楽しいことがあり過ぎる

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健康な体があればいい

The Birthday『GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020』東京公演感想

GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020

何をするにも「コロナ」に囚われ続けた2020年もあと一ヶ月少し。
ようやく、とうとう、今年最初のライブに行くことができたので今日はその日のことを書こうと思う。
おそらく後々、日本の(もしかしたら世界の)歴史を振り返ったときに『失われた2020年』とか呼ばれることもあるかもしれない今年、最後の最後に滑り込みでライブに行けたことは、ため息ばかりの毎日を救ってくれた。と、同時に「あぁ、わたし、こんなにもコロナコロナの毎日に疲弊していたのか」と実感する出来事でもあった。とにかく久しぶりに全身で感じた興奮や感動、喜び、楽しさ。やっぱりライブっていいものですねぇ、とバカみたいにシンプルな感想を抱いたのでした。

 

本題に入る前に少しだけ近況を。実は9月に職を失っておりました。

勤めていた会社は旅行業界大手をメインクライアントにしていたため、コロナの影響をモロに受けていた。世間が『新型コロナウイルス』というワードに恐れを感じつつあった春先から徐々に仕事が減っていき、夏には開店休業状態。そりゃ無理だよな、と薄々感じてはいたものの、やっぱり自分の思い描いていた人生設計に突如放り込まれた『整理解雇』の4文字には参った。いやぁ、ほんと、人生何が起こるか分からないとはよく言ったものだ。
こんなタイミングでの失職なんてマジでバッドタイミング過ぎる。そのうえ、会社の事務所を引き払わなくてはならず、酷暑のなかでの引っ越し作業(厳密にいえば引っ越しではないけれど)。そんな中途半端な状態なので、いまいち転職活動にも身が入らず。年齢も年齢なので気持ちの上では焦って転職活動をするものの、なかなか結果が振るわず……。何だかもう全てが悪循環。あぁ、わたしって世界から必要とされていない人間なのかも知れない、などと人生に絶望したりもしたけれど何とか無事に『採用』の報せを受けることができた。そんなこんなで10月末から新天地にて頑張っております。勤務地は都内、そして18時定時なので今まで通り仕事終わりにライブにだって行けちゃうことが何よりの安心材料。オタク、生きる!!!!!

 

さて、そんな人生ハードモードど真ん中の2020年中盤だったので、音楽からは少し距離を置いていた。これまで通勤等の移動時間を利用して音楽を聴くライフスタイルを送ってきたので、人生に於ける最大の移動時間である『通勤』を失うと音楽に触れる機会が圧倒的に減る。そのうえ、不本意な失職というアクシデントによりメンタルがダークサイドに流されていたのでとにかく笑いを求めてしまい、家にいる時間はバラエティ番組を狂ったように見漁っていた。
なので、The Birthdayの音楽もしばらく聴いていなかった。新譜がリリースされると知ったときも以前よりテンションが上がらなかったし、ツアー決定のニュースを知ったときも「ライブ行きたいけど、仕事ねぇしな……」とか思っていた。それでも、そんな自分の中に鬱々と溜まりつつあった何かを、どうにかしたいとも思っていた。だから、The Birthdayのライブの日までには次の仕事を見つけていられるようにしよう、と敢えて自分にプレッシャーを掛けることにした。あんなにしょっちゅうライブに行っていたのだ。ライブに行けば、きっと人生に張りが出る。とにかく少しずつ下がっていく生活の幸福度を少しでも上昇気流に乗せたかった。そんな願いも込めて、今回のツアー先行にエントリーした次第です。無事にチケットがご用意されたときは「これでこれからの人生に『予定』ができた、よかった」と思った。人生に『予定』があることの素晴らしさよ……。
それからしばらくして無事に転職先も決まり、ライブ当日はソワソワしながら慣れない新天地での仕事をこなし、定時ダッシュをキメて約束の地であるNHKホールに向かった。やっぱり都内の主要なライブ会場に30分ちょっとで到着できる勤務地マジサイコーーーー!である。面接で志望動機を聞かれても、さすがに「仕事終わりにライブ行くのに丁度よい立地なので」なんて答えられなかったけど、ほんとは志望動機の3番目くらいには立地が食い込んでくる。

 

夜の代々木公園では若者がダブルダッチの練習に励んでいて、コロナに対する危機感の世代間ギャップに「おやおや」なんて思ったりもしたけれど、こちらもこちらで今からライブに行く身なので、そこはお互い様であろう。こんな世の中なので些細な考え方の相違にはおおらかでありたい。何でもかんでも分断の火種になりつつある今どきなので、尚更強くそう思います。

 


さて、超久々の『現場』である。

例のごとくThe Birthdayのリスナーは黒い洋服の着用率が異様に高い。そんな当たり前の光景も久しぶりすぎて「おぉ!このガラ悪い客層(超個人的意見です、しかも偏見もある)も久しぶりだな!」とちょっぴり感慨深かった。平熱がやや高めなわたしなので、入場口の検温では変に緊張したけれど、無事に会場にインすることができました。平熱で36.8度を叩き出す人間なので新しい生活様式に組み込まれつつある検温にも毎回ビクついてしまうのです……。

デカデカと光るシャンデリアと赤い絨毯の大階段にNHKの格調の高さが伺えるようなロビー(というのだろうか)を抜けて早々に着席。今回は2階席とはいえ前から2列目の通路側という引きの強さを発揮した。個人的には当たり席である。ライブ中、常に音に合わせて体を揺らしていたいマンなので通路側というのは大変喜ばしい。そのうえ、今回はコロナ禍でのライブということもあり隣席は空席。一人ひとりに与えられたスペースがとにかく広い。最高である。
久しぶりのライブという方が多かったであろう開演前の会場は、静かながらも興奮が満ちているようで、同時に少しの緊張感も漂っているようにも感じた。

 

18時50分頃に開演前最後の影ナレが流れた。アナウンスが終わるとともにどこからともなく拍手が生まれ、その音はあっという間に会場を包んだ。わたしが記憶している限り、The Birthdayのライブでこういった拍手が発生するのは珍しいような気がするけれど、果たしてどうだっただろうか。そもそもThe Birthdayは着席形式でのライブ事態が稀なので、もしかしたらわたしの思い違いかもしれない。とにかく、そんな些細なことにも、会場の興奮度合いを勝手に感じてしまうくらいには、わたしの気持ちも高まっていたのだろう。
そうして、これまた恒例の『Sixteen Candles』が流れる中、4人がステージに登場した。視界にクハラカズユキの姿を捉えた瞬間、ジワリと涙が浮かび、チバユウスケのシルエットが見えた途端に、それはボロボロと溢れ出した。まさかこんなタイミングで涙が出るなんて自分でも予想していなかったので驚いた。やっと、やっと、失われていたものが少しだけ戻った気がした。それはもちろん、喜びやら感動が大多数を占めていたけれど、もしかしたらある種の「安堵」も含まれていたように思う。こうやって少しずつ以前の生活を取り戻していけるかも知れない、という安堵だ。
そういえば今回のライブは『SixteenCandles』のサビが終わるタイミングきっちりで音が止まり、非常に気持ちが良かった。あの音が止まるタイミングが微妙だと、ちょっぴり残念に思うのはわたしだけでしょうか。サビの〈シックスティーーンキャンドールズ〉って歌い終わった瞬間に音が止まって、会場内が一気に沸くあの感じが堪らなく好きなのです。


ということで当日のセットリストです。

久しぶりの現場であり、しかもここ数ヶ月彼らの音楽自体に触れていなかったのでマジでライブ中は曲とタイトルが一致せず苦しんだ。「あーーーーー!!!!この曲!!!なんだっけこの曲!!!聴いたことあるのに!!」と何度も頭を抱えた。今回もインターネットに助けられました。

 

The Birthday『GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020』
2020.11.18 @NHKホール公演


01. ヒマワリ
02. 青空
03. KISS ME MAGGIE
04. SOMBREROSE
05. DOOR
06. ROCK YOUR ANIMAL
07. 木枯らし6号
08. 春雷
09. プレスファクトリー
10. 24時
11. Red Eye
12. BITCH LOVELY
13. 1977
14. OH BABY!
15. COME TOGETHER
16. オルゴール
en01. くそったれの世界
en02. 声
en03. なぜか今日は


01. ヒマワリ
先日リリースされたばかりの新曲。骨太なベースから始まるのが超絶カッコいい。わたしはどちらかというと夏とかヒマワリというものに対してはポジティヴなイメージを持っているので、この曲を初めて聴いたとき「そうか、チバはヒマワリという曲をこんな風に表現するのか」と少し衝撃を受けた。CDのアートワークもどちらかというとダークな仕上がりだったので、重ねて衝撃を受けた。何というか、わたしとチバとでは同じワードに対して抱くメロディのイメージが正反対だなぁ、と感じることがよくある。それは『青空』を初めて聴いたときにも感じたことだ。だからこそ、惹き付けられるのかもしれない。
The Birthdayのライブでは照明の素晴らしさに唸ることが多いのだが、今回も見事でした。青いステージに赤く照らされるメンバー(もしかしたら逆だったかもしれない)が最高にカッコよかった。やっぱり青と赤の組み合わせって最高ですね。推しをカッコよく見せたいなら青と赤の照明で照らせというのは、決して忘れたくないライフハックである。

 

02. 青空
続いてもベースイントロで始まる曲。いやぁ、イントロきた瞬間「大好きだ!!!!」の気持ちが見事に爆発した。この曲のイントロは特に大好き。ベースに合わせるようにソリッドに鳴るドラムの音も痺れるし、そこに加わってくるギターのリフも最高にカッコいい。そんでもって何と言っても歌詞がなぁ……。こんな世の中だからこそ、さらに胸に響くものがある。チバが〈絶望に 絶望している ヒマなんて 俺にはねえよ〉って歌うことの説得力よ!!!!この自粛期間にも彼のインタビューを読んだりしたが、やっぱりそこでも彼はあるがままを受け入れるスタンスを貫いていて、改めてブレのないその姿勢に感銘を受けた。チバの素晴らしいところは、というか、わたしが彼の書く歌詞に心を動かされる大きな要素は「あるがままを受け入れつつも決して未来を諦めない」という希望を歌ってくれるところにある。そしてこの『青空』は、それが強く押し出されているように思う。きっと、あの日、ステージの上で〈明日はきっと青空だって お前の未来はきっと青空だって〉と歌うチバは心からそう思って歌ってくれていたに違いない。彼にはそう信じさせる説得力があるのだ。あと、間奏から大サビまでのギターとドラムの煽り感もテンション爆上げポイント過ぎて「キタキタキターーーーー!!!!」って脳みそ溶けた。めーーっちゃカッコいい。

 

03. KISS ME MAGGIE
リズミカルなギターリフが印象的な三曲目。会場内が一気にダンスフロア化していた。やっぱりThe Birthdayのライブはこうでなくっちゃ感を凄まじく感じた。わたしの斜め前にいらした女性がめちゃくちゃ踊ってて、見てるこちらもテンション上がりました。みんなが楽しみにしていたんだろうなぁ、この日を。あとやっぱりチバの詞に登場する外国の女性って毎度名前のチョイスが秀逸だよなー。この『KISS ME MAGGIE』という曲は、終わり方がいかにも物語染みた音のまとめ方になっていてそんなところも好き。

 

04. SOMBREROSE
クソオタクなので「初めて聴く曲だ!!!!」と現場で驚き倒していたのだけど、終演後に確認したらめちゃくちゃ自分のiPhoneにも入っていた。たぶんあんまり聴き込んでなかったのだろう。完全に初聴き勢のつもりでした。〈楽団が来る〉って歌い出しが強烈過ぎて一気に引き込まれた。あの瞬間、「え、バスデのことじゃん」と思ったのはわたしだけじゃないはず。サビこそ激しいけれど、何となく全編を通して漂う穏やかな空気感が心地よかったです。ありきたりな表現だけど、とてもいい曲だなーと思った。これから何回も聴きます。あと、例えばThe Birthdayだったらドヴォルザークの『新世界』をどんな風に演奏するのかな、と思ったりもした。

 

05. DOOR
ゴリッゴリのロックナンバー。サビ部分の〈ナーナナナナ ナーナナナナナァナー〉を本来であれば客も一緒に歌うのが恒例だけど、こんなご時世なのでそこはグッと我慢。とはいえ、リズムに合わせて突き上げられたたくさんの拳に「コロナに負けねぇぜ」という気合いを感じた。そろそろドアが開く頃さ。〈代々木上空〉部分で天を指差すチバユウスケの姿がこの曲のハイライトだったと勝手に思っている。
ところで、今回のライブではフラッシュ的な照明が断続的に焚かれる演出が何度か行われていて、この曲がその演出の一発目の登場シーンであったのだけど、とにかくその光がキツかった。わたしは強い光が苦手なので、もう途中からはステージから目線を外らそうかと思うほどにキツかった。強い光によって頭痛をもよおす人もいるぐらいだし、あの演出は何とかならないかしら。それともたまたまわたしの座席があの光をモロに食らってしまう席だっただけで、他の皆さんは特に不快ではなかったのだろうか……。とにかくあのフラッシュがキツくて楽曲に集中しきれなかったのが悔やまれる。ちなみにこのフラッシュ的演出は終盤にも再び登場して(なんの曲だったのかは忘れた)、心の底から「いい加減にしてくれ」となった。

 

06. ROCK YOUR ANIMAL
『DOOR』からの流れ、完全に「盛り上がれ!!!!」とお墨付きを貰ったようなものだ。リズムギター大好き芸人の本領発揮ソングである。わたしを苦しめた憎きフラッシュの光も鳴りを潜め、そうなれば勝ったも同然。それはもうリズムに合わせて騒ぎまくった(主に動き的な意味で)。楽しかったなぁ。

 

07. 木枯らし6号
演奏前にチバがイタズラっぽい表情を浮かべて「そろそろ秋だなぁ」みたいなことを言っていた。その瞬間に思わずニヤッとしてしまった。前回のVIVIAN KILLERSツアーで、木枯らしが吹かないことに腹を立てていたチバを思い出した。『ヒマワリ』から始まったライブで『木枯らし6号』を聴く。何だか今年一年の時の流れの不思議さを感じてしまった。今年は、季節を感じる機会が例年に比べ圧倒的に少なかった。それなのにあっという間にもう11月も末である。秋ですらない。本当に色々あったけど何にもなかった不思議な一年だったなぁ。

 

08. 春雷
青い照明で照らされたステージがまるで深海のように美しかった。いま思い返せば、あの青い光は雨を表現していたのかもな、とも思う。よく耳にする「泣きのギター」って、きっとこの曲で鳴らされるような音なのだろう。さっきまでリズムに乗っていた会場が一気に静まり返り、ステージから放たれるエネルギーに圧倒されているようだった。わたしも棒立ちでただひたすらにステージを見つめていた。それぐらい力強い演奏だった。ほんと、息を飲むって言葉がピッタリくるような緊張感とエネルギーに満ちた濃密な時間だった。

 

09. プレスファクトリー
大好きな曲だよーーーーー(涙涙涙)!!!!!
チバが「久しぶりに演るよ」的なことを言ってイントロ流れた瞬間、思わず叫びそうになった。マジで大好きなんですよ。何がそこまでツボなのか分からないけど大好きなんです。果たしてこの表現が合っているのかは分からないけど、わたしにとって『プレスファクトリー』って、チバユウスケのキュートな部分とロマンチストな部分をとことん煮詰めた楽曲という立ち位置なのだ。とにかくもう全編に渡って最高。〈ここは天国 プレスファクトリー 夢だけでできてる〉とか〈純粋に君のことが好きかって聞かれたら それはなんとも言えないね はっきりしてるのは 嫌いじゃないってことだけさ〉とか、もうほんとに全編声に出して読みたいパワーワードのオンパレード。好きな部分を抜粋しようとしたけれど、それもうほぼ全部じゃん!とキレ散らかしたくなる。極めつけがサンドイッチに対する概念。もうこの曲の核はサンドイッチなのだ。〈サンドイッチに トマトはさ 入れないでほしいね パンの耳は 切らないで 結構それは重要〉の〈結構それは重要〉の戦闘力たるや……。たった7文字で一気にリスナーを駆逐する破壊力。もうほんっとうに何でこんな『この世の真理』みたいなことを、こんなにもロマンチックな言い回しで表現してしまうのか!!!!地にひれ伏しておいおい泣いてしまうくらい感動的な歌詞である。何となくイメージする幸せな愛の形の風景が丸ごと詰まっているような世界観。でも、あいつは消えちゃうんだよなぁ。
もちろん、現場でもおいおい泣きました。『プレスファクトリー』を聴けただけで、この日のわたしは圧倒的に勝者です。

 

10. 24時
The Birthdayのガラの悪さが存分に発揮されていてゾクゾクしてしまった。悪そうなThe Birthdayを見ると、ゾクゾクしちゃうよね。

 

11. Red Eye
『24時』と合わせて個人的にはフジイケンジ炸裂タイムとしたい2曲。キレッキレのギターが最高かっこよい。そして何と言っても『Red eye』最大の見せ場は、そんなフジイケンジチバユウスケの殴り合い(あくまで概念)であろう。あの時間、マジで会場中が沸きに沸いていて、熱気が一段階あがったように感じた。それにしてもブルースハープを鳴らすチバユウスケは相変わらず色気の権化みたいな凄まじさであった。最高だよ。
あとこれは完全に余談ですが、間奏でフジケンのギターが宇宙的な超音波を放っていたので「お、宇宙人でも呼ぶ気か!?」とか脳内でフザケた茶々を入れていたら、直後にチバが〈宇宙船〜〉って歌うもんだから腰抜かすほどビビった。完全に彼らの手のひらの上で踊らされている。詞の世界をあんなにもどストレートにリスナーに届けられるなんてやっぱりプロってすごいんだなぁと痛感しました。茶々入れてた己の思慮の浅さを恥じます。

 

12. BITCH LOVELY
まさかNHKの名を冠するホールで〈BITCH〉というワードをこんなにも耳にする日がこようとは……。あまりのパンチ力の高さに笑ってしまった。
序盤のかわいらしいメロディに対して、サビになると魂の叫び感が一気に膨れ上がるその振れ幅の大きさがこの曲の魅力だよなぁ。
終盤、テンポアップしてからの怒涛の巻き上げ感がめちゃくちゃ楽しかった。バンド感を凄まじく感じた。

 

13. 1977
チバユウスケエバーグリーンなものを感じてしまうので、何度聴いても青春の海に突き落とされるような切なさを感じる。そして、それと同時にものすごい多幸感にも包まれる一曲。『1977』を歌っているときのチバは本当に楽しそうで幸せそうで、見てるこちらが胸いっぱいになってしまうんだよなぁ……。いつまでも夢中になれる何かに出会える人生ってものすごく幸せなことだ。〈初めてルージュの味を〉からの曲の展開がすごくドラマチックで特に好きです。〈持ってかれて帰れない〉という歌詞が最後の最後で〈帰らない〉に変わっているのも、とてもいい。

 

14. OH BABY!
たしか、演奏前にチバが「オーベイベー!」って叫んだ気がする。
『1977』の余韻が残る会場をさらに煽るように熱が込められた演奏だった。とにかくチバが楽しそうで、何度も「幸せだなぁ」と実感した。この曲の主人公である『俺』はBABYに救われているけれど、この曲を歌うチバユウスケは、まるで息苦しい世の中からリスナーを連れ出してくれるヒーローに見えた。ほんとうにそう感じた。『OH BABY!』終盤ではチバと観客が〈OH BABY〉と歌い合うのが恒例で、この日もいつもどおりチバが歌ったあとに客へ任せるみたいな流れになった。もちろん、客は客でチバの想いに応えたいけれど大声で歌うわけにもいかず、ちょっとした戸惑いみたいなものが一瞬会場内に漂った。一方、そんな会場を見渡すチバは、とにかく優しい笑みを浮かべていた。なんだかその表情を見ただけで「きっとチバは全部分かってくれている」と思えた。わたし達の戸惑いも悔しさも、きっときっとあの瞬間のチバはすべてを分かってくれていた。そう思ったら泣けて泣けて仕方なかった。だからこそチバは、その後もいつもどおりに〈OH BABY〉というフレーズを何度も何度も繰り返したし、会場も声さえ出さなかったけれどその代わり身振り手振りでチバに応えていたように見えた。コロナで変えられてしまったものもあるけれど、変わらないものも確かにあるのだ。そのことに気づかせてもらえたような幸せな数分間だった。

 

15. COME TOGETHER
すでに『OH BABY!』でチバユウスケの巨大な優しさを感じて勝手にクライマックスを迎えていた限界オタクは、続く『COME TOEGETHER』で完全にHPがゼロになってしまった。だってこの曲も凄まじく多幸感に包まれる楽曲じゃないですか……。フジイケンジがイントロを弾き始めた瞬間、完全に脳内のスクリーンでは『主演:The Birthdayとわたし』のエンドロールが流れていた。なんかもうとにかく元気を貰った。〈ほっといてもさ地球は回る〉なんて、ほんとうにその通りだ。どうせ生きるなら少しでも楽しいほうがいい。そんな、シンプルだけどめちゃくちゃ重要なことを、改めて教えられた。楽しいことは自分で探さなくちゃ、なのだ。大好きなバンドの久々のライブで〈COME TOGETHER〉って歌ってもらえるなんて、もうめちゃくちゃに幸せじゃん。

 

16. オルゴール
一曲めに披露された『ヒマワリ』と両A面でリリースされた『オルゴール』で締めくくるなんて、オシャレなことするなぁ……。というか、もう既に『COME TOGETHER』で燃え尽きていたので、ふわふわしていて当時の記憶がほぼない。「あ、サンドイッチってまた歌ってる」とかバカみたいなことを思ったことだけは強く覚えているのだけど。ライブ後に、改めて聴いてみてるけど、なんだかとてつもない悲しみを感じてしまうのはわたしだけでしょうか。最後の一節が、一応、救いになっている……のか?

 

 

ここで本編はいったん終了。メンバーがステージから去った直後からアンコールを望む拍手が起こった。
その音は一度も止まることはなく、しかも最後までリズムを乱すことなく続いていた。何だかそんな光景にもめちゃくちゃ感動した。声を出せなくてもできることを全力でやろう、想いをメンバーに伝えようという観客の気概みたいなものが、あの何分間かに詰まっていたように思う。
そういえば、アンコールを待つ間、いくつものミラーボールがたくさんの光を放っていて、まるで宇宙空間みたいだった。やっぱりThe Birthdayのライブにミラーボールがあると最高ですね。

 

 

en01. くそったれの世界
ビール片手にご機嫌に登場したチバ。そんな姿に「コロナ禍でもビール飲むんかい!」と胸の中で静かにひとツッコミ。
盛り上がる観客を手で抑えつつ、恒例の歌い出し。やっぱりいつも通りとはいかなかったけど、思わず歌ってしまった方も数人いたようで、小さな合唱が起こっていた。もう完全にストッパーが外れたモードの会場はあっちもこっちも踊りまくり。いつもどおりの光景が広がっていた。ほんと、この瞬間を一人ひとりが思い思いに楽しんでいた。楽曲の盛り上がりに応じるように突き上げられた拳の数も増えていって「あー、わたし、The Birthdayのライブに来てるんだなぁ」と改めてジワジワ感動を噛み締めた。

 

en02. 声
いやぁ、このご時世のライブで『声』を歌ってくれるなんて、最高にカッコよくないですか?????マジで、このクソみたいな状況を生み出しているウイルスに真正面からケンカ売ってるようなその姿勢にめちゃくちゃ痺れた。それこそ、声には出さずとも会場中の誰もが大声で歌っていたと思うなぁ……。世の中の流れの全てを受け入れつつも、逆境には屈しないぞというバンドの強い意志みたいなものを勝手に感じて、めちゃくちゃ高まった。やっぱりカッコいいなぁ、The Birthday

 

en03. なぜか今日は
これも大好きな曲。最後の曲でやっぱり希望を歌ってくれるのがあまりにもチバユウスケ丸出しで、やっぱりカッコいいなぁ。あとわたし『なぜか今日は』を演奏するフジケンを見るとめちゃくちゃ高まってしまう。多分、2018年のフジロックの、ステージモニターにバンドロゴが映し出されるタイミングでステージぎりぎりまで前に出てきてギター掻き鳴らすフジイケンジの姿が最高にカッコよくて、『なぜか今日は』のイントロを聴くたびに脳内であの映像が自動再生されるからなんだよなー。あんなにもバンドロゴを最高のタイミングで登場させたライブ、後にも先にもないと思う。『なぜか今日は』演るなら、毎回あのバンドロゴ登場の演出も是非モノでやっていただきたいくらい爆イケ演出だった。ほんと見るたび鳥肌モンですよ。

 

そんなこんなで、わたしにとって今のところ2020年唯一のライブとなったThe Birthdayのツアーは終わった。
久しぶりに2時間ぶっ通しで立ちっぱなし踊りっぱなしだったので、終演後、規制解除されて帰ろうとしたら脚力が見事にヤラれてて一歩目が踏み出せなくなったときには流石に自分で自分の老いに絶望した。鍛えよう、下半身を中心に。

The Birthdayのライブに行くと毎回思うけど、やっぱり圧倒的に「カッコいい」って感想が一番に残るんだよなぁ。いろいろと思うことはあれど、やっぱり最後に強く残るのは圧倒的なカッコよさなのです。もうほんとにわたしが想う『ロック』という概念を具現化したものがそのままチバユウスケになる。それぐらい圧倒的にカッコいい。もちろん、この日も圧倒的にカッコよかった。いつまでもカッコよくいてくれよな(そしてどうか健康には気をつけて)!!!!!

 

初めてのNHKホールは、幼い頃から大晦日に毎年のように目にしてきたので、クハラさん同様に「おぉ、これがあのステージか」と感動した。思っていたより小さんだね、ステージ。あの上に何十人もアーティストが並んで『蛍の光』を合唱していただなんて、にわかには信じがたいですよ。
今年の大晦日も例年どおり紅白とガキ使を行ったり来たりかなぁ……と思っていたら、どうやら31日もThe Birthdayの皆さまは活動するらしく。さてどうしたものか、と思案している。


相変わらず感染者は増え続けているし、こうやってようやくコロナ前の日常を少しだけ取り戻したような気になっても、また無味乾燥な日々に逆戻りしてしまいそうな予感がビシビシしますね。何だか嫌になっちゃうけど、それでも生きていくしかないので、推しに元気を貰いつつ、またライブに行ける日常に備えて、まずは体を鍛えます(主に下半身を中心に)。

 

おわり。

ご覧いただき、ありがとうございました。

 

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