今更になるが先日発売された『hide TRIBUTE IMPULSE』が思いのほか良作だったので感想を書こうと思う。あくまで音楽素人が、好き勝手に抱いた感想です。
収録楽曲及び参加アーティストはこちら。
参加アーティスト/収録曲
1. Dragon Ash / ROCKET DIVE
2. MIYAVI / ピンク スパイダー
3. FLOW / D.O.D. (DRINK OR DIE)
4. Cocco / GOOD BYE
5. 西川貴教 / ever free
6. HISASHI × YOW-ROW / DOUBT
7. ACID ANDROID / ELECTRIC CUCUMBER ※1
8. BREAKERZ / EYES LOVE YOU
9. SEXFRiEND ※2 / Bacteria
10. GRANRODEO / TELL ME
11. hide / HURRY GO ROUND (hide vocal Take2) ※3※1 zilchのナンバー
※2 アイナ・ジ・エンド(BiSH)とUK(MOROHA)によるスペシャルユニット
※3 20th Memorial Track
ちなみに参加アーティストの中でオリジナルアルバムをまともに聴いたことがあるのはCoccoだけである。 Dragon Ashと西川さん、FLOW、アイナちゃんの歌声は何曲か耳にしたことはあるなぁ程度。その他のアーティストに関しては今回のトリビュート版がほぼ初聴きです。
1. ROCKET DIVE:Dragon Ash
めちゃめちゃカッコいい仕上がり。まずイントロからカッコいい。あのお馴染みのメロディが遠くから聴こえてきて、シンバルの音で切り返す部分めちゃめちゃ好きです(伝われ)。kjの声ってこの手のサイバーっぽいアレンジもハマるんだなぁ……。ラスト大サビ前の転調部分がアソビ心溢れるアレンジ、特にドラムが刻むリズムがとても良い。楽曲全体としては本家であるhide with spread beaver版が持つ疾走感を120%増量しましたって感じの印象。
2. ピンク スパイダー:MIYAVI
「正統派な感じできたなぁー」というのが第一印象。イントロのギターが何かに似てると思ったのだけど何に似ているのか思い出せない。ちょっとスパイ映画っぽいと思いました。MIYAVIといえばギターの印象が強く、歌声を聴いたのは初めてだったのだけど、ボーカルにエフェクト掛けまくった今作のようなアレンジは毎回のことなのだろうか……。本家よりもサラッとした仕上がりで『メカ ピンク スパイダー』といった雰囲気(なんのこっちゃ)。あと、サビ部分のリズムの取り方が面白いなぁと思った。
個人的にはラストの「わずかに見えた/あの空の向こう〜」の部分だけでも、もっと生声っぽくしたら面白くなりそうでは……と思ったり。
3. D.O.D. (DRINK OR DIE):FLOW
どっからどう聴いても「めちゃめちゃhideのファンでしょ!?」と疑いようもないほど本家に忠実な仕上がりで思わず笑ってしまった。hideお得意のあのミンミン声があそこまで再現されているとは……。最後に収録されている音声は実際の打ち上げで録った音声らしく、そんなお遊び加減もhideがやりそうだなーと思ったり。聴くだけで酒が飲みたくなる。ちなみにFLOWのメンバーはhideのソロライブでステージに上ったことがあるらしい。羨ましい限りである。
どーも 知ってる方も多いと思いますが...
— TAKE_FLOW (@TAKE_FLOW) June 5, 2018
hideが1996年に行った2ndソロツアー「hide solo tour 1996 -PSYENCE A GO GO-」
「Beauty&Stupid」でお客さんをステージに上げて踊らせるという演出に奇跡的に選ばれた我々兄弟はこの経験からさらに音楽、バンド、ROCK人生に加速していったのでありました pic.twitter.com/XKKLmJSWQi
4. GOOD BYE:Cocco
最も期待していた一曲。この曲が聴きたいがために本作を購入したと言っても過言ではない。アコギとハーモニカのシンプルな構成がとても良い。わたしはどうにもhideが歌う『GOOD BYE』という曲を聴いた後にしんみりしてしまうので、メンタルが弱っているときなどは避けがちである。ところがCoccoが歌うこの曲にはそのしんみり感がない。それどころか希望の光すら感じられるような気がしたのだけど、何故だろうか。あの伸びやかで優しく温かみのある声が、そう感じさせるのかなぁ……。とても丁寧に歌っている。Coccoが自分の曲を歌ってくれていることをhideも喜んでいるだろう、なぁんて。
5. ever free:西川貴教
トリビュート版というものはカバーするアーティストの持ち味を出してナンボの世界であるからオリジナル版と比べるなんてナンセンスだぜ、と常々思っていた。いたのだけど……。ちょっとこれだけは無理だった。いやー、西川さんには申し訳ないけどイントロ始まって早々に「無理だー!」とiTunesを一時停止させてしまうくらいには無理でした。買ってきたCDを聴くに耐えないという理由でストップしたのは人生初かもしれない。とにもかくにも曲調が無理だった。何ていうか、長調が短調になってませんか?といえば伝わるのだろうか。多分この表現は間違っていると思うんだけど長調が短調になっちまった!!!と感じたのです。誰か音楽に詳しい人、わたしが伝えたいこのモヤモヤを音楽用語で説明してほしい。そもそもわたしが「ever free」を結構好きだということも大いにあると思うが、あの曲はポジティブソングであってほしかった。故にあのアレンジはどうしても許せなかった。西川さん、すまない。でも西川貴教っぽさはあったと思う。……フォローになっているのか?
6. DOUBT:HISASHI × YOW-ROW
冒頭の「嘘つき」ってセリフはHISASHIの声なのだろうか。めちゃめちゃエロくてびっくりした。こちらも正統派カバーといった仕上がり。サイバー系のアレンジはいかにもHISASHIっぽい。hideとHISASHIはインターネット黎明期から当時のアングラなサイト情報を共有し合う仲だったらしい。hideがソロ活動を続けていたら、どこかでコラボすることもあったのなぁと思ったり……。話は変わるが、中学・高校時代GLAYにドハマリしていた時期がある。hideとHISASHIの関係性を知ったとき「巡り巡って繋がるもんだなぁ」と妙に感慨深くなったりもした。ちなみにJIROちゃん推しです。
7. ELECTRIC CUCUMBER:ACID ANDROID
今作にzilchの楽曲をぶっ込む心意気に感動した。zilchいいよね、かっこいいよね!!!オリジナル版とはガラッと変わった仕上がりに最初こそ驚いたが、聴いてみるとどうしてどうして……結構いいよなーと思う。最初から最後まで目立った盛り上がりを見せずに終わる感じも面白い。初めて聴いたとき、何故かは分からないけど真夜中の薄暗い路地を歩く狼男の姿が思い浮かんだ。なんか「バケモノがひっそりと活動をし始めたぞー!」感ある。まぁ、伝わらないだろうな。
個人的にはzilchでは『What' Up Mr.Jones』と『Psyche』が好きなので、そのどちらかが選曲されてたら良かったのに、と思ったりもした。
8. EYES LOVE YOU:BREAKERZ
「おぉ結構いい感じだ」といい意味で裏切られた一曲。DAIGOの歌声がオリジナル版のhideの歌声に似てると思ったのはわたしだけでしょうか。歌声にエフェクト掛けたりせず、ザ・王道なカバー。こういった面にも育ちの良さが出るものなのだろうか……。
9. Bacteria:SEXFRiEND
以前からBiSHのアイナ・ジ・エンドの歌声が好きだったので、今回の参加を知りとても楽しみにしていた。そして聴いた。めちゃめちゃ良かった。オリジナル版とはぜんっぜん違う、これはもう別の曲じゃねーか!!と思うぐらいぶっちぎったアレンジだけど、これはこれでアリだ。というか、やっぱりわたしはアイナのハスキーボイスが好きなのだ。途中に挟まるシャウトも良い。毒っ気があるのに可愛いなんてズルいなぁ。アコギとアイナの声のみとは思えないぐらいパワフルな一曲です。(それにしてもバンド名はもうちょっとどうにかならんかったんだろうか……)
10. TELL ME:GRANRODEO
『TELL ME』が持つポップ感みたいなものが失われていなくて良い。こちらも正統派なカバーだな、と感じた一曲。GRANRODEOというアーティストのことは本作で知ったのですが、ボーカルがとても気持ちよさそうに歌う方だなと思った。オリジナル版より爽やかな仕上がり。最後のハイトーンボイスのアレンジが結構好きです。
11. HURRY GO ROUND (hide vocal Take2):hide
最後の一曲はhide自身の別テイク。「また春に会いましょう」部分がCD音源とは異なるリズムで歌われている。
___
全体としては楽器の音にしろボーカルの声にしろ機械処理したっぽいアレンジが多いなぁという印象。時代の流行りなのかなーという気もするけど、個人的にはhideが自らの楽曲に於いて『人間の声』と『テクノロジー』を融合させる手法*1をとっていたことへのリスペクトなのかしら……と思ったり。単独アーティスト名義のトリビュート版というものは聴いたことがあったのだが、複数アーティスト名義の作品を手にしたのは本作が初めてだった。使い古された言い方になってしまうが、それぞれの個性があり面白いものだなぁと思った。自分が大好きなアーティストの曲が別のアーティストによって料理される。「意外といいじゃん!」と思えるものから「無理無理無理〜〜〜」と思ってしまったものまであった訳だが、アルバムをまるまる聴いて結局最後には「よし!hideの歌声ver.聴こう」となっていた。
こういう企画って、実はリスナーよりもアーティスト当人同士が一番楽しんでたりするんじゃないのかなぁ。
おわり。
ご覧いただき、ありがとうございました。
▼hide(HIDE)関連記事はこちら
・hide 20th Memorial Project 映画『HURRY GO ROUND』
・hide(X JAPAN)の動画をひたすらオススメするから、みんな見てくれ。
・X JAPAN『DAHLIA TOUR FINAL完全版』が非常にエモかった。
・世間から遅れに遅れて、今さらながらhideの魅力に気づいてしまった話。
参加しています→【音楽ブログ】人気ランキングはこちら。
*1:hide自身は『サイボーグ・ロック』と名付けていた