楽しいことがあり過ぎる

楽しいことがあり過ぎる

健康な体があればいい

The Birthday『VIVIAN KILLERS』全12曲感想

VIVIAN KILLERS(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)

The Birthday 10枚目のオリジナルアルバム『VIVIAN KILLERS』がリリースされた。

相変わらずハチャメチャにかっこ良く、最高にロックン・ロールな作品だった。

 

 

 

今回のアルバムリリースに合わせて、ボーカルであるチバユウスケを中心にかなりの雑誌等でプロモーション活動がなされている。その多くの場所で、今回のアルバムは『若々しい』的な表現を用いられて紹介されている。特に意識もせずそれらのワードを目にして「いかにも音楽ライターが使いそうなありふれた表現だな……」とか思っていたのだけど(音楽素人がエラそうに何を言うかって感じですが)、なるほどあながち間違いでもないかもな、と考えを改めた。

全12曲を聴き終えた今、たしかに今回のアルバムには何だかみずみずしい青春性みたいなものを感じたからだ。ロックン・ロールを奏でることが楽しくて仕方ない、ただただ楽しんで音楽制作を行った結果の全12曲。そんな若々しくみずみずしい彼らの衝動がそのままパッケージされたような高揚感を強く感じた。もちろんチバ自身は先述のインタビュー内で生みの苦しみについても語っていたのだけど……。とは言っても、やはりわたしは音楽に関してはズブの素人なので、今回も各曲を聴いて自分が感じたことや思ったことをそのまま記していこうと思う。

ちなみに本アルバムリリース前から今回のエントリーを書くことを決めていたので、事前にラジオ等で解禁された収録曲たちをできる限り耳に入れないようにしていた。何の先入観も持たずに、アルバムを通して聴いたときのファーストインパクトを大切にしたかったからだ。熱烈なThe Birthdayファンの皆さまにおかれましては「このくそ素人がよ 偉そうなことをぬかしてよ」くらいのやさしさを持って読んでいただけると嬉しいです。ということでさっそく始めます。

 

01.LOVE IN THE SKY WITH DOROTHY

実はアルバム初試聴前に彼らがプロモーション活動の一環として出演していたラジオ番組を聴いていたら、ちょうどこの曲がオンエアされるという不運に見舞われたのだが、そんなアンラッキーなんてどうでも良くなるほどにイントロからめちゃくちゃかっこ良くて「カッコよ!!!?!?!???!??!!!!」とパニクった一曲。イントロからバチバチのロックナンバーでぶち上がること間違いなし。この曲を一曲目に持ってきたことで本作のコンセプトみたいなものが分かりやすく浮き彫りになっているような気がする。マジで最高にロック。イントロのギターがね、もう最ッ高に最高ですよね……(語彙力とは)。途中のギターソロもバチクソかっこ良く、ギターソロ大好き芸人の血が騒ぎます。最後、〈LOVE IN THE SKY WITH DOROTHY〉を連呼するのだが、ハモで入っている低音ボイスがこれまた最高にかっこ良いです。


02.KISS ME MAGGIE

「ッカーーーー!!!!!シャレオツ!!!!!」

それが第一印象でした。イントロのギター、何なんだこれ。「シャレオツとはこのことよ!」と言わんばかりのシャレオツ感。リズミカルなギターとメロディアスなベースが最高にオシャレな一曲。オシャレなカクテルでも飲みながらユラユラ揺れながら聴きたいなぁ……。オシャレなカクテルって何やねんって感じですが。

ロディアスなベースが好きな人には、この曲は堪らないのではなかろうか。楽曲全体から大人の余裕と色気みたいなものがドバドバ溢れている気がする。たぶん、この曲を演奏するときのヒライハルキはオトコの色気の権化みたいな感じだと思う(なんのこっちゃ)。きっと観客の多くを、その色気で腰砕けにすることでしょう。わたしは彼が身体をユラユラさせながらベースを弾く姿がとても好きです。リズムに身を任せて作品の世界にどっぷり浸かりながら演奏してる感があって、見るたびに素敵だなぁと思います。

この曲、最後の終わり方がとても演劇チックなサウンドで、それも含め作品の世界観が強烈に感じられる仕上がりになっている気がする。


03.青空 (VIVIAN KILLERS ver.)

アルバム全体を通しては『みずみずしい若々しさ』みたいなものを強く感じるのだけど、そんな中で、間違いなくチバユウスケが長いキャリアを持つアーティストなんだよな…ということを再認識させられる一曲。これは10代や20代の人間には書けない歌詞だよな、と思う。いや、もしかしたら書ける人もいるのかも知れないけれど、その説得力には大きな差を生むだろう。やはり彼のキャリアを考えるときにTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのことを想ってしまう人はかなりの人数いて、もしかしたら彼自身にその気はないのかも知れないが、この曲にはそれらに想いを巡らせてしまうようなキラーフレーズが多く存在する。『青空』という非常にポジティブなイメージを持つタイトルに反して、重いサウンドで始まり、それでもBメロではリスナーに呼び掛けるような言葉を並べ、サビでは未来に目を向けることを強く歌う。……最高やん。チバユウスケが〈お前の未来はきっと青空だって言ってやるよ〉と歌ってくれることの意味の大きさ。ここ最近彼らのファンになったばかりのド新規であるわたしには受け止めきれないほどである。

ところで本エントリーを書きながらリピートしまくっている中で気付いたのだが、ラストの大サビ前に入る高音のギターフレーズが吐くほどかっこ良いのでぜひそこら辺を意識して聴いてほしい。吐くほどかっこ良いです、マジで。


04.POP CORN

初っ端から勢いがすごい。実際のところはどうなのか知ることはできないけれど、思いついた勢いのままアッという間に作詞作曲され、その勢いのままにレコーディングしたのでは?と思えるくらい最初から最後までとてつもない勢いで終わっていく。そんな中で、いかにもチバユウスケっぽいワードセンスが炸裂している歌詞がとても良い。個人的には〈忘れるを忘れないで〉という歌詞が強烈で、初めて歌詞カードで目にしたときにはドキッとした。〈忘れるを忘れないで〉、強すぎる……。


05.Dusty Boy Dusty Girl

「どこか懐かしくセンチメンタルな気分にさせるイントロだな」とか思いながら聴いていたら歌い出し一発目に〈センチメンタル裏切り〉と歌われて「ウソだろ!?」と思わず声に出ていた。まんまと踊らされてしまった感。こんな風にアーティスト側の思惑がサウンドとして表現されている作品に出会うたびに「やっぱりプロってすごいなぁ……」と感動せずにはいられない。きっと彼らのように音楽を生業にしているような人たちは、こんな風に素人であるわたしが気付きもしないトリックを作品のそこかしこに仕掛けていて、それらの一端に触れられたような喜びを感じられるからだ。


06.THE ANSWER

アルバムとして聴いたとき、この曲のかっこ良さが群を抜いていて驚いた。イントロからビリビリくる感じ、最高だ。こんなにも『痺れる』という表現がピッタリくる曲だったのか……。歌詞カードを見ると、そのボリュームの少なさにも驚いた。言葉数としてはとても少ない構成なのに、こんなにもドラマチックな楽曲になるのか。音楽ってすごい。

そもそもイントロのギターリフから凄まじくかっこ良くて、ガナるような歌い出しからベースとの掛け合いのような構成になってくるところもめちゃくちゃかっこ良い。サビのメロディアスなベースも大好きだ。というか、わたしはどうやら『ベースがメロディっぽいラインを奏でる』という構成がツボである、ということに今さら気付いた。センテンスとセンテンスの間を埋めるように入ってくるギラーフレーズも美しくて好きだ。そうか、この曲はアングラっぽい怪しさを醸し出す楽曲なのに、ベースもギターもとても美しいメロディを奏でている楽曲だったのか……。だからこんなにも強いのかもしれない。すごく練りに練られた感がある気がする。めちゃくちゃ手が掛けられている、と言ったら良いのか。いや、専門的なことは分からないのだけど、たとえばロックに対する衝動みたいなものをパッケージしたような印象の曲が多い『VIVIAN KILLERS』というアルバムの中で、『THE ANSWER』はそれらとは少し異なる立ち位置というか。とにかくThe Birthdayの生み出す楽曲の幅の広さみたいなものを強く感じる不思議な曲だ。

……だめだ、考えすぎて何が何だか分からなくなってきました。

 

07.DISKO

〈このくそメタルババァがよ〉。最高の歌い出しである。

それに続く歌詞が〈そのうちお前をやってやる〉で結ばれている。〈殺ってやる〉と書かないだけマシかな、とか思っていたらサビに入った瞬間〈KILL AT THE DISKO〉と歌っていて笑ってしまった。多分だけど、この曲のレコーディングはきっと楽しかったに違いない。サビの〈KILL AT THE DISKO〉の部分は、ライブだったら観客全員で叫びたい部分である。


08.THIRSTY BLUE HEAVEN

めっちゃくちゃ好きな曲だ!!!!もうイントロから最高に好きだ。チバユウスケってあんなにガラ悪いのに、ときどき途轍もなくロマンチックな楽曲を生み出すでお馴染みじゃないですか。わたしは彼のその純粋さみたいな部分にどうしようもなく惹かれてしまうのだ。そんでもって、『VIVIAN KILLERS』に於けるそのロマンチック要素を担うのがまさにこの曲だと思っている。あまりにも美しい曲で、ライブで聴いたらその美しさに泣いてしまう気がする。特に大好きなフレーズが〈コーヒーシュガーが 溶けていくように 肯定しよう この世界を〉の部分だ。こんなにもはっきりと言い切ってしまうだなんて……。軽く衝撃を受けた。〈シュガー〉ではなく〈コーヒーシュガー〉としたワードセンスも、『天国』をBLUEで表現するところも途轍もなくチバユウスケだなぁ、と思う。そして〈そこには歌が〉と歌うチバユウスケは、やっぱり音楽が大好きなんだなぁとも思った。あーーーーーーーー、、、、本当に最高だ。


09.FLOWER (VIVIAN KILLERS ver.)

ライブで聴いたときから散々思っていたことだけど、やっぱり今回も思った。この曲はポジティブな空気で溢れている。聴くだけで無条件に前を向きたくなるような曲があって、『FLOWER』は間違いなくそちら側の曲だ。それはフジイケンジによる〈真っ赤なRADIO〉部分の繰り返しに起因するのかも知れないし、ライブで今作を演奏しているときのチバがあまりにも楽しそうで、その光景が未だに目に焼き付いているからかもしれない。

わたしはチバユウスケの歌詞に多く見受けられる『あるがままを受け入れて、それでも未来を夢見る姿勢』みたいなものが好きだ。この曲でも〈忘れないで 君が思うほど この世界は それほど腐ってはない〉と歌っている。普段、あんなに治安の悪いことを口にするような彼が、こんなにも世界を肯定してくれるって、なんかもうそれだけで信じられる気がする。そんな曲に『FLOWER』なんていう“生命力の象徴”みたいなタイトルを付けちゃうところも粋だなぁ……。


10.星降る夜に

詞の破壊力がヤバイ。こんなの卑怯だ。

たとえば音楽が 空にいくら吸い込まれようとも

止むことはないと 思えたよ君の声が聞こえる

いやいやいやズルくないですか?チバユウスケがこの詞を歌うのズルいでしょ。この曲も彼のロマンチックが溢れ出ていて、あまりの少女っぽさに脳みそ溶けそうになる。タイトルそのまま、星が綺麗な静かな夜に聴きたい曲です。


11.DIABLO ~HASHIKA~

全体としてセリフ調の歌い方が印象的な一曲。〈ベイビー〉というフレーズをこんなにもかっこ良く歌えるアーティストもなかなかいないだろうなぁ、と思う。激シブである。ところでチバユウスケ、意外と星座占いとか気にする質(たち)なのだろうか……。


12.OH BABY!

いやぁいいなぁ、この爽快感!!

実は本エントリーを書く際、感想を書くあいだは対象となるその一曲のみを延々リピートする、といった手法をとっていたのだけど、11曲めの『 DIABLO ~HASHIKA~』の感想を書き終えて『OH BABY!』を流し出した時の爽快感ったらない。なんて爽やかなんだ!すごいな、この爽やかさ。まさしく〈闇は晴れた〉って表現がピッタリくるようなスコーンとした爽快な抜け感がある。

最後、リズムが変調し〈OH BABY!〉を繰り返す部分が、とても好きです。なんだろうなぁ……とてもドラマチックで、そのうえ可愛らしさみたいなものも同時に感じる。きっとライブでは観客に促すんだろうな、ということも容易に想像できる。

どこかのインタビューで、最後が『OH BABY!』で締めくくられることでアルバム全体の印象がすごく肯定的になる、みたいなことを読んだ気がするのだけど(凄まじいうろ覚え感)、たしかにその通りかも知れない。この楽曲で締められることで、何だかハッピーな余韻に浸っていられる気がするのだ。

 

 

 

まとめ。

ここ最近、自らのキャリアを振り返るようなインタビューが多いチバユウスケ。そのどれでも彼の発言はとても前向きだ。とにかく精力的に音楽制作を行っているらしい。素晴らしいことだし、とても喜ばしいことだ。そんな彼らの姿勢が、今回のアルバムが持つ若々しさやみずみずしさにつながっているのかも知れない。50歳を迎え、ときに「あと20年位かもなぁ……」なんて発言もしているチバユウスケに思うことは、とにかく楽しんで音楽を作り続けてほしいということだ。

間もなくThe Birthdayはツアーに突入する。アルバム収録曲がどんな風に演奏されるのか、今からとても楽しみだ。ライブで聴いたらガラッと印象が変わる楽曲もきっとあるだろう。

とんでもない歌が 鳴り響く予感がするぜ!!!!

 

 

おわり。

ご覧いただき、ありがとうございました。

 

▼今までのThe Birthday関連の記事はこちら

The Birthdayのライブを初めて観た_『マグロック2018』感想

The Birthday TOUR 19 NIGHTS 2018 AUTUMN 中野サンプラザ公演感想

 

参加しています→【音楽ブログ】人気ランキングはこちら。

このエントリーをはてなブックマークに追加