚かれる演出が何度か行われていて、この曲がその演出の一発目の登場シーンであったのだけど、とにかくその光がキツかった。わたしは強い光が苦手なので、もう途中からはステージから目線を外らそうかと思うほどにキツかった。強い光によって頭痛をもよおす人もいるぐらいだし、あの演出は何とかならないかしら。それともたまたまわたしの座席があの光をモロに食らってしまう席だっただけで、他の皆さんは特に不快ではなかったのだろうか……。とにかくあのフラッシュがキツくて楽曲に集中しきれなかったのが悔やまれる。ちなみにこのフラッシュ的演出は終盤にも再び登場して(なんの曲だったのかは忘れた)、心の底から「いい加減にしてくれ」となった。

 

06. ROCK YOUR ANIMAL
『DOOR』からの流れ、完全に「盛り上がれ!!!!」とお墨付きを貰ったようなものだ。リズムギター大好き芸人の本領発揮ソングである。わたしを苦しめた憎きフラッシュの光も鳴りを潜め、そうなれば勝ったも同然。それはもうリズムに合わせて騒ぎまくった(主に動き的な意味で)。楽しかったなぁ。

 

07. 木枯らし6号
演奏前にチバがイタズラっぽい表情を浮かべて「そろそろ秋だなぁ」みたいなことを言っていた。その瞬間に思わずニヤッとしてしまった。前回のVIVIAN KILLERSツアーで、木枯らしが吹かないことに腹を立てていたチバを思い出した。『ヒマワリ』から始まったライブで『木枯らし6号』を聴く。何だか今年一年の時の流れの不思議さを感じてしまった。今年は、季節を感じる機会が例年に比べ圧倒的に少なかった。それなのにあっという間にもう11月も末である。秋ですらない。本当に色々あったけど何にもなかった不思議な一年だったなぁ。

 

08. 春雷
青い照明で照らされたステージがまるで深海のように美しかった。いま思い返せば、あの青い光は雨を表現していたのかもな、とも思う。よく耳にする「泣きのギター」って、きっとこの曲で鳴らされるような音なのだろう。さっきまでリズムに乗っていた会場が一気に静まり返り、ステージから放たれるエネルギーに圧倒されているようだった。わたしも棒立ちでただひたすらにステージを見つめていた。それぐらい力強い演奏だった。ほんと、息を飲むって言葉がピッタリくるような緊張感とエネルギーに満ちた濃密な時間だった。

 

09. プレスファクトリー
大好きな曲だよーーーーー(涙涙涙)!!!!!
チバが「久しぶりに演るよ」的なことを言ってイントロ流れた瞬間、思わず叫びそうになった。マジで大好きなんですよ。何がそこまでツボなのか分からないけど大好きなんです。果たしてこの表現が合っているのかは分からないけど、わたしにとって『プレスファクトリー』って、チバユウスケのキュートな部分とロマンチストな部分をとことん煮詰めた楽曲という立ち位置なのだ。とにかくもう全編に渡って最高。〈ここは天国 プレスファクトリー 夢だけでできてる〉とか〈純粋に君のことが好きかって聞かれたら それはなんとも言えないね はっきりしてるのは 嫌いじゃないってことだけさ〉とか、もうほんとに全編声に出して読みたいパワーワードのオンパレード。好きな部分を抜粋しようとしたけれど、それもうほぼ全部じゃん!とキレ散らかしたくなる。極めつけがサンドイッチに対する概念。もうこの曲の核はサンドイッチなのだ。〈サンドイッチに トマトはさ 入れないでほしいね パンの耳は 切らないで 結構それは重要〉の〈結構それは重要〉の戦闘力たるや……。たった7文字で一気にリスナーを駆逐する破壊力。もうほんっとうに何でこんな『この世の真理』みたいなことを、こんなにもロマンチックな言い回しで表現してしまうのか!!!!地にひれ伏しておいおい泣いてしまうくらい感動的な歌詞である。何となくイメージする幸せな愛の形の風景が丸ごと詰まっているような世界観。でも、あいつは消えちゃうんだよなぁ。
もちろん、現場でもおいおい泣きました。『プレスファクトリー』を聴けただけで、この日のわたしは圧倒的に勝者です。

 

10. 24時
The Birthdayのガラの悪さが存分に発揮されていてゾクゾクしてしまった。悪そうなThe Birthdayを見ると、ゾクゾクしちゃうよね。

 

11. Red Eye
『24時』と合わせて個人的にはフジイケンジ炸裂タイムとしたい2曲。キレッキレのギターが最高かっこよい。そして何と言っても『Red eye』最大の見せ場は、そんなフジイケンジチバユウスケの殴り合い(あくまで概念)であろう。あの時間、マジで会場中が沸きに沸いていて、熱気が一段階あがったように感じた。それにしてもブルースハープを鳴らすチバユウスケは相変わらず色気の権化みたいな凄まじさであった。最高だよ。
あとこれは完全に余談ですが、間奏でフジケンのギターが宇宙的な超音波を放っていたので「お、宇宙人でも呼ぶ気か!?」とか脳内でフザケた茶々を入れていたら、直後にチバが〈宇宙船〜〉って歌うもんだから腰抜かすほどビビった。完全に彼らの手のひらの上で踊らされている。詞の世界をあんなにもどストレートにリスナーに届けられるなんてやっぱりプロってすごいんだなぁと痛感しました。茶々入れてた己の思慮の浅さを恥じます。

 

12. BITCH LOVELY
まさかNHKの名を冠するホールで〈BITCH〉というワードをこんなにも耳にする日がこようとは……。あまりのパンチ力の高さに笑ってしまった。
序盤のかわいらしいメロディに対して、サビになると魂の叫び感が一気に膨れ上がるその振れ幅の大きさがこの曲の魅力だよなぁ。
終盤、テンポアップしてからの怒涛の巻き上げ感がめちゃくちゃ楽しかった。バンド感を凄まじく感じた。

 

13. 1977
チバユウスケエバーグリーンなものを感じてしまうので、何度聴いても青春の海に突き落とされるような切なさを感じる。そして、それと同時にものすごい多幸感にも包まれる一曲。『1977』を歌っているときのチバは本当に楽しそうで幸せそうで、見てるこちらが胸いっぱいになってしまうんだよなぁ……。いつまでも夢中になれる何かに出会える人生ってものすごく幸せなことだ。〈初めてルージュの味を〉からの曲の展開がすごくドラマチックで特に好きです。〈持ってかれて帰れない〉という歌詞が最後の最後で〈帰らない〉に変わっているのも、とてもいい。

 

14. OH BABY!
たしか、演奏前にチバが「オーベイベー!」って叫んだ気がする。
『1977』の余韻が残る会場をさらに煽るように熱が込められた演奏だった。とにかくチバが楽しそうで、何度も「幸せだなぁ」と実感した。この曲の主人公である『俺』はBABYに救われているけれど、この曲を歌うチバユウスケは、まるで息苦しい世の中からリスナーを連れ出してくれるヒーローに見えた。ほんとうにそう感じた。『OH BABY!』終盤ではチバと観客が〈OH BABY〉と歌い合うのが恒例で、この日もいつもどおりチバが歌ったあとに客へ任せるみたいな流れになった。もちろん、客は客でチバの想いに応えたいけれど大声で歌うわけにもいかず、ちょっとした戸惑いみたいなものが一瞬会場内に漂った。一方、そんな会場を見渡すチバは、とにかく優しい笑みを浮かべていた。なんだかその表情を見ただけで「きっとチバは全部分かってくれている」と思えた。わたし達の戸惑いも悔しさも、きっときっとあの瞬間のチバはすべてを分かってくれていた。そう思ったら泣けて泣けて仕方なかった。だからこそチバは、その後もいつもどおりに〈OH BABY〉というフレーズを何度も何度も繰り返したし、会場も声さえ出さなかったけれどその代わり身振り手振りでチバに応えていたように見えた。コロナで変えられてしまったものもあるけれど、変わらないものも確かにあるのだ。そのことに気づかせてもらえたような幸せな数分間だった。

 

15. COME TOGETHER
すでに『OH BABY!』でチバユウスケの巨大な優しさを感じて勝手にクライマックスを迎えていた限界オタクは、続く『COME TOEGETHER』で完全にHPがゼロになってしまった。だってこの曲も凄まじく多幸感に包まれる楽曲じゃないですか……。フジイケンジがイントロを弾き始めた瞬間、完全に脳内のスクリーンでは『主演:The Birthdayとわたし』のエンドロールが流れていた。なんかもうとにかく元気を貰った。〈ほっといてもさ地球は回る〉なんて、ほんとうにその通りだ。どうせ生きるなら少しでも楽しいほうがいい。そんな、シンプルだけどめちゃくちゃ重要なことを、改めて教えられた。楽しいことは自分で探さなくちゃ、なのだ。大好きなバンドの久々のライブで〈COME TOGETHER〉って歌ってもらえるなんて、もうめちゃくちゃに幸せじゃん。

 

16. オルゴール
一曲めに披露された『ヒマワリ』と両A面でリリースされた『オルゴール』で締めくくるなんて、オシャレなことするなぁ……。というか、もう既に『COME TOGETHER』で燃え尽きていたので、ふわふわしていて当時の記憶がほぼない。「あ、サンドイッチってまた歌ってる」とかバカみたいなことを思ったことだけは強く覚えているのだけど。ライブ後に、改めて聴いてみてるけど、なんだかとてつもない悲しみを感じてしまうのはわたしだけでしょうか。最後の一節が、一応、救いになっている……のか?

 

 

ここで本編はいったん終了。メンバーがステージから去った直後からアンコールを望む拍手が起こった。
その音は一度も止まることはなく、しかも最後までリズムを乱すことなく続いていた。何だかそんな光景にもめちゃくちゃ感動した。声を出せなくてもできることを全力でやろう、想いをメンバーに伝えようという観客の気概みたいなものが、あの何分間かに詰まっていたように思う。
そういえば、アンコールを待つ間、いくつものミラーボールがたくさんの光を放っていて、まるで宇宙空間みたいだった。やっぱりThe Birthdayのライブにミラーボールがあると最高ですね。

 

 

en01. くそったれの世界
ビール片手にご機嫌に登場したチバ。そんな姿に「コロナ禍でもビール飲むんかい!」と胸の中で静かにひとツッコミ。
盛り上がる観客を手で抑えつつ、恒例の歌い出し。やっぱりいつも通りとはいかなかったけど、思わず歌ってしまった方も数人いたようで、小さな合唱が起こっていた。もう完全にストッパーが外れたモードの会場はあっちもこっちも踊りまくり。いつもどおりの光景が広がっていた。ほんと、この瞬間を一人ひとりが思い思いに楽しんでいた。楽曲の盛り上がりに応じるように突き上げられた拳の数も増えていって「あー、わたし、The Birthdayのライブに来てるんだなぁ」と改めてジワジワ感動を噛み締めた。

 

en02. 声
いやぁ、このご時世のライブで『声』を歌ってくれるなんて、最高にカッコよくないですか?????マジで、このクソみたいな状況を生み出しているウイルスに真正面からケンカ売ってるようなその姿勢にめちゃくちゃ痺れた。それこそ、声には出さずとも会場中の誰もが大声で歌っていたと思うなぁ……。世の中の流れの全てを受け入れつつも、逆境には屈しないぞというバンドの強い意志みたいなものを勝手に感じて、めちゃくちゃ高まった。やっぱりカッコいいなぁ、The Birthday

 

en03. なぜか今日は
これも大好きな曲。最後の曲でやっぱり希望を歌ってくれるのがあまりにもチバユウスケ丸出しで、やっぱりカッコいいなぁ。あとわたし『なぜか今日は』を演奏するフジケンを見るとめちゃくちゃ高まってしまう。多分、2018年のフジロックの、ステージモニターにバンドロゴが映し出されるタイミングでステージぎりぎりまで前に出てきてギター掻き鳴らすフジイケンジの姿が最高にカッコよくて、『なぜか今日は』のイントロを聴くたびに脳内であの映像が自動再生されるからなんだよなー。あんなにもバンドロゴを最高のタイミングで登場させたライブ、後にも先にもないと思う。『なぜか今日は』演るなら、毎回あのバンドロゴ登場の演出も是非モノでやっていただきたいくらい爆イケ演出だった。ほんと見るたび鳥肌モンですよ。

 

そんなこんなで、わたしにとって今のところ2020年唯一のライブとなったThe Birthdayのツアーは終わった。
久しぶりに2時間ぶっ通しで立ちっぱなし踊りっぱなしだったので、終演後、規制解除されて帰ろうとしたら脚力が見事にヤラれてて一歩目が踏み出せなくなったときには流石に自分で自分の老いに絶望した。鍛えよう、下半身を中心に。

The Birthdayのライブに行くと毎回思うけど、やっぱり圧倒的に「カッコいい」って感想が一番に残るんだよなぁ。いろいろと思うことはあれど、やっぱり最後に強く残るのは圧倒的なカッコよさなのです。もうほんとにわたしが想う『ロック』という概念を具現化したものがそのままチバユウスケになる。それぐらい圧倒的にカッコいい。もちろん、この日も圧倒的にカッコよかった。いつまでもカッコよくいてくれよな(そしてどうか健康には気をつけて)!!!!!

 

初めてのNHKホールは、幼い頃から大晦日に毎年のように目にしてきたので、クハラさん同様に「おぉ、これがあのステージか」と感動した。思っていたより小さんだね、ステージ。あの上に何十人もアーティストが並んで『蛍の光』を合唱していただなんて、にわかには信じがたいですよ。
今年の大晦日も例年どおり紅白とガキ使を行ったり来たりかなぁ……と思っていたら、どうやら31日もThe Birthdayの皆さまは活動するらしく。さてどうしたものか、と思案している。


相変わらず感染者は増え続けているし、こうやってようやくコロナ前の日常を少しだけ取り戻したような気になっても、また無味乾燥な日々に逆戻りしてしまいそうな予感がビシビシしますね。何だか嫌になっちゃうけど、それでも生きていくしかないので、推しに元気を貰いつつ、またライブに行ける日常に備えて、まずは体を鍛えます(主に下半身を中心に)。

 

おわり。

ご覧いただき、ありがとうございました。

 

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The Birthday TOUR 19 NIGHTS 2018 AUTUMN 中野サンプラザ公演感想

2020年9月27日、リスナーとして思うこと。

全国1億2000万人のBUMPリスナーの皆さん、状況はどうだい?
いやぁ、わたし、どちらかと言えば自分自身のご機嫌取りがうまいタイプだと思っていたのですが、さすがにここ数週間のアレコレにはめちゃくちゃメンタル揺さぶられております。
BUMPリスナー的ブラックフライデーが続くこと2週間、次の金曜日は何も起こらないでおくれよ……。

とは言えせっかくブログをやっているし、好きなバンドが炎上することなんて滅多に無いから(笑うところです)オタクはオタクらしくお気持ち表明エントリーでも書くことにする(※)。ちなみに、先の一文(※)は一週間ぶり二回目の登場だよ。

 

ブラックフライデー第1弾のときのお気持ち表明エントリーはこちら

2020年9月21日、いまの気持ち - 楽しいことがあり過ぎる

 


2020年9月25日金曜日、BUMP OF CHICKENはしばらくの間、藤原基央・増川弘明・升秀夫の3人で活動していくことを発表した

時は夕食時。食後にスマホを見たらオタク友達からの不在着信。こんなことは稀なので、きっとBUMPに何かがあったんだと思い、ネットを開いたら『活動休止』の4文字。そうか、そう決めたのか……。ひとまず着信をくれたオタク仲間に折り返し、あーだこーだといろいろ話した。それはもういろいろ話した。彼女とは何度もBUMPのライブに行ったし、何度も喜びや感動を分かち合ってきた仲だけど、今回の件に関しては微妙に異なる思いを持っていて、それらを伝え合ったり理解し合ったりした。こういった時に、相手の考えを尊重しつつ互いに相容れない部分もあるのだ、ということを分かち合える仲でいられるなんてオタク仲間に恵まれたなぁ。そんなわたし達だけど、当事者が活動休止をして他メンバー3人で活動を続けることに関しては肯定的に捉えていた。とにかく『解散』ではなかったことに何よりも安心した。そして、それと同じくらい今回のリリースに衝撃を受けた。

 

報道にありましたような行動を彼がしてしまっていた当時、我々メンバーから、彼の日常の言動について厳しく注意した事もあり、その時のそういった叱責を彼は素直に聞き入れてくれてはいたのですが、結局のところ、我々は直井のプライベートのほとんどを把握できておらず、また、本質的な解決に至らなかったという事だと思います。その結果として、このような事態に及んでしまった事を、大変悔しく残念に思います。

 

当時、彼ら4人に何が起こっていたのか。もちろん、文章からその全てを汲み取ることはできないが、それでもある程度の衝撃を受けるには十分だった。そうか、BUMPってプライベートを把握するほどの仲ではなかったのか……。
そうなのかもしれないなぁ……とも思ってきたけど、わたしが思っていた以上に彼ら4人ってビジネスライクな関係だったのかもしれない。ぶっちゃけて言えば、それが結構ショックだった。そりゃ40歳を過ぎる成人男性4人が仕事もプライベートも共にしているなんて結構あり得ないことだよなって一般的には思うだろうけど、それでもBUMPに関してはあり得ると勝手に思っていた。男子学生みたいなノリで普段からキャッキャしてるのかと思ってたけど、そんな訳ないのだった。要は幻想を抱いていたのだ。
そしてやっぱり、わたしはそんな自己中心的な幻想を彼ら4人に抱いてしまっていたのだ、という事実に直面している。この対峙だって、ここ数日で何度も経験しているけど、結局“今現在でさえも”そんな幻想とともにBUMP OF CHICKENを見てしまっている。そんなBUMP OF CHICKENを求めてしまっている。


そんな風にネガティブ思考がグングン勢力を伸ばしまくっていたので、3人で活動を続けるという決断すら深読みしてしまう始末。4人でいることにこだわって進んできたバンドが3人で活動を続けるって決断をした。ちゃんと4人に戻るのだろうか……。
常日頃から世の中のあらゆることに対して『終わらないモノなんてない』ってことは十分に理解しているつもりだったのに、いよいよ我が身に降り掛かってくるかもしれないぞ、なんてますます悪い方、悪い方へと考えてしまう。どんなに考えても答えは出ないのに、それでもあらゆるバッドエンドを考えてしまう。
これじゃいかん!と何度も何度もリリースを読み返し、彼ら3人が何を考えているのかと思考を巡らせる。常日頃から、藤原基央BUMP OF CHICKENの思考を理解しきりたい、と考察しがちなオタクなので、とにかく現時点で彼らの思いを強く反映しているであろうこの文章から少しでも希望を見出したかった。そうして何度も読み返して、やっと気付いた。

 

我々の音楽を大切にしてきてくださったリスナーの皆様の存在に、今も変わらず、強く支えて頂いております。

 

支えになっていた。リスナーの存在が支えになっていた。あぁ良かったと心底思った。本当に良かった。今まで何度もBUMPの音楽に、BUMPの存在そのものに支えられてきたけれど、彼らがピンチの時に支えと思ってもらえる存在になっていたことが本当に嬉しかった。
気持ちが少しだけ浮上した気がした。


ちょっとだけ浮上した気持ちを抱えて、さらに思考を巡らせる。そういえば、かつてどこかで藤原基央は「死ぬまで音楽を続ける」って言ってた気がする。インタビューだっただろうか、ライブのMCだっただろうか……。

確証を得たくてTwitterで検索してみた。どうやらPATHFINDERツアーの新潟公演MCでの言葉だったようだ。わたしは、当時、そのライブには足を運んでいなかったが、あまりにも行きたすぎてライブレポを読み漁っていたのだ。その時の感動があまりにも大きくて、脳裏にこびり付いていたのだった。これで確証を得られた。ありがとうインターネット!!!!

こんな風に思われたら当の本人にしてみてもいい迷惑かもしれないが、藤原基央の言葉だったら真っ直ぐに信じられると思った。藤原基央が「死ぬまで音楽を続ける」と言ったのなら、それを信じようと思えた。そうしたら、また気持ちが浮上した。
例のリリースだって、文面どおりに受け取ろうと思えた。
当面の間、とあるのだ。だからわたしは、当面の間、三人になるBUMP OF CHICKENを支えよう、と思う。

 

とは言え今回の一件で「リスナーって何だろう」という自問自答は今まで以上にじぶんにとっての大きな議題になった。いろいろな角度から今回の件を考えるたびにBUMP OF CHICKENを『消費』しているのではないか、という後ろめたさが色を濃くしている。こんなことが起こっても、尚、わたしは、彼らが望むとおりにただ純粋に彼らの音楽だけを受け取るリスナーにはなれていない。

世の中の所謂ファンと自称する人々ってここら辺の自問自答にどうやって落とし所を見つけているのだろうか。いや、そもそも論としてこんな訳分からん自問自答をしていないのかもしれませんが……。推しの推し方について推し自身と解釈違いが生じています!!!!なんて激ムズ案件で難しいねぇ本当に。でも思考停止することだけは愚の骨頂なので、これからも自問自答し続けていこうと思う。

 

 

前回のエントリーで『HAPPY』の歌詞を抜粋して紹介したのだけど、今回も同じように紹介するよ。落ち込んだり、怒ったり、泣いたり、それはもう数時間単位で気持ちがぐるぐるしていた数週間だけど、そんな中でも何回もBUMPの音楽が頭に浮かんだ。すごいな、わたしこんな時に浮かぶ音楽も結局BUMPなんだなって妙に感動したりしたので……。

 

終わらせる勇気があるなら 続きを選ぶ恐怖にも勝てる

 

まずは今夜遅くのポンツカをしっかり聞こうと思う。

 

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2020年9月21日、いまの気持ち

どうせいつか終わる旅を 僕と一緒に歌おう

BUMP OF CHICKENの『HAPPY』という楽曲の一節だ。

BUMPを好きになって以来、誰かの誕生日を迎えるたびにこの曲が頭に浮かぶようになった。BUMPの記念日には、ことさら何度も。

 

9月20日はBUMPのメジャーデビュー記念日だった。
朝起きていつも通りTwitterを見たら、トレンドに『#BUMPメジャーデビュー20周年』の文字を見つけてめちゃくちゃ微妙な気持ちになった。例の報道以降、BUMP OF CHICKENの名前は思わぬ形で注目されている。だから、たとえハッシュタグ自体はポジティブなものだったとしても、今、このタイミングでトレンドにBUMPの4文字が並ぶのは悪手ではないのか、と思ったからだ。とはいえ、それでも何かしらの気持ちでエールを贈りたいというファン心理も十分に理解できるし、そんな方たちの気持ちに違和感を抱く自分自身にも嫌気がした。とにかくあの日以来、気持ちの落とし所はまだまだ見つけられずにいる。わたしの大好きなバンドがこの先どうなるのか、どうするのか、それをどんな心境で待てばいいのか……悩んでは落ち着き、落ち着いていたかと思えばふとしたきっかけで涙がじんわり溢れたりもする。そんな中、彼ら唯一のレギュラーコンテンツであるラジオ番組『ポンツカ』の休止。この休止が公式に告知されなかったことが、ゆらゆらしていたわたしの気持ちにダメ押しパンチを食らわせた。「もしかしたら、わたしが思っている以上に事態は悪い方に向かっている……?」そう思った瞬間に、なんだかいろいろダメになった。とにかく終わらないでほしいという気持ちが溢れた。溢れて、でもだからと言って何かが変わったわけでもない。結局そういうことなのだろう。わたしは彼らのファンだから、あんなことがあったけど、今日だって彼らの曲を設定している目覚ましアラームで朝を迎えた。とにかくもう待つしかない。きっと時間が経つことで見えてくることもある。

とは言えせっかくブログをやっているし、好きなバンドが炎上することなんて滅多に無いから(笑うところです)オタクはオタクらしくお気持ち表明エントリーでも書くことにする。いつも以上に思考の垂れ流しになるでしょう。

 

 

例のニュース記事を読んで最初に思ったことは「まぁ、らしいっちゃらしいな」だった。彼らのことを思うなら記事のPV数に貢献すべきではないだろうけど、好奇心に勝てず隅々まで読んだ。LINEのスクショもめっちゃ見た。ごめんなさい。そして、その後は怒涛の共感性羞恥。当事者でも何でもないのに、もうあらゆる面でなんとまぁ不憫な……と思ってしまった。そしてそれ以上に「ダセェな」と思った。今まで不倫で炎上する有名人を見るたびに「ダセェな」と思ってきたので、その中に自分の大好きなバンドのメンバーが仲間入りしていつもの8倍くらい「ダセェな」って思った。「バカだなぁ」とも思った。「何やってくれても構わないからせめてバレないようにやってくれよ」ってめちゃくちゃ思った。

記事によれば、語られた出来事自体は3〜4年前のことらしかった。3年も前のことを今さら、と相手方を非難する感想もいくつか見つけた。でもわたしにとって3年前ってめちゃくちゃ最近の出来事だと思えたので、その事実が今でもジワジワと心理的ダメージになっている。だって3年前って、わたしめちゃくちゃBUMPのツアーに行ってたときなんですけど。PATHFINDER静岡公演のチャマの誕生日当日だってプレゼントBOXにバースデーカード突っ込んだんですけど。だから何?って話だけど、たとえばオタク友達と「○年前の今日はどこどこのライブ行ってたよ」ってLINEを送り合うようなわたしにとっては、そんな思い出に余計な雑音入れられちゃったなぁ……とか、どうしたって考えてしまう。これから先のポンツカで、チャマがリスナーからの恋愛相談に真摯に答えていても「とはいえなぁ……」とか思っちゃうかもな、という可能性に気付いてしまった(そもそもポンツカが復活するかも不明ですが)。こうやって、今までの思い出とかこれから思い出になるかもしれないことに、余計な雑音が一つ加えられてしまった。もしかしたら、今回の騒動がなかったら実現していたことが立ち消えになってしまっているかもしれない、そんな可能性にも気付いてしまった。そのことが結構キツイ。

 

アーティストが何か問題を起こすたびに『作品』と『作り手』の扱いが話題に挙がる。そういった事象を目にするたびに、作品と作り手は分けて考えてあげるほうが理想だろうけど、多分わたしにはそれは無理だな、と思って生きてきた。これは、所謂、公開中止/販売中止というような社会的な対応の話ではなく、あくまでわたし自身が理想とする心理的な対応の話である。『作品に罪はない』ということは尊重される意見であろうとは思うけど、わたしの中ではそんな風に割り切れないだろうなぁ……と常々思ってきた。そして、いざ、自分がそのような状況になって、やっぱり割り切れないでいる。そして、この割り切れないことこそが『BUMPの望む〈音楽〉の理想形ではない』という事実に正面から向き合うことに繋がるのも結構ツライ。
BUMP OF CHICKENというバンドは常に『楽曲至上主義』というスタンスを貫いてきたバンドだ。だからこそ、本来、彼らにとってBUMP OF CHICKENの4人がフォーカスされることはきっと本意ではない。しかし、わたしはどうだろう。わたしは彼ら4人を含めてBUMP OF CHICKENのファンになった類の人間だ。だから、それらの関係性が如実に表れるような場であるポンツカが大好きだし”彼ら4人だからこそ”という要素についつい食いついてしまう。ここ数年、明らかにBUMP OF CHICKENというバンドが持つバックボーンをフィーチャーしたようなコンテンツが増えてきていても、喜んで享受してきた。なので、今、この状況で思わぬダメージを受けている自分自身に対して後ろめたい気持ちを抱いてしまう。結局、わたしの求めるBUMP OF CHICKENへの想いと、彼ら自身が追求しているBUMP OF CHICKENの理想には、大きな差があるんだよなぁって改めて痛感した。
でも、だからこそ、チャマに対して「ダセェな」と怒りにも近い感情が湧いている。あんなに楽曲至上主義っぽいこと言い続けてきたのにね、と思ってしまう。『リボン』を初めて聴いたとき泣いたって言ってたじゃん、誰よりも藤原基央の作り出す楽曲のファンは他メンバーだったはずじゃん、自分で雑音引き連れてきちゃってるじゃん、と思ってしまう。オタクはね、自分の好きなコンテンツを布教する生き物なんだよ。例えばこの先、わたしが誰かに「BUMPの曲すごくいいんだよ」って教えてあげても、今回の件が引き合いに出されちゃうかもしれない。それってすごく悲しいよ。「でも作詞作曲してるのは藤原基央だから……!」って返せばいいのかよ。違うだろ、4人でBUMP OF CHICKENなんだろう?頼むよ、4人でBUMP OF CHICKENなんだよ。

 

 

BUMP OF CHICKEN、どうなるんだろう。
例えばこの先、ライブ開催が告知されたとする。きっとわたしはめちゃくちゃテンション上がるだろうし、喜んでチケット確保に向けて動き出すだろう。そして、ライブが始まって、ステージ上で演奏するチャマを見て、どう思うだろうか。チャマが嬉しそうにベースを弾く姿が大好きで、そんなチャマの笑顔を見るたびに「あぁ幸せだなぁ……」って何度も涙を流してきたけど、その気持ちはどう変化するだろうか。変化しないだろうか。まったく想像できない。

個人的な希望をいうのであれば、金輪際、今回の件には触れてほしくないのが正直な気持ちだ。謝罪されても、どんな気持ちで聞けばいいのか分からないし。迷惑を掛けられたという意識もない。何も知らない外野に「BUMP大変だね」的なことを言われる面倒臭さはあるけれど。だから、今まで通りのBUMP OF CHICKENでいてほしい。それをどう受け止めるのかは、受け手側の自由だ。


とりあえずわたしは、近々、彼らが主題歌を担当している青春恋愛映画を観に行こうと思う。いちファンによるささやかなる支援の課金だ。どうしてだか、こういった時に「せめてもの罪滅ぼしだ」と謎の使命感に駆られてしまう。あまり興味を持てないであろうジャンルの作品なので足を運ぶつもりはなかったけど事情は変わった。行くぞ、わたしは!純愛映画ドンと来い!!!!

 


今日、『ヒルナンデス!』を見ようとテレビを点けたら、たまたまお昼のワイドショーで例の記事が取り上げられていて思わず電源を切ってしまった。おいおい余計なことしてくれるなよ、と心底イヤになった。そういう雑音に、BUMP OF CHICKENの音楽はこれからしばらく(下手したらこの先ずっと)晒される。結構しんどいね。

 


冒頭で紹介した『HAPPY』では、こうも歌われている。

終わらせる勇気があるなら 続きを選ぶ恐怖にも勝てる

今は、この一節に支えられている。 

 

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